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第一章 江田愛との出会い (2)
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学校の中に入ると、そこまでガヤガヤはしておらず、案外にも、じっと座っているやつもいれば、机に伏せているやつもいる。知っているやつも、少なからずいるが、見たことない顔も結構ある。とりあえず、黒板に張られている座席表を確認する。
「えーと、俺の席は……一番後ろか。」
左側の列の一番後ろの席に、自分の名前が書かれてあった。その後、自分の席に向かい、ゆっくりと椅子に腰を下ろす。ぶっちゃけて言うと、僕は嬉しかった。というか、安心した。
実は、僕は、昔から、人と関わる事が苦手だ。いわゆるコミュ障ってやつだ。コミュ障と言っても、そこまで重いものではないのだが、小さい頃は、人と挨拶するときは後ろに隠れてたと、親も言っているので、多分、生まれつきの性格なんだろう。だから、自分が、一番後ろの席だと知ったときは、素直に心のなかで、少し喜んだ。周りからも注目されにくいから、僕自身は、これから安定した生活を送れると思う。
………と言っているが、実はこれは建前のようなもので、少しだけ残念な気持ちもある。僕は、小中学校、高一、高二は、得意技のコミュ障のせいで、人との関わりが少なかった。それ故に、周りからの陰湿な嫌がらせも、少々あった。当然、助けてくれる人もいなかった。別に助けとかはいらなかったが、先生も含めて、見て見ぬふりをして、僕を放っておいたので、せめては声を掛けてくれても良かったんじゃないかと思う。何だかんだで、前までの生活は、楽しさも、充実感も、微塵に感じなかったし、腑に落ちないところもあった。……いやまあ、半分は自分のせいなんだけどな。
だが、僕は今年から高校3年生。あと一年で、高校生活が終わる。僕自身、自分で自分の居場所を無くすような事はもうしたくない。一年最後の学校生活くらい、充実した生活を味わいたい。だから、僕は、積極的に周りに話しかけようと、決めていた。最低でも、一人くらいは友達が欲しい。コミュ障且つ陰キャの自分を投げ捨てて、良いイメージを持たれるようにしたい。……しかし、いざこの場にいると、やはり自分には無理なんじゃないか、このまま前みたいに、空気のような存在のまま、卒業してしまうのではないか、と不安が自分を襲っていた。なにせ、俺を嫌っていた奴も、クラスに数人いるのだからな。だが、僕は友達を作って、良い学校生活を送ると決めたのだ。だからここで消極的になるわけにはいかない。
「……しかし、どうやって声を掛けよう……」
と、頭を悩ませていると、ガラッと、ドアの音が教室に響いたと同時に、先生らしき女性が、教壇に上がった。見た感じ、気の強そうな人だ。生徒と仲良くなろうとする人じゃなさそうだな。まあ、僕もそれがいい。ぐいぐいと生徒に話しかけるような先生だったら、僕自身戸惑ってしまう。先生は教室を見渡すと、こう言った。
「まずは皆さん、進級おめでとうございます。私は今日からここのクラスを担当します、上野綾(うえのあや)と言います。あなたたちは最上級生として、これからの生活に身を慎んでください。とりあえず、この後は、全校集会ですので、廊下に出てください。」
先生がそう言った後、皆各々教室を出ていく。僕も、早く廊下に出ようとした瞬間、
ドッ
「うっ、」
俺の肩が何かにぶつかった。どうやら人とぶつかってしまったようだ。
「ご、ごめんなさい!」
「あ、いや、その……」
僕も謝罪をしようと思ったが、生憎のコミュ障で上手く言葉が出なかったのと、相手が足早に廊下に出てしまったので、謝れなかった。その後、俺は呟いた。
「それにしてもさっきの人、結構綺麗な人だったような気がするなあ。」
顔はよく見えなかったが、かなり整っていたような気がする。そんなことを思いながら、俺は、教室を後にした。
「えーと、俺の席は……一番後ろか。」
左側の列の一番後ろの席に、自分の名前が書かれてあった。その後、自分の席に向かい、ゆっくりと椅子に腰を下ろす。ぶっちゃけて言うと、僕は嬉しかった。というか、安心した。
実は、僕は、昔から、人と関わる事が苦手だ。いわゆるコミュ障ってやつだ。コミュ障と言っても、そこまで重いものではないのだが、小さい頃は、人と挨拶するときは後ろに隠れてたと、親も言っているので、多分、生まれつきの性格なんだろう。だから、自分が、一番後ろの席だと知ったときは、素直に心のなかで、少し喜んだ。周りからも注目されにくいから、僕自身は、これから安定した生活を送れると思う。
………と言っているが、実はこれは建前のようなもので、少しだけ残念な気持ちもある。僕は、小中学校、高一、高二は、得意技のコミュ障のせいで、人との関わりが少なかった。それ故に、周りからの陰湿な嫌がらせも、少々あった。当然、助けてくれる人もいなかった。別に助けとかはいらなかったが、先生も含めて、見て見ぬふりをして、僕を放っておいたので、せめては声を掛けてくれても良かったんじゃないかと思う。何だかんだで、前までの生活は、楽しさも、充実感も、微塵に感じなかったし、腑に落ちないところもあった。……いやまあ、半分は自分のせいなんだけどな。
だが、僕は今年から高校3年生。あと一年で、高校生活が終わる。僕自身、自分で自分の居場所を無くすような事はもうしたくない。一年最後の学校生活くらい、充実した生活を味わいたい。だから、僕は、積極的に周りに話しかけようと、決めていた。最低でも、一人くらいは友達が欲しい。コミュ障且つ陰キャの自分を投げ捨てて、良いイメージを持たれるようにしたい。……しかし、いざこの場にいると、やはり自分には無理なんじゃないか、このまま前みたいに、空気のような存在のまま、卒業してしまうのではないか、と不安が自分を襲っていた。なにせ、俺を嫌っていた奴も、クラスに数人いるのだからな。だが、僕は友達を作って、良い学校生活を送ると決めたのだ。だからここで消極的になるわけにはいかない。
「……しかし、どうやって声を掛けよう……」
と、頭を悩ませていると、ガラッと、ドアの音が教室に響いたと同時に、先生らしき女性が、教壇に上がった。見た感じ、気の強そうな人だ。生徒と仲良くなろうとする人じゃなさそうだな。まあ、僕もそれがいい。ぐいぐいと生徒に話しかけるような先生だったら、僕自身戸惑ってしまう。先生は教室を見渡すと、こう言った。
「まずは皆さん、進級おめでとうございます。私は今日からここのクラスを担当します、上野綾(うえのあや)と言います。あなたたちは最上級生として、これからの生活に身を慎んでください。とりあえず、この後は、全校集会ですので、廊下に出てください。」
先生がそう言った後、皆各々教室を出ていく。僕も、早く廊下に出ようとした瞬間、
ドッ
「うっ、」
俺の肩が何かにぶつかった。どうやら人とぶつかってしまったようだ。
「ご、ごめんなさい!」
「あ、いや、その……」
僕も謝罪をしようと思ったが、生憎のコミュ障で上手く言葉が出なかったのと、相手が足早に廊下に出てしまったので、謝れなかった。その後、俺は呟いた。
「それにしてもさっきの人、結構綺麗な人だったような気がするなあ。」
顔はよく見えなかったが、かなり整っていたような気がする。そんなことを思いながら、俺は、教室を後にした。
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