4 / 13
海無し国の海の幸
3
しおりを挟む
むかしむかしのお話。
とても大きな船を持った大商人がいました。
彼は若いながらも商売の腕は確かで親から貰った小さな店から、船を使って国と商売するほどの大きな店に成長させたのです。
そんな彼は今日も船に乗って次の国へ商品を運びます。
さっきまで晴れていた天気が一転、辺りは曇り雨風が強くなってしまいました。
しかし、彼はよくあることと舵取りに目的地までの進路を指示しました。
すると雨と波の音に紛れ綺麗な歌声が聞こえたのです。
商人は目を凝らすと海から突き出た岩場に女性が横たわっています。どうやら彼女が歌声の主のようでした。
商人がもっとよく見ようとすると突如大きな音と衝撃がこの船を襲いました。
なんと、舵取りも女性の姿を見ようと思わずそちらに船を傾けてしまったのです。
岩礁地帯にすすんだ船はもちろん底に大穴が空き沈み始めました。
沈み行く船の中から彼は見ました。
人間だと思っていた美声の持ち主である女性は、なんと下半身が魚の形をした魔物だったのです。
商人はまんまと魔物の罠にはまり溺れてしまったのでした。
商人が目が覚めるとそこは小さな部屋でした。そして、その部屋に一人の女性が入ってきました。彼女の話には商人が近くの砂浜に倒れているのを発見し看病してくれたそうです。
しばらくお世話になった商人はお礼とばかりに女性が出している小さなお店を手伝いだしました。
彼の才覚あってかお店はどんどん大きくなり、二人の仲もみるみる深まって夫婦となりました。
二人が裕福になったそんなある日、彼が砂浜を歩いていると一人の女性が倒れていました。
商人が助け起こしたその女性はとても美しい女性でした。
彼はその女性に、昔助けてもらった自分を重ね家へ連れ帰り看病することに決めました。
家も建て替え、大きな屋敷に住んでいたので妻も快く迎えてくれます。
二人の看病の甲斐あってか、最初ふらつき歩くこともままならなかった女性は歩けるようになりました。
しかし、もともとなのか彼女は話すことができませんでした。
それでも、彼女は家事などの手伝いを率先してやってくれ二人の暮らしはより賑やかに華やかになりました。
そんなある日の夜。
幸せな館に一つの悲鳴がこだましました。
商人は慌てて悲鳴の元に向かいました。
すると、そこには血を流し地面に伏せる妻の姿があります。
その前には言葉を話せぬ女性が立っていました。その手にはナイフが握られていました。
女性は商人を見ると目を見開き口をパクパクとさせると後ずさります。
そのときです。後ずさる女性が血だまりを踏みつけズルッと転びました。
いえ、それは違いました。血を踏みつけた彼女の足は魚のヒレになったのです。
商人は確信しました。船が沈んだあの日、見た異形の魔物だったと。
そして、その魔物が取り逃した自分を追ってきたのだと。
魔物は再び商人に目を向けパクパク口を動かします。そして、なぜか床に広がった血をかき集め必死に口に運び始めたのです。
商人は怖くなり近くの鈍器となりそうなものを掴むと魔物頭を砕きました。
その隙に彼は妻の元に駆け寄ります。息はあるもののとても弱々しい息でした。
そのとき彼は思い出しました。昔、妻に聞いたこの土地の伝説で適量の魔物の血は傷を癒す力があると。
商人は魔物の頭から流れ出る血を手で掬います。その血はとても熱くじわりと手を溶かす感触がしました。
その手をゆっくり妻の口元に運び流し込みます。
不思議なことに手を溶かす感触が有りましたが商人の手は綺麗なままでした。
妻も、少し咳き込みましたが薄れていた意識はしっかりし彼の顔を見て微笑み返してくれました。
こうして、悪夢の夜が明け二人は魔物に襲われることもなくいつまでもいつまでも幸せに暮らしました。
とても大きな船を持った大商人がいました。
彼は若いながらも商売の腕は確かで親から貰った小さな店から、船を使って国と商売するほどの大きな店に成長させたのです。
そんな彼は今日も船に乗って次の国へ商品を運びます。
さっきまで晴れていた天気が一転、辺りは曇り雨風が強くなってしまいました。
しかし、彼はよくあることと舵取りに目的地までの進路を指示しました。
すると雨と波の音に紛れ綺麗な歌声が聞こえたのです。
商人は目を凝らすと海から突き出た岩場に女性が横たわっています。どうやら彼女が歌声の主のようでした。
商人がもっとよく見ようとすると突如大きな音と衝撃がこの船を襲いました。
なんと、舵取りも女性の姿を見ようと思わずそちらに船を傾けてしまったのです。
岩礁地帯にすすんだ船はもちろん底に大穴が空き沈み始めました。
沈み行く船の中から彼は見ました。
人間だと思っていた美声の持ち主である女性は、なんと下半身が魚の形をした魔物だったのです。
商人はまんまと魔物の罠にはまり溺れてしまったのでした。
商人が目が覚めるとそこは小さな部屋でした。そして、その部屋に一人の女性が入ってきました。彼女の話には商人が近くの砂浜に倒れているのを発見し看病してくれたそうです。
しばらくお世話になった商人はお礼とばかりに女性が出している小さなお店を手伝いだしました。
彼の才覚あってかお店はどんどん大きくなり、二人の仲もみるみる深まって夫婦となりました。
二人が裕福になったそんなある日、彼が砂浜を歩いていると一人の女性が倒れていました。
商人が助け起こしたその女性はとても美しい女性でした。
彼はその女性に、昔助けてもらった自分を重ね家へ連れ帰り看病することに決めました。
家も建て替え、大きな屋敷に住んでいたので妻も快く迎えてくれます。
二人の看病の甲斐あってか、最初ふらつき歩くこともままならなかった女性は歩けるようになりました。
しかし、もともとなのか彼女は話すことができませんでした。
それでも、彼女は家事などの手伝いを率先してやってくれ二人の暮らしはより賑やかに華やかになりました。
そんなある日の夜。
幸せな館に一つの悲鳴がこだましました。
商人は慌てて悲鳴の元に向かいました。
すると、そこには血を流し地面に伏せる妻の姿があります。
その前には言葉を話せぬ女性が立っていました。その手にはナイフが握られていました。
女性は商人を見ると目を見開き口をパクパクとさせると後ずさります。
そのときです。後ずさる女性が血だまりを踏みつけズルッと転びました。
いえ、それは違いました。血を踏みつけた彼女の足は魚のヒレになったのです。
商人は確信しました。船が沈んだあの日、見た異形の魔物だったと。
そして、その魔物が取り逃した自分を追ってきたのだと。
魔物は再び商人に目を向けパクパク口を動かします。そして、なぜか床に広がった血をかき集め必死に口に運び始めたのです。
商人は怖くなり近くの鈍器となりそうなものを掴むと魔物頭を砕きました。
その隙に彼は妻の元に駆け寄ります。息はあるもののとても弱々しい息でした。
そのとき彼は思い出しました。昔、妻に聞いたこの土地の伝説で適量の魔物の血は傷を癒す力があると。
商人は魔物の頭から流れ出る血を手で掬います。その血はとても熱くじわりと手を溶かす感触がしました。
その手をゆっくり妻の口元に運び流し込みます。
不思議なことに手を溶かす感触が有りましたが商人の手は綺麗なままでした。
妻も、少し咳き込みましたが薄れていた意識はしっかりし彼の顔を見て微笑み返してくれました。
こうして、悪夢の夜が明け二人は魔物に襲われることもなくいつまでもいつまでも幸せに暮らしました。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話
yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。
知らない生物、知らない植物、知らない言語。
何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。
臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。
いや、変わらなければならない。
ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。
彼女は後にこう呼ばれることになる。
「ドラゴンの魔女」と。
※この物語はフィクションです。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる