7 / 13
海無し国の海の幸
6
しおりを挟む
「ああ! せっかくの食事が不味くなる!」
最初に沈黙を破り、声をあげたのはアリスであった。
ジャックは変わらず、慣れていると言わんばかりに涼しい顔で食事を取っている。
「まぁ、私のことばかり話してもしょうがないな。貴様の話を教えろ! そうだあれだ、魔物に恩があるとか言っていたが何があったのだ? それくらいなら話してくれても良いだろう?」
アリスはフォークから奪い取った肉を噛みしだきながら言った。
「そうだね、もしかしたら君なら何か知ってるかもしれないからね」
ジャックは少し考えた後に静かに言った。
「実は僕はこの国の生まれじゃないんだ。ここからそう離れていない小さな村、そこが僕の故郷でね。森のなかにある静かでいい村だったよ。それがある日、その村で禁忌を研究してる魔術師がいたらしくそれが聖都の教皇の耳に入り粛正を受けてしまったんだ」
食事に手を動かしたままであったがアリスは考え込むように黙って聞いていた。それは、過去の記憶と話の内容に合致するものがあるかしきりに探しているのだろう。
「村丸ごとの粛正だよ。大人数の聖騎士が送り込まれてきてね、男だけでなく女子供構わず皆殺しさ。中には殺す前に慰みものにされる人もいた。僕は物心ついたばかりの歳で、もちろん対抗する術なんてなかったよ。出来たのは必死で逃げ回り隠れることだけ」
ジャックはまるで見ていただけのように淡々と語る。
隠れながら色々な光景を見たよ。
あまり思い出したくないけどね。
そして、村に火が放たれていよいよ終わりかと思ったときに聖騎士とは違う黒い鎧の騎士が現れたんだ。
その騎士は次々と襲い掛かる聖騎士を切り捨てたんだ。
一振り、一振り確実に急所を狙い、命を奪う剣技は見事だったよ。
僕は逃げるのを忘れてその光景に釘図けになってしまったんだ。
今まで敵だったものがあっささりと倒される、子供心に救世主に見えてしまったんだろうね。
その騎士は辺りの聖騎士を全て殺すと僕に気が付いたようでこちらに近づいてきたんだ。
僕はハッとしたけどもうそれ以上逃げる気力も無くなっていた。それに、この人に殺されて家族の所に行ってもいいかなとかも思っていた。
なんでだろうね、『彼女』が『悲しげに』見えたんだ。顔も体も全て甲冑で覆っているのに彼女って印象を受けたんだ。
その後の彼女の行動のせいかもしれないね、彼女は立ち呆ける僕の前にしゃがみこむと僕を抱き寄せたんだ。甲冑の冷たさしか伝わって来なかったけど小刻みに震える甲冑はまるで謝っているような気がした。
少しの時間立つと彼女は僕を離し、座ったまま指で逃げ道を教えてくれた。言葉は甲冑に反響するうなり声でしかなかったけど多分そのような内容だったのだろうね。
僕はひたすら彼女に教えてもらった道を歩き続けてこの国にたどり着いたってわけさ。
ジャックは話終えると一息ついて水を口に含んだ。
最初に沈黙を破り、声をあげたのはアリスであった。
ジャックは変わらず、慣れていると言わんばかりに涼しい顔で食事を取っている。
「まぁ、私のことばかり話してもしょうがないな。貴様の話を教えろ! そうだあれだ、魔物に恩があるとか言っていたが何があったのだ? それくらいなら話してくれても良いだろう?」
アリスはフォークから奪い取った肉を噛みしだきながら言った。
「そうだね、もしかしたら君なら何か知ってるかもしれないからね」
ジャックは少し考えた後に静かに言った。
「実は僕はこの国の生まれじゃないんだ。ここからそう離れていない小さな村、そこが僕の故郷でね。森のなかにある静かでいい村だったよ。それがある日、その村で禁忌を研究してる魔術師がいたらしくそれが聖都の教皇の耳に入り粛正を受けてしまったんだ」
食事に手を動かしたままであったがアリスは考え込むように黙って聞いていた。それは、過去の記憶と話の内容に合致するものがあるかしきりに探しているのだろう。
「村丸ごとの粛正だよ。大人数の聖騎士が送り込まれてきてね、男だけでなく女子供構わず皆殺しさ。中には殺す前に慰みものにされる人もいた。僕は物心ついたばかりの歳で、もちろん対抗する術なんてなかったよ。出来たのは必死で逃げ回り隠れることだけ」
ジャックはまるで見ていただけのように淡々と語る。
隠れながら色々な光景を見たよ。
あまり思い出したくないけどね。
そして、村に火が放たれていよいよ終わりかと思ったときに聖騎士とは違う黒い鎧の騎士が現れたんだ。
その騎士は次々と襲い掛かる聖騎士を切り捨てたんだ。
一振り、一振り確実に急所を狙い、命を奪う剣技は見事だったよ。
僕は逃げるのを忘れてその光景に釘図けになってしまったんだ。
今まで敵だったものがあっささりと倒される、子供心に救世主に見えてしまったんだろうね。
その騎士は辺りの聖騎士を全て殺すと僕に気が付いたようでこちらに近づいてきたんだ。
僕はハッとしたけどもうそれ以上逃げる気力も無くなっていた。それに、この人に殺されて家族の所に行ってもいいかなとかも思っていた。
なんでだろうね、『彼女』が『悲しげに』見えたんだ。顔も体も全て甲冑で覆っているのに彼女って印象を受けたんだ。
その後の彼女の行動のせいかもしれないね、彼女は立ち呆ける僕の前にしゃがみこむと僕を抱き寄せたんだ。甲冑の冷たさしか伝わって来なかったけど小刻みに震える甲冑はまるで謝っているような気がした。
少しの時間立つと彼女は僕を離し、座ったまま指で逃げ道を教えてくれた。言葉は甲冑に反響するうなり声でしかなかったけど多分そのような内容だったのだろうね。
僕はひたすら彼女に教えてもらった道を歩き続けてこの国にたどり着いたってわけさ。
ジャックは話終えると一息ついて水を口に含んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話
yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。
知らない生物、知らない植物、知らない言語。
何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。
臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。
いや、変わらなければならない。
ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。
彼女は後にこう呼ばれることになる。
「ドラゴンの魔女」と。
※この物語はフィクションです。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる