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海無し国の海の幸
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むかしむかしのお話。
とても大きな船を持った大商人がいました。
彼は若いながらも商売の腕は確かで親から貰った小さな店から、船を使って国と商売するほどの大きな店に成長させたのです。
そんな彼は今日も船に乗って次の国へ商品を運びます。
さっきまで晴れていた天気が一転、辺りは曇り雨風が強くなってしまいました。
しかし、彼はよくあることと舵取りに目的地までの進路を指示しました。
すると雨と波の音に紛れ綺麗な歌声が聞こえたのです。
商人は目を凝らすと海から突き出た岩場に女性が横たわっています。どうやら彼女が歌声の主のようでした。
商人がもっとよく見ようとすると突如大きな音と衝撃がこの船を襲いました。
なんと、舵取りも女性の姿を見ようと思わずそちらに船を傾けてしまったのです。
岩礁地帯にすすんだ船はもちろん底に大穴が空き沈み始めました。
沈み行く船の中から彼は見ました。
人間だと思っていた美声の持ち主である女性は、なんと下半身が魚の形をした魔物だったのです。
商人はまんまと魔物の罠にはまり溺れてしまったのでした。
商人が目が覚めるとそこは小さな部屋でした。そして、その部屋に一人の女性が入ってきました。彼女の話には商人が近くの砂浜に倒れているのを発見し看病してくれたそうです。
しばらくお世話になった商人はお礼とばかりに女性が出している小さなお店を手伝いだしました。
彼の才覚あってかお店はどんどん大きくなり、二人の仲もみるみる深まって夫婦となりました。
二人が裕福になったそんなある日、彼が砂浜を歩いていると一人の女性が倒れていました。
商人が助け起こしたその女性はとても美しい女性でした。
彼はその女性に、昔助けてもらった自分を重ね家へ連れ帰り看病することに決めました。
家も建て替え、大きな屋敷に住んでいたので妻も快く迎えてくれます。
二人の看病の甲斐あってか、最初ふらつき歩くこともままならなかった女性は歩けるようになりました。
しかし、もともとなのか彼女は話すことができませんでした。
それでも、彼女は家事などの手伝いを率先してやってくれ二人の暮らしはより賑やかに華やかになりました。
そんなある日の夜。
幸せな館に一つの悲鳴がこだましました。
商人は慌てて悲鳴の元に向かいました。
すると、そこには血を流し地面に伏せる妻の姿があります。
その前には言葉を話せぬ女性が立っていました。その手にはナイフが握られていました。
女性は商人を見ると目を見開き口をパクパクとさせると後ずさります。
そのときです。後ずさる女性が血だまりを踏みつけズルッと転びました。
いえ、それは違いました。血を踏みつけた彼女の足は魚のヒレになったのです。
商人は確信しました。船が沈んだあの日、見た異形の魔物だったと。
そして、その魔物が取り逃した自分を追ってきたのだと。
魔物は再び商人に目を向けパクパク口を動かします。そして、なぜか床に広がった血をかき集め必死に口に運び始めたのです。
商人は怖くなり近くの鈍器となりそうなものを掴むと魔物頭を砕きました。
その隙に彼は妻の元に駆け寄ります。息はあるもののとても弱々しい息でした。
そのとき彼は思い出しました。昔、妻に聞いたこの土地の伝説で適量の魔物の血は傷を癒す力があると。
商人は魔物の頭から流れ出る血を手で掬います。その血はとても熱くじわりと手を溶かす感触がしました。
その手をゆっくり妻の口元に運び流し込みます。
不思議なことに手を溶かす感触が有りましたが商人の手は綺麗なままでした。
妻も、少し咳き込みましたが薄れていた意識はしっかりし彼の顔を見て微笑み返してくれました。
こうして、悪夢の夜が明け二人は魔物に襲われることもなくいつまでもいつまでも幸せに暮らしました。
とても大きな船を持った大商人がいました。
彼は若いながらも商売の腕は確かで親から貰った小さな店から、船を使って国と商売するほどの大きな店に成長させたのです。
そんな彼は今日も船に乗って次の国へ商品を運びます。
さっきまで晴れていた天気が一転、辺りは曇り雨風が強くなってしまいました。
しかし、彼はよくあることと舵取りに目的地までの進路を指示しました。
すると雨と波の音に紛れ綺麗な歌声が聞こえたのです。
商人は目を凝らすと海から突き出た岩場に女性が横たわっています。どうやら彼女が歌声の主のようでした。
商人がもっとよく見ようとすると突如大きな音と衝撃がこの船を襲いました。
なんと、舵取りも女性の姿を見ようと思わずそちらに船を傾けてしまったのです。
岩礁地帯にすすんだ船はもちろん底に大穴が空き沈み始めました。
沈み行く船の中から彼は見ました。
人間だと思っていた美声の持ち主である女性は、なんと下半身が魚の形をした魔物だったのです。
商人はまんまと魔物の罠にはまり溺れてしまったのでした。
商人が目が覚めるとそこは小さな部屋でした。そして、その部屋に一人の女性が入ってきました。彼女の話には商人が近くの砂浜に倒れているのを発見し看病してくれたそうです。
しばらくお世話になった商人はお礼とばかりに女性が出している小さなお店を手伝いだしました。
彼の才覚あってかお店はどんどん大きくなり、二人の仲もみるみる深まって夫婦となりました。
二人が裕福になったそんなある日、彼が砂浜を歩いていると一人の女性が倒れていました。
商人が助け起こしたその女性はとても美しい女性でした。
彼はその女性に、昔助けてもらった自分を重ね家へ連れ帰り看病することに決めました。
家も建て替え、大きな屋敷に住んでいたので妻も快く迎えてくれます。
二人の看病の甲斐あってか、最初ふらつき歩くこともままならなかった女性は歩けるようになりました。
しかし、もともとなのか彼女は話すことができませんでした。
それでも、彼女は家事などの手伝いを率先してやってくれ二人の暮らしはより賑やかに華やかになりました。
そんなある日の夜。
幸せな館に一つの悲鳴がこだましました。
商人は慌てて悲鳴の元に向かいました。
すると、そこには血を流し地面に伏せる妻の姿があります。
その前には言葉を話せぬ女性が立っていました。その手にはナイフが握られていました。
女性は商人を見ると目を見開き口をパクパクとさせると後ずさります。
そのときです。後ずさる女性が血だまりを踏みつけズルッと転びました。
いえ、それは違いました。血を踏みつけた彼女の足は魚のヒレになったのです。
商人は確信しました。船が沈んだあの日、見た異形の魔物だったと。
そして、その魔物が取り逃した自分を追ってきたのだと。
魔物は再び商人に目を向けパクパク口を動かします。そして、なぜか床に広がった血をかき集め必死に口に運び始めたのです。
商人は怖くなり近くの鈍器となりそうなものを掴むと魔物頭を砕きました。
その隙に彼は妻の元に駆け寄ります。息はあるもののとても弱々しい息でした。
そのとき彼は思い出しました。昔、妻に聞いたこの土地の伝説で適量の魔物の血は傷を癒す力があると。
商人は魔物の頭から流れ出る血を手で掬います。その血はとても熱くじわりと手を溶かす感触がしました。
その手をゆっくり妻の口元に運び流し込みます。
不思議なことに手を溶かす感触が有りましたが商人の手は綺麗なままでした。
妻も、少し咳き込みましたが薄れていた意識はしっかりし彼の顔を見て微笑み返してくれました。
こうして、悪夢の夜が明け二人は魔物に襲われることもなくいつまでもいつまでも幸せに暮らしました。
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