神獣ってモテますか?(モテないゲイは、魔法使いを目指す!@異世界版)

ビーバー父さん

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異世界は続くよどこまでも

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浮かない表情で、全員が神シムラクルの居室に集まった。

話を聞かなければならない事が増えすぎた。 

カウチのようなソファーに、俺たち三人と向かい合うようにタロー様が座った。

「オプスクリタス、浮気はどのような事なのだ?」

「え?
 だから、してないと申しておろう!」

「では、タロー様は何故あんなに動揺されたのですか?」

「父上、お母様を不安にさせるだけでも浮気です!
 そして、それは万死に値する!!」

ライカスの言葉はあまりにも偏りすぎだけど、あの動揺の理由を知りたかった。




「トリスタンを探していた。
 アキに出会わなければ、
 あのままだったら、トリスタンを娶っていたと思う。
 だから、探した。
 居なくなって、荒れる感情や喪失感に理由が分からなくて、トリスタンと話したいと思って、探した。」

あぁ、そうか。
俺の方が邪魔だったんだ。

「神獣だから、俺に惹かれた?」

泣き笑いの様な顔をしてると思う。
でも、もう、この言葉を聞いたら、無理だ。

「そう、トリスタンを探していたのか」

神様も思う所があるみたいだ。

「お母様、もう、」
「ううん、分かってた。
 最初から、皆んな神獣だから、好きになってくれてるんだって、分かってた。」

俺の中で気づいていて、気づかなかったフリをして蓋をしていた感情だった。

「オプスクリタス様、俺は真名を解除しても構いませんよ?
 ただの神獣アキに、もしくは、他の何かになるだけです。」

ハッとした顔をタロー様が向けた。
もう、タロー様とは呼べないな。

「オプスクリタス、既にトリスタンはいない。
 では、今の気持ちはどうなのだ?」

「アキしかいらない、それは変わらない。
 あの時のトリスタンを失った感情より、アキが眠り続けて目を覚さないまま死にゆく姿を見て、気が狂いそうだった。
 アキを追い詰めた、トリスタンが憎かった。
 私がその引き金になっている事が、情けなくて腹立たしいのに、アキは私を選びライカスまでも産んでくれた。
 浮気ではないが、その感情に近い思いで、トリスタンを探していたのを思い出して、罪悪感をおぼえたんだ。
 そして、此度また、アキを死に追い遣ろうとした、トリスタンの残滓が憎くて己を焼きそうだった。」

「だそうだ。」

神様は俺を抱き寄せて、泣いてしまっていた俺の目元にくちづけた。

「オプスクリタス様」

「もう、タロー様とは呼べないか?」

首を振る。
呼べないわけがない。
今でも愛しているのはこの人だけなのに!

「た、ろぅ、さま!」

神様の腕から離れて、タロー様の少し情けない表情で広げる腕に飛び込んだ。

「愛しているのは、アキ、其方だけだ。
 許せ、あの時の感情に名前があるなら、親愛だったのだ。
 激しい感情でアキを手に入れるのとは違う。
 トリスタンへの感情は親愛からくる惰性だと、はっきり言える。」

タロー様の唇に、俺はキスをした。

「俺が神獣じゃなくても?」

啄むようにキスをタロー様から返されながら聞いた。

「アキの可愛さは生まれ持ったもので、アキの叔父上と同じ顔ではないか。
 母上様にも感謝しかない。
 神獣など関係なく、アキがこの世界でアキのままでも、私は拐ってこの腕に捕まえたさ」

「絶対、離れてあげませんよ?」
「おぅ!
 離すわけがなかろう!」

ライカスは不機嫌にソファーにひっくり返った。

「お母様!
 僕だって、お母様がいいのに!!
 クソ親父、嫌いだ!!
 お母様を返せ!バカ!」

ライカスが年相応の中身で駄々をこねた。

ごめんね、ライカス。

今夜は、タロー様とゆっくり話すから。






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