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天界よいとこ一度はおいで
拉致
しおりを挟む肩に担がれて運ばれそうになっているのを、どうにかしようと暴れた。
「暴れても痛くも痒くもないなあ
ん、可愛い」
髪を掻き上げられて、まじまじと顔を見られてしまった。
「いや、ほんとに
お前綺麗だし、笑ったら可愛いだろうなあ
なあ、俺と一緒になってくれない?
転生先は俺のとこにしてやるし」
だから、すでに転生してます。
一応これでも上級天使だっつーの!!!
うーうー言う音が漏れるだけで、言葉になってなかった。
「ちょっと!!
俺は?
飽きたってなんだよ?!」
後ろから青ヒゲクソハルカが文句をつけ始めた。
「お前だっていろんな奴とヤってきたんだし、緩い穴にも飽きたんだよね
それにさ、ブサイクじゃん
必死に化粧しても、可愛こぶっても
媚びてる臭いが鼻につくし、
何よりさ、その濃いヒゲ
笑えるんだけど
キスしてると痛いんだよねー
だからさ、もういいじゃん」
ケラケラと笑いながらあいつを貶める言葉を吐き続けるこの男に、無性に腹が立った。
そりゃあいつもクソだけど、お前も同じ穴のムジナだろ!
真っ赤になって肩を震わせてる青ヒゲクソハルカに少し同情しつつも、まあ、コイツらどっちもクソだしなあ、と思ってしまったらさっきの腹立たしさがどっかへ消えてしまった。
あ、いや、それじゃだめじゃん!
「俺は、一番可愛がられなきゃ気が済まないんだよ!
アンタが他のやつも抱くからだろ!
だから、俺だって!」
もう、それ、一番だめじゃん!!
手近にあったペーパーナイフを手に取って、このガタイのいい力天使の後ろから突進して来た。
だめ!
芋虫が這うように力天使の背中側に落ちるように入り込んだ瞬間、背中から斜めに腹部へペーパーナイフが刺さった。
ぐっ!!
「あ、あ」
真っ赤な血が簀巻き状態のタオルを濡らし始めていた。
「おい!
俺を狙ったな?!
貴様、なにを考えてるんだ!
貴様ごとき、ただの暇つぶしでしかないわ!
クソが!」
「やだ、やだやだやだ!!
俺は悪くない!
悪いのはコイツだ!!」
どこかの太い血管に傷がついたのか、なかなかいい量が溢れているらしく、タオルはすっかり血が滴るくらい濡れていた。
力天使はどうしたものかと考え、そのまま放置したようだ。
暗くなる目の前を、二人は走り飛び出して行った。
はは、バカだな俺。
ウリエルが傷付かないといいな、青ヒゲの事を大事にしてたからこそ、手を出さなかったんじゃないのかなー。
バカだな、あいつ。
暗くて寒くて、眠くて、冷たい水の底に落ちていくようだった。
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