157 / 166
異世界家族
37 シムラクルム編
しおりを挟む「ラエヴ、お前の世界を駄目にしてしまった責任は私にある。
だから、できる範囲で償いたい。」
神シムラクルムが元異世界神であり邪神のラエヴに申し出た。
その場所は、ラエヴが治めていた元は異世界である。
現在は、神獣神アキとシムラクルムとオプスクリタスが治め、精霊神が管理をしている世界になっていた。
「なら、私の伴侶になってくれ
シムラクルムが好きだ」
「私は、貴方の心が分からない。
弟のアウィス殿が好きじゃないのか?」
ラエヴは人になってからも、エセ紳士ぶりを発揮し人でいう所のNo,1ホストの様だった。
「私はシムラクルムが好きだと言ってるじゃないか」
「でも、アウィス殿がやきもちを妬いて、あんなことをしたのに受け入れたのは、それだけ愛しているからだろう?
自分の体を犠牲にしても、その感情が嬉しかったからだと思っていたのだが」
神シムラクルムが冷静に状況判断をした結果を言うと、ムキになったようにラエヴは否定した。
「あれは弟だ!
お前こそ自分の為に私が犠牲になったとは思ってくれないのか?」
ぐっと言葉に詰まりながら、シムラクルムが少し涙目になりながら反論した。
「わ、私だって!
ラエヴの心臓が犠牲になってると知った時は、足元が真っ暗になった。
お前が消滅、するかと思ったら
怖くて、しか、たな、かった。」
きっと誰も見たことのない、シムラクルムの涙だった。
「なら、私の所に落ちておいでよ」
ラエヴがシムラクルムの肩をそっと抱き寄せた。
「わ、たしは、アキが好きなんだ!」
「ねぇ、それって、自分に言い聞かせてるだけだよね?
本当に好きだったら、神獣にしたり精霊王にイタズラされちゃった時に自分の伴侶にしちゃえるよね?
もう、伴侶って言うより、保護者だったでしょ?
それって好きの種類が違うんじゃないかな?」
「違う、違う!
アキが可愛いから、だから、」
「うん、だから、守ってあげたくて、
ペナがあることが分かってても、あの人間を私にお願いしたんだよね
私は、そのペナを背負ってでもシムラクルムの願いを叶えてあげたかった。
だから、私を選んで」
「おま、え人間になっちゃったじゃないか
神籍、から、おろしちゃ、ったじゃ、ないか」
「うん、そうだね」
子供のように泣くシムラクルムに、ラエヴは少し困ったような表情で胸に抱きこむようにぎゅうっとした。
「ゔ~!!!!
ラエヴのばか!」
「ふふ、シムラクルムがさ、全身で好きって言ってるようなものだって思ったら、人間になったのも悪くないなって。
お前に思いが通じないんだったら、神籍にこだわって生きてても仕方ないし、人間の短い生の中で思った方が幸せだって思ってたから。」
「まだ、好きじゃない!」
「なかなか頑固だねぇ
好きって言いなさいよ」
「言わない!」
そう言いながら、抱きしめる腕から出て行かないところが可愛いとラエヴは思いながら、そのつむじにキスを落とした。
「まぁ、短い人生だから、それでも構わないよ
いつか、シムラクルムが素直にちゃんと好きって言える相手ができるといいな」
ラエヴはシムラクルムの頭をポンポンとしながら、優しく笑った。
「ち、ちが」
「さ、あこっちの時間の流れがそこそこ遅くなってきてるとは言え
向こうでは1日くらいは経ってるんだろうし、
みんな心配するからね。
帰ろう」
その背中を促して帰ろうというラエヴに対し、シムラクルムは動くことができなかった。
エセ紳士面した騎士の制服の分厚い飾りの刺繍で彩られた上着の裾を掴んで引き止めた。
「いつか、好きって言う相手はお前がいい」
シムラクルムが笑顔で、そう告げた。
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔女の呪いで男を手懐けられるようになってしまった俺
ウミガメ
BL
魔女の呪いで余命が"1年"になってしまった俺。
その代わりに『触れた男を例外なく全員"好き"にさせてしまう』チート能力を得た。
呪いを解くためには男からの"真実の愛"を手に入れなければならない……!?
果たして失った生命を取り戻すことはできるのか……!
男たちとのラブでムフフな冒険が今始まる(?)
~~~~
主人公総攻めのBLです。
一部に性的な表現を含むことがあります。要素を含む場合「★」をつけておりますが、苦手な方はご注意ください。
※この小説は他サイトとの重複掲載をしております。ご了承ください。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる