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異世界家族
45シムラクルム編
しおりを挟む「ラエヴ、ラエヴ」
切なそうに名前を呼ぶシムラクルムが愛しくて、何度も蹂躙した。
後悔したくなくて、最期の時を自分が先に迎えるなら余計に、その体が愛しくて離れ難くなり余計に激しく揺さぶっていた。
「真名を、よ、んで」
「いい、お前を、愛したいだけ、だ」
ラエヴは心の隅で真名を聞いて呼んでも、人と神では主従の様な関係になるだけで対等では無いことが良く分かっていた。
アウィスがやらかしたことは、心のどこかでシムラクルムの心がこちらに向くかもしれないと思ってやったのも確かだったが、アキに神籍をはく奪されるのは少しだけ予想外だった。
それでも良かった。
シムラクルムの心が縛れるなら。
手に入らないと諦めていたものが手に入ると誰でも欲張りになるのだと自嘲気味に笑った。
「ラエヴ、いいから、呼べ」
「ダメだよ。
私はお前を縛るために真名を呼びたくない
短い生の中で、精いっぱいお前を愛したいんだ。
人なのはもうしょうがないから、私に愛されてくれるだけでいい」
「そんなのは嫌だ!!
私は、ラエヴと同じ時間を生きたいんだ
なんで、そんな、私を独りにするようなことを言うんだ」
ボロボロと泣き始めたシムラクルムを宥めながら、なんて可愛いんだ、と。
「泣き止んで。
伴侶にはなれるじゃない、ね?」
「オプスクリタス報告したら、早く一緒に住むよ、いいよね?」
裸のシムラクルムを抱きしめて、ふふふと笑うラエヴがその手を握り、もちろんと答えた。
神様が、俺たちの所へ来たのは、説得をすると言って出て行ってから10日後の事だった。
「シムラクルム、ラエヴ、説得はうまくいったか?」
タロー様は大分気落ちした様に問いかけると、対照的に幸せそうな二人を見て説得できた事は理解できた。
「オプスクリタス、アキ、私たちは同じ時を生きたいと思っている。
だから、私を人に」
「するわけないだろうが!!」
タロー様はため息をついて、怒りを露わにした。
「何故、私に頼まない
アキに聞かない?
お前たちの考えが、私には怒りさえ覚える。」
「神様、タロー様はラエヴをより神籍に近い所に引っ張りあげようと、考えて色々作り直したりしてたんです。
俺は神様が人になるなんて、絶対に許しませんからね?」
笑いながら、神様にめってしたら、泣き笑いの様な笑顔が返ってきた。
「アキ、私たちは長い時間を一緒にいられるのだな?」
「そうですよ、神様」
「ラエヴ、シムラクルムを泣かしたら殺すからな。」
「オプスクリタス様、肝に命じます。」
神様たちがいない間に、向こうの世界の時間をこちらと同じ時間の流れに変えたから、管理も違う様にした。
向こうは二人で一つの神様として存在する様に、一人では何も出来ない神様を作る前提でね。
幸せになって欲しいから。
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