神獣ってモテますか？(モテないゲイは、魔法使いを目指す！@異世界版）

異世界は続くよどこまでも

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「フィル、人の国を治めてみるか？」

神様が唐突に問うた。

「え？
　んー？
　んー、んー
　…やだ」

俺は大体想像していた答えだった。

政治家を目指してたとか、人の上に立ちたいって考えの人なら快諾するかもしれないけど、そうじゃなきゃ普通は嫌だよ。
それに、異世界で自分の持つ常識とか通じるとは思えないし。

「何故だ、フィルはあんなに素晴らしい知識を持ってるじゃないか！」

セルゲートが声を荒げて、フィルが断った事が納得できないと詰め寄った。

「セルゲート様、俺、そんなに賢くないんですよ
　賢いって言ったら、アキちゃんが本当に凄いんだよ。
　回答欄間違えなきゃ首席合格だったんだ。
　それに、生きてきた年数じゃなく、この子の今までの経験値やその心を見たら、俺は本当に恥ずかしい奴なんだよ。　
　だから、アキちゃんを俺は推すね！」

えー？何言っちゃってんの？

「フィル！
　ナニソレ」

「アキちゃん、俺、アキちゃんの宰相ならやるよ！」

凄い笑顔で言われた。

「俺は、自分が自由になる為に、
　それと、最初は、そのフィルに会えると思って、頑張ってただけで全然だめだめだから！」

そう言えば俺の初恋、フィルだった。

「そうだったんだね…
　それなのに、俺、酷いこと言って
　アキちゃんを傷つけて、そんで、
　こんな綺麗で可愛い子を逃したんだった」

何となく、もじもじとしんみりが繰り返され、フィルと俺の間に思い出が蘇った。
胸がツキンと痛むような、そんな思い出。

「アキ、フィル、近いぞ」

タロー様が俺を抱き上げて、おでこにチュッとキスをした。

「うわー、ちっさ！
　オプスクリタス様、ちっさ！」

フィルがわざと揶揄うように言った。

「アキが国王か。
　しかし、神獣神で闇の神の伴侶は、無理だな。
　アキの母君を女王とするか？」

え？
お母さんを？

「そうだな、母君なら私たちの後ろ盾もあり、そして人だ。
　アキたちと同じ知識を持ち、尚且つ美しいしな！」

タロー様がやたら乗り気で話を纏めようとしてるのが気になった。

「タロー様、何企んでます？」

「アキが国王になったら別居になるじゃないか！
　そして、懸想する奴が増える！
　そこにいるフィルも、宰相とかだと近いし、アキを丸め込んで挿れちゃうかもしれないだろ！！
　ダメだ、そんなのはダメだ！！」

俺をぎゅうぎゅう抱きしめてながら、昼メロみたいな想像をして暴れてるタロー様に呆れつつも、嬉しくてついその暴れるツノにちゅっとしながら、ペロンと舐めた。

「ふぐぅ！」

どっから声出してんの？

「あははは！　
　なに、今の声！」

「アキ！ツノにも神経あるから！
　アキだってそうでしょ？」

「そうかなー」

自分で触ってみて後悔した。