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プライドとステータス
しおりを挟む大打撃を喰らったまま、シャズ、ロゲル、トルク、マナイ、トリシュ、それにダリューンと僕が円卓で報告を受けることになった。
もちろんフロウの映像と、報告が一致してるか確認しながらだった。
そして、この円卓に三人の息子が参加しない理由は、エストゥールのお世話があるからだった。
少しでも自分を良い印象にしようと躍起になってるここの大人は、報告もどこか端折り気味だったけど、さすがにポイントだけは押さえてた。
「エディオンは、何か言ってるのか?」
トルクが、低い声で聞いた。
対外的にはエスラは再生されることなく、葬られてこの国で永遠の眠りに就いていると言っても、何度もエスラに会わせてくれだの、本当に愛してるのはエスラだっただの、本当にウザい。
「記憶を改竄されていたとは言え、
あれは自分の本心からした事だろうに。」
「結局、家族にも捨てられたみたいだぞ、アイツ」
「辛うじて、従兄弟がなんとかやってますけど…
魔族からまともに考えられる者が出ないと、内部から問題が起きますね。」
マナイがそう告げたけど。
「マナイ兄様が、取り敢えずの基盤は作られたんでしょ?
外交も魔石とかを流通させて、何とかなってると思ってました。」
「家族が復活して、家族も満足してたらそれで上手くいった気はするけど、結局、魔族を忌避している人達を、魔族にしたんだ。
事実なんか知らない家族は精神もおかしくなるだろうよ。
特にな、エディオンの伴侶がな。
魔族に堕ちた勇者を嫌ったのよ。
英雄じゃない旦那なら、いらんとさ。」
「英雄だから、好きだったって事?」
頭くる。
「そうなるな
魔族にさせられたと恨み言を残して、子供を道連れにした。」
ロゲルが説明をしたけど、殆ど素通りだった。
「エスラは、エディオンを魔族に転生させてしまった事を、物凄く悔やんでたのに。
だから、復活させろって言われた時、自分はもう再生しないだろうと…
最期に抱いて欲しいって!
それで全部終らせて、それはエディオンと家族の為じゃないか!」
「咲季、それはこちら側の言い分だ。
エディオンの家族にとっては、どんなに非道な殺され方をしようと、人でいたかった、そしてエディオンが謀られたとは言え、英雄では無くなった事が重要だったのだろう。
何にプライドを持つかは、其々の矜持だしな。」
何だそれ!
社長じゃなくなったなら、別れましょうみたいな。
ムカつく!
「最初から英雄なんかじゃ無かったんだよ!
それだけだ!
矮小で富とか名誉が欲しかっただけの奴だ。」
僕を見て、マナイが皆んなが感じてる事だと付け加えた。
「これからは一国の対等な相手として外交を結ぶが、未来は分からない。
それだけの相手だ。」
トルクの言葉に、一葉に頷いた。
「レオハルトが生き延びていたけど、あの国も今はお家問題で、それどころじゃなさそうだ。
落とし胤が出て来たそうだ。」
ロゲルがさも可笑しそうに、報告して来た。
まあ、あれだけ穴があれば入る人だしな、アリだろう。
「しかも、ウサギとか」
「え!?ウサギって、チェルシー!?」
忘れてたけど、いたな。
多産系のウサギ族。
「あぁ、あの」
トルクも思い出したらしい。
「で、これが傑作でな、全員ウサギなんだよ」
「一人も獅子とかいないのか」
これはダリューンも聞き返して来た。
「さすがに多産系のウサギだけど、ウサギだけじゃあの国はダメだろうな
産まれてくれてありがとうの国じゃないからな。」
「全員って、そんなに?」
「確か六人かな?」
うわ、性欲強い多産系って聞いてたけど、そうなんだ。
でも、普通にウサギなら可愛いだろうなー、なんて思って、いやいや、うちの子が一番ってドヤ顔したよ。
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