人に好かれない僕が獣人の国に転移したらおかしいくらいモテた話

清田いい鳥

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33 厩のお仕事

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 厩の仕事は体力勝負だ。寝床の掃除は寝藁が汚れていたら交換。濡れていたら外に干す。飲み水の交換。飼料桶のセットの仕方。飛馬ちょうばは雑食性なので、飼料も食べるし肉も食べるから日によってメニューが変わる。

 ここでは基本的に残飯を食べるので、パーティーなんかがある日は量と豪華さが上がり、それに比例して飛馬のテンションも上がるとか。ジョーカー号が言っていた王城のご飯というのはこのことだった。人間と同じように塩分や糖分が必要なので問題はなく、なんならここの飛馬はよその厩の飛馬より羽根の艶が良いそうだ。

 そしてお風呂。お風呂というより水浴びだが、みんなこれが大好きで、いくら寒くて氷が張っていても入りに行こうとする飛馬もいるそうだ。半分鳥、というか鶏っぽく見えるのだが、鶏は水浴びじゃなくて砂浴び派じゃなかったっけ…?

 お風呂のあとにもするが、挨拶代わりや機嫌を取りたいときにはブラッシングをするのがいいそうだ。ほっといても飛馬は勝手にやるのだが、やってあげるとコミュニケーションになっていいとコーバスさんが教えてくれた。

 ついでだからとオルフェくんも一緒に仕事を手伝ってくれている。僕にもついているらしい匂いのことが一番気になるポイントのようだが、お馬さんの獣人だということと、羽角と彼の耳が似ていることで飛馬はオルフェくんにも興味を示す。何度かつつかれそうになっていたが素早く避けていた。反射神経がいい。流石だな。



「えっ、夜はほっといても大丈夫なんですか?」
「そうだよ。壁の近くで転がっちまうと馬は自力で起きられなかったりするんだが、飛馬は羽根があるから自分で床を押して起きられるし。まだ力のないちっちゃいときは母親が助けるから大丈夫だ」

「へえー、ちっちゃいとき…ここには子供の飛馬っていないんですか?」
「いるよー。明日おじさんと見に行こうか。さっきの放牧のときは寝てたみたいだな。飛馬も育児疲れするからなー」

 するんだ、育児疲れ。タフな生き物らしいけど、そんな生き物でも子供の元気さには敵わないものなのか。楽しみだな、ちっちゃい飛馬。どんな羽根の色をしてるんだろう。



 ──────



 早めに寝支度を整えたはいいものの、やけに広いベッドが何だか怖くて眠れず、ごろごろ寝転んでいるとノックの音とオルフェくんの声がした。『ベッドが広すぎてなんかヤダ』と僕と同じようなことを言っていたので一緒に眠ることにした。

 温かな人肌の心地よさと、慣れない仕事を終えた疲労感でうとうとしていると暗闇で何者かが覆い被さってきた。まあ、オルフェくんしかいないけど。

「そんなに年離れてるかな。十歳離れてる、とかじゃないのに」
「オルフェくんが大人っぽいからね。それくらい離れてる風に見えるんじゃない…もう、ダメ、疲れてるから」

「されてるよな、変なこと。あの時何て言おうとしたの?」
「もう、手ぇ突っ込まないで、…してるけどって言いかけた」

「次の冬で二十六なんだ。誕生日いつ?」 
「十一月四日。でもこっちの暦が違うから……あ、もう…、んっ、そこ、擦らないでよ……」

「とりあえず話合わせておきなよ。面白いから」
「ん…、最初は、こんなちっちゃい子にって…、落ち込んでたくせにっ…あ、」

 疲れによる眠気の波と、弱いところをゆるゆると刺激されて立ち上がる性感が混ざり合い、微睡んでいるのか感じているのかわからないのが絶妙に気持ちいい。真っ暗闇の中だとどこから手が伸びてきて、何をされるのかわからなくてヒヤヒヤするのが却ってたまらない。

 彼が黙ってしまうと全く誰だかわからなくなる。その知らない男の荒くなった吐息を聴いていると、謎の大きい獣に身体を蹂躙されているような気がしてくる。

 時々感じる、よく知っている肌の匂いで思い出して安堵する。その繰り返しで、ギリギリ快感が勝つ不安が増幅してゆく。眠気と快感が交互に来て、揺りかごの中で犯されているような気分だった。

 ナカの、擦られるとたまらなくなってしまう場所はすでによく知られている。そこをしつこく彼のモノの出っ張った部分で擦られ、引っかかれると、簡単に腰が跳ねてしまう。彼が声を立てず笑っている気配がする。さっき口の中を舐められながら流された熱い魔力がじわりと効いて、頭が痺れ、グチュグチュと立てられる音で自分が酷く濡れているのを自覚する。

「カイ、疲れてるのにごめん…、明日から我慢する…、からっ…!」

 逃げやしないのに腰を掴まれ、何度も何度も貫かれる。そのたびに目の前が白くなり、声が零れる。身体が上にズレてしまうと、また引っ張られ戻される。腫れ上がった陰茎の裏筋を擦られ、尿道を指で刺激され、たまらず出してしまった途端にまた強く貫かれた。

 明日から我慢する、かあ。本当かなあ。突然ブツンと音がして暗闇が更に深まったと思ったら、僕はそのまま眠ってしまっていたようだ。気がついたら窓の外が青白く光っていた。




 ──────



『やあだ。あの雄の匂いがついちゃってるわぁ。アタシとも遊んでよぉ。あの雄ばっかりずるーい』
『ほんとだ。オレのだぞーって匂いがプンプンしやがる。ねー、カイ、オレじゃだめぇ? どこまでも飛んでいくぜ?』
「はいはーい。今は運動の時間だよ。早く出ましょうねー」

『ちえー』と言いつつカポカポ蹄を鳴らしながら素直に出ていってくれるので、飛馬の首の辺りをよしよしすると目を細めて喜んでくれた。羽毛に覆われた部分の手触りは、まるで猫のお腹のようだ。

 首を傾けるたび、金色や鋼色の嘴が日を浴びて鈍く光る。磨いたような鳥の嘴、赤いことが多い鶏冠はあるのに嘴の下にはそれがなく、目の形はお馬さん。見慣れた大きい優しげな瞳。この瞳は黒いことが多い。あと睫毛が長くてみんな可愛い。

「カイちゃん、赤ちゃん飛馬が起きたわよ! こっち見においでー」
「ありがとうございます! オルフェくーん、一緒に見に行こー!」

 ──赤ちゃん飛馬! どんな姿をしてるんだろう。



────────────────────
壁の近くで転がると自力で起きらんないってのは、こう、せーの! で勢いをつけるときに壁が邪魔になってしまうって言えば伝わりますかねえ。そういう対応が必要だから泊まり込み管理になるそうです。

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© 2023 清田いい鳥
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