神獣ってモテますか？(モテないゲイは、魔法使いを目指す！@異世界版）

異世界は続くよどこまでも

37

「お前に服従魔法をかけてやろう
　獣でも、神なんだろ？
　気分いいなー」

服従魔法なんかかけられたら、と思ったけどそれって、闇属性だったよね。
相手が死ぬか、解除出来る強い闇属性があれば、問題ないはず！

ここは、ちょっと掛けられた振りをしてみようかと思う。
神に喧嘩売る意味がわからん。
だって、力の差は歴然だもの。

「で、獣には首輪ね。
　これ、服従魔法の魔力を込めてるから、
　外せないし、いいよね？」

カチャン

「チョーカー代わりでいいじゃない
　ペットに首輪は必須だからね。」

「ぐっ」

体に鎖が巻きついているような感覚が走って、自由に指一本動かせなくなった。

「僕さ、治癒魔法はいまいだけど、拘束とか服従とか、言うこと聞かせる系は得意みたいなんだよね。」

ニヤニヤ笑いながら、魔力少ないと思ってただろ、と言われた。
やっぱり、違ったんだ。

「さあ、亜希
　皇太子がお待ちかねだ。
　婚儀を始めよう」












オプスクリタス達は、武装して人間の国へ向かおうとしていた時に、ライカスの気配が死の国へ送られたのを察知した。

「まさか、ライカスが死んだのか？」

頭を押さえて、ブルブルと怒りで震えていた。

「待て、オプスクリタス
　死の国へまずは行って、確かめろ！
　間に合うかもしれない！」

「あ、ああ、そうだな。
　カスティア！
　来い！」

シムラクルムと他の者達は、人間の国へと向かった。




死の国は、闇属性で尚且つ魔力量も無いと国に取り込まれて、生ける屍になる。
それでも正気を保っていられるのは、数時間しかないだろう。
いわゆる、地獄である。

「ライカスの気配がある！
　何故ここに？」

「ご主人様、アキ様が送られたのでは？」

人質にされていては何も出来ないが、この国ならば、ライカスを逃がせると。

「カスティア、ライカスが居たぞ！」

ライカスはアキの結界に守られて中で眠っているようだった。　
オプスクリタスが触れただけで、その結界はパリンと割れ、腕の中にライカスが降りて来た。

「ライカス！」

「うにゅ、おとうたま。」

目を擦りながら、起きたライカスを力一杯抱きしめて、アキの所在を聞いた。

「アキは？
　どこにいるか知ってるかい？」

「おかあたま！！
　悪い奴が、おかあたまに悪い魔法を掛けたんだ！
　助けなきゃ！」

死の国の土壌が合うのか、ライカスが徐々に成長を始めた。

「お母様は、トシキと言う魔法使いに拘束と服従魔法をかけられ、皇太子に召し上げられると。
　僕はこのまま、人間の国へ行きます！
　お母様を取り戻さなければ！」

我が子の異様なスピードで成長する様をまざまざと見せられたオプスクリタスとカスティアは、言葉を失っていた。