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天界革命
用意された家
しおりを挟む帰ると言われてウリエルたちに連れて行かれたのは、近くを小さい支流の小川が大きい川に繋がる辺りの一軒家だった。
都心から大分離れていて、いわゆる田舎だった。
緑が多くて、野鳥なんかも水辺に居たりして、すごく穏やかな場所だった。
「ここはだいぶ西部地方になるな
店に通うのは、ちょっと大変かなぁ
でもね、静かでいいところだよ」
ミカエルが当たり前の様に同じ家に入って行った。
「ここで全員で暮らしてるの?」
「そうだ、ジョフィエルも一緒にな」
え、ちょっと共同生活してんの?
「俺、自分のアパートに帰るよ。」
「こらこら、護衛の意味がなくなるでしょ」
「ミカエル、でも、みんなと一緒って
ちょっと違うと思うんだけど。」
「この家、防音だから多少大きい音が出ても大丈夫だよ。
だから、気にしなくていいし
それに、ここは人間界を拠点として天界と地獄に繋がる門を作ってある。
メタトロンにも言われていただろ?
ちゃんと居場所をはっきりさせろって。」
それは言われたけど、ここに一緒に住めとは言われてない!
「イズ、私がお前と一緒にいたいのだ。
ダメか?」
最近、なんか違うスキル仕入れたのかよ!
なんだその大型犬のような項垂れた表情は!!!
「だ、駄目じゃないけど」
恥ずかしいだけだ。
「またアパート解約するのかぁ
ちょっと、面倒」
「分かった、明日、私がしよう」
そう言いながら、俺を包むように抱き込んでキスをした。
軽いキスならまだしも!
思いっきり舌の根元を吸われて、唾液があふれ出してしまうような、深くて激しいキスだ。
一生懸命声やら、息を我慢して酸欠の金魚みたいにパクパクしてるところで、やっとミカエルが制止をしてくれた。
「ウリエル、その辺で
あんまり、お前たちの行為に免疫のないジョフィエルがいるんだから
ちょっとは考えろ」
ウリエルが、ジョフィエルにわざとそうしたんだ。
「ジョフィエル、親衛隊に入るということは
こういったイズの顔も見ることになる
それでも意思は変わらないか?」
「私は、イズラエル様をお守りしたい。
ウリエル様が伴侶として守っておられるのは、本当に嬉しい
だけど、ウリエル様が御側にいられない時もある。
その時は、私が盾になりイズラエル様を守りたいのです。」
「なぜ、そこまでイズラエルを崇拝する?」
冷酷無比な表情でウリエルが聞いても、怯むことなく答えが返ってきた。
「一番最初の出会いで、この方は被害を最小限に抑えようと、私の振り払った腕を人に当てないようにした。
本来人間であれば不慮の事故ということもあり得る力を、この方は制してくださった。
そして、なぜ天使が見えるのかを知りたかった。
結果、その翼の美しさも去ることながら、この方のお姿は奇跡としか言いようがなかった。
穢れなく崇高な魂と慈愛、そして強さ、なのに、脆い。
とても強い蜘蛛の糸の様なのに、切れてしまうと全てが崩れてしまうような、危うさがある。
多分、それは伴侶であるウリエル様の事だけだと思う。
だから、私は、その脆いこの方を支えてあげたい。
ウリエル様だけが引き出せる、この方の笑顔をつつがなく守って差し上げたいのです」
そんな立派な者じゃないよ、俺。
でも、ありがとう。
「ウリエル、ミカエル
このジョフィエルは、選抜じゃなくて決定でいいんじゃないかな?」
二人はふむ、という顔をしながら、そうするかという返事を出そうとした時に、それは嫌だと当の本人が辞退した。
「私はちゃんと選抜を受けて、周りから何一つ文句など言わせない守りになります。
イズラエル様のお立場を、少しでも私が良くしたいのです。」
赤い翼の時の事を、ジョフィエルは聞かされていたんだろう。
「ジョシー、俺はね
君みたいに、はっきりと好意を持ってもらえたことはなかったんだ。
天使に転生しても、誰も信じられなかったし
だからね、絶対、選抜通ってね」
そう言うと、初めて硬かった表情が崩れて、真っ赤になって必ず!といういい返事をもらった。
これで、ウリエルのヤキモチが爆発するとは思ってなったんだけどな。
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