神獣ってモテますか?(モテないゲイは、魔法使いを目指す!@異世界版)

ビーバー父さん

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異世界家族

37 シムラクルム編

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「ラエヴ、お前の世界を駄目にしてしまった責任は私にある。
 だから、できる範囲で償いたい。」

神シムラクルムが元異世界神であり邪神のラエヴに申し出た。
その場所は、ラエヴが治めていた元は異世界である。

現在は、神獣神アキとシムラクルムとオプスクリタスが治め、精霊神が管理をしている世界になっていた。

「なら、私の伴侶になってくれ
 シムラクルムが好きだ」

「私は、貴方の心が分からない。
 弟のアウィス殿が好きじゃないのか?」

ラエヴは人になってからも、エセ紳士ぶりを発揮し人でいう所のNo,1ホストの様だった。

「私はシムラクルムが好きだと言ってるじゃないか」

「でも、アウィス殿がやきもちを妬いて、あんなことをしたのに受け入れたのは、それだけ愛しているからだろう?
 自分の体を犠牲にしても、その感情が嬉しかったからだと思っていたのだが」

神シムラクルムが冷静に状況判断をした結果を言うと、ムキになったようにラエヴは否定した。

「あれは弟だ!
 お前こそ自分の為に私が犠牲になったとは思ってくれないのか?」

ぐっと言葉に詰まりながら、シムラクルムが少し涙目になりながら反論した。

「わ、私だって!
 ラエヴの心臓が犠牲になってると知った時は、足元が真っ暗になった。
 お前が消滅、するかと思ったら
 怖くて、しか、たな、かった。」

きっと誰も見たことのない、シムラクルムの涙だった。

「なら、私の所に落ちておいでよ」

ラエヴがシムラクルムの肩をそっと抱き寄せた。

「わ、たしは、アキが好きなんだ!」

「ねぇ、それって、自分に言い聞かせてるだけだよね?
 本当に好きだったら、神獣にしたり精霊王にイタズラされちゃった時に自分の伴侶にしちゃえるよね?
 もう、伴侶って言うより、保護者だったでしょ?
 それって好きの種類が違うんじゃないかな?」

「違う、違う!
 アキが可愛いから、だから、」

「うん、だから、守ってあげたくて、
 ペナがあることが分かってても、あの人間を私にお願いしたんだよね
 私は、そのペナを背負ってでもシムラクルムの願いを叶えてあげたかった。
 だから、私を選んで」

「おま、え人間になっちゃったじゃないか
 神籍、から、おろしちゃ、ったじゃ、ないか」

「うん、そうだね」

子供のように泣くシムラクルムに、ラエヴは少し困ったような表情で胸に抱きこむようにぎゅうっとした。

「ゔ~!!!!
 ラエヴのばか!」

「ふふ、シムラクルムがさ、全身で好きって言ってるようなものだって思ったら、人間になったのも悪くないなって。
 お前に思いが通じないんだったら、神籍にこだわって生きてても仕方ないし、人間の短い生の中で思った方が幸せだって思ってたから。」

「まだ、好きじゃない!」

「なかなか頑固だねぇ
 好きって言いなさいよ」

「言わない!」

そう言いながら、抱きしめる腕から出て行かないところが可愛いとラエヴは思いながら、そのつむじにキスを落とした。

「まぁ、短い人生だから、それでも構わないよ
 いつか、シムラクルムが素直にちゃんと好きって言える相手ができるといいな」

ラエヴはシムラクルムの頭をポンポンとしながら、優しく笑った。

「ち、ちが」

「さ、あこっちの時間の流れがそこそこ遅くなってきてるとは言え
 向こうでは1日くらいは経ってるんだろうし、
 みんな心配するからね。
 帰ろう」

その背中を促して帰ろうというラエヴに対し、シムラクルムは動くことができなかった。
エセ紳士面した騎士の制服の分厚い飾りの刺繍で彩られた上着の裾を掴んで引き止めた。

「いつか、好きって言う相手はお前がいい」

シムラクルムが笑顔で、そう告げた。
                                                                                                                        
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