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しおりを挟むテイトの言葉に風の子達が大笑いをした。
「ざまぁ見ろだ! お前なんか、僕らの巫覡とは全然合わないよ!」
リーダー格の子はザクロを見下ろしながら言ったが、少し離れた所にいた小さな風の子が否定した。
「この人間だって後悔したんだよ? 可哀そうだよ」
思いがけずもらえた援護にザクロは苦笑いをした。
「ありがとな。
テイトに全く伝わっていないって事は分ったから、これからちゃんと伝えるよ」
小さな風の子は少し頬を赤らめながら、頑張って、と応援した。
テイトだけが状況も自分が言ったことの意味も分からず、きょとんとした表情で首を傾げていた。
「テイト、お前が猫の時から愛しかったんだ。
それに、ジョスクは罪を犯した。
お前をずっと虐げてしなくて良い苦労をしたんだ。
今回の事件の共犯でもあったし、だから処分した。
俺がちゃんと監督していなかったせいだ。 公爵家でお前を連れて帰る時、誰かの幸せを嬉しいと笑うテイトに惚れた。
でもその事実を認める事が出来なくて、この屋敷でも距離を置いてしまった。
その方が平和に過ごせると思っていたのに、実際は、酷い思いをさせていた。
本当にすまなかった、テイトが伴侶としての地位をちゃんとさせる様に、屋敷内にも周知した。
それに、本当に心から愛しているのは、テイトなんだ」
これまであった事を交えつつ、テイトに信じてもらえるように精一杯、真摯に話した。
「えっと、ジョスク様がこのお屋敷にもういないのは分かりました」
ザクロは勝手にテイトの、旦那様が幸せなら、と言う言葉が自分への愛だと思っていたので、こうやって愛してると伝えればお互いを好き合ってる伴侶だと思ってくれると考えていた。
「では、次の方を探さないといけませんね」
「は?」
「?」
「いや、ちょっと待て、次の人ってなんだ?」
「次の旦那様を幸せにして下さる方です」
「お前は俺の何だ?」
相変わらずのきょとん顔で、公爵家の縁続きの保証の為の厄介者では? と平然と答えてくれた。
「旦那様、もう三十六になるんですよ?
早くお子の事を考えないと」
凄く、本当に真面目に、もっと加えるなら、純粋に、ザクロの子供やら家族計画を心配されていた。
「ここまで来ると、悪意じゃなきゃ、かなり怒ってるってことだろ?」
風の子のリーダー格の子は、意外とテイトが怒ってる事に驚いていた。
「テイト、この人の話をちゃんと聞いてあげて!」
小さな風の子がニコニコと笑うテイトに訴えた。
そこで、やっとテイトの笑顔が消えた。
「旦那様、僕、浮気は許せないんですよ。
今の話だと、僕を一目で好きになったけど、これまで通りジョスクを抱いて伴侶みたいな態度を取らせてましたよね?
この言い訳を使うなら、ジョスクとの関係をちゃんとして欲しかった。
悪い人たちが来なかったら、僕はずっとあのままだったって事でしょう?
僕は旦那様が好きだから、何でもしてあげたい。 だけど、僕の旦那様なんだったら、僕が傷つくようなことはしてほしくなっかった」
この言葉を聞いた小さな風の子も、リーダー格の子も、そして周りにいた大勢の風の子が顔色を変えた。
「どうしよう、トウカ様が凄く怒ってる」
「トウカ様が悲しんでる」
「テイトの気持ちを聞いたトウカ様が、お前に怒りを向けてる」
風の子らが、ザクロに対してテイトの扱いが酷かった事を怒っていると、ブルブル震えながら伝えて来た。
「トウカ殿がなんでだ?」
「風はどこにでも存在する。
テイトが目覚めた事を知らせて、そのまま様子も伝えられるように、トウカ様の所にいる風と繋げていたから」
リーダー格の子がトウカと今この場が風を通して繋がっていると言った。
「でも、トウカ様は巫覡では無いから、見聞きするだけだ。
これが巫覡の時なら、ザクロ、お前はズタズタにされていた」
そのくらいの怒りだと言う事だった。
必死な思いでテイトを送り出したトウカにとって、テイトの扱いが酷すぎる事や約束を守らなかった事を知らされたのだった。
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