108 / 166
異世界は続くよどこまでも
45
しおりを挟む「辺境伯とやら、その姫を今すぐここへ連れてまいれ!」
タロー様、ずいぶん持ち直したな。
でも、最初の動揺は許しませんよ。
身に覚えがなければ、動揺なんてしませんからね。
「先程の動揺は、何だったのでしょうか?」
ライカス、突っ込むね~
「そうだな、それは総意だが
今はその姫とやらを連れてきて、どういう事か詮議せねば。
まあ、ホコリの一つや二つは有りそうだがな。」
神様、そこなんだよね!
「辺境伯、まだですか?」
まだかなー?
俺、さすがに苛つきすぎかもだけど、人間は直ぐには来れないかもだけど、八つ当たりだとも思うけど、さ。
「あ、あの、身重故、支度も」
そこで、やっと到着を告げる騎士たちが現れた。
時間にして2時間くらい待った。
その間、饒舌なタロー様とは反対に、普段ならユーモアと明るさで周りを見てくれる神様が、冷たい刃物の様な表情で殆ど口を開かなかった。
「姫殿下様にございます。」
辺境伯が連れてきた子が目立ち始めたお腹を庇う様に、お辞儀をした。
普通の、ごく普通の女の子だった。
「神々様、この度は父王と兄王が無体を働き申し訳ございません。」
頭を下げたまま、彼女はそう告げた。
「で、其方は代わりに神に嫁ぐという話だそうだが」
神様が殆ど無表情で尋ねると、顔を上げて俺たちを見た。
「はい、闇の神様が私に子を宿し、その子共々召し上げられると
ですから、お迎えに来ていただくのをお待ちしているのです。」
「ほぅ、そうか。
この中の誰に嫁ぐのだ?」
冷たい冷気の様な威圧にも拘らず、彼女は気にもせずに首を振った。
「闇の神様です。
こちらにはお見えではない様ですが?」
「そうか、ここにいない神か」
ここにいない神なんて、いるの?
「だが、闇の神はまだこのオプスクリタスなのだが。
コイツではないのだな?」
辺境伯は彼女の無知さに、顔色を白くしていた。
この世界の神は、シムラクルム、オプスクリタス、そして、俺だった。
昼と夜の神がいて、その下に神獣、精霊王がいる。
俺は、オプスクリタスとの婚姻で神獣神になったから、神様達の末席に連なる事になった。
それ以外に、神という責務を担う者はいない。
「この方ではありません。
もっとお若くて、素敵な方でした。」
ぶはっ!!
俺、神様、ライカスが吹き出した。
あらあら、この人残念な人になっちゃってるよ。
まあ、仕方ないよね。
「では、その神の名前は?」
「はい、ローク様とおっしゃいました。」
「そうか。
残念ながら、腹の子は魔族の子で間違いなさそうだ。
神を騙るとは、死に値するがな。」
「ま、ぞく、そんな
神では、ない?」
「我らは、腹に子を宿さない。
そして、子を為せるのは同じ神同士だ。
このライカスが闇の神になる
この神獣神アキの子唯は一人だ。」
可哀想だけど、ロークと言う種族の魔族がいる。
煙の様に姿や形を変え、魔族の中にも人の中にも紛れ間諜として動く。
彼らは名を持たず、種族名で生き子を成して俺たち神だったり、精霊王の影として行動するからだ。
個の名があると、有事の際に色々特定されてしまうとまずいからだ。
干渉はしないが、管理はする、そのための種族だった。
「成る程、ロークに裏切り者がいる、と言う事なら城へ侵入してアキを拐うのも、私の名を騙り、この様な茶番を催してみせるのも簡単だな。
人側についた理由が知りたいところだが、また、後日としよう。」
タロー様は読めない表情で、この話の結末を延期した。
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔女の呪いで男を手懐けられるようになってしまった俺
ウミガメ
BL
魔女の呪いで余命が"1年"になってしまった俺。
その代わりに『触れた男を例外なく全員"好き"にさせてしまう』チート能力を得た。
呪いを解くためには男からの"真実の愛"を手に入れなければならない……!?
果たして失った生命を取り戻すことはできるのか……!
男たちとのラブでムフフな冒険が今始まる(?)
~~~~
主人公総攻めのBLです。
一部に性的な表現を含むことがあります。要素を含む場合「★」をつけておりますが、苦手な方はご注意ください。
※この小説は他サイトとの重複掲載をしております。ご了承ください。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる