神獣ってモテますか？(モテないゲイは、魔法使いを目指す！@異世界版）

異世界は続くよどこまでも

31

卵が生まれたのは、すぐに知れ渡った。
タロー様が言うには、かなりの魔力量らしくて、城の中がビリビリしたらしい。

俺、全然分かんなかったよ！

執事カスティアが来て、タロー様が卵を預けた。

「アキ様、まさか、こんな奇跡を手にすることができる日が来るとは！
　お二人のお子様の誕生を心からお喜び申し上げます。」

丁寧に卵を抱き上げて、その場でカスティアが作った揺籠に置かれた。

「アキ、私たちの子が卵の殻を割って出てくる日が待ち遠しいな。」

「赤ちゃん、どんな子でしょうね
　タロー様との絆の一つ、幸せが増えますね。」

この中の子を俺は愛していると、本能で理解していた。









「あんな神獣なんかより、俺の方が長く叔父上といたのに！
　なんで俺を選ばないんだ！」

トリスタンがイラつきながら、部屋の中を行ったり来たりしていた。

「まあ、落ち着けよ
　まだ、引き離す手段はあるさ
　僕だって、神獣亜希がお前んとこのおっさんとくっつくなんて嫌だからな。
　亜希は俺が連れて帰らないとね。
　向こうの世界で、うちの両親も待ってるからさ。」

「本当に、神獣を捕まえられるんだろうな？
　トシ！！
　大魔法使いって言っても、人間風情が！
　早くどうにかしろよ！
　俺は、もう、叔父上の結界は通れないんだ。
　あいつさえいなきゃ！」


[  ほんと、このクソガキムカつくな。
　亜希を追ったのも、飛島の家が無くなると僕が困るからなんだけど。
　あの気持ち悪い亜希が、神獣ねぇ
　こっちで、亜希の力を利用させてもらうのも良いかもね。
　僕の為に死んでくれないかなー。]

「トシキ！
　倒れてたお前を拾って、人間のところへ連れてきてやったんだ、恩は返せよ？」

「はいはい、トリスタン様
　僕の魔法、知ってるでしょ？
　貴方の皮を被らせて侵入させたんですから。
　もう少し時間が稼げれば捕獲出来たのに。
　貴方の部下も無能ですよね？」

[  神様とやらが落としてくれた時に、魔力を頂いたのは何より助かりましたよ。
　後は、亜希がおバカさんにも、名前をアキって名乗ってくれてる所ですかねー。
　魔法使いとして、色々試してみたら意外と時間が掛かってしまいましたが、亜希を捕獲して、王太子に与えてこの世界を動かしてみるのも面白そうですよね。
　獣になってる辺り、どんな気持ち悪い姿なんでしょうかね～？]

トリスタンが冷ややかに笑う大魔法使いトシキに、一瞬恐怖に似た物を感じたが、すぐに穏やかな表情を浮かべた事で、見落としていた。