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二章
2-3 健吾の会社訪問 3
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ネット小説は、最近友人になった桐生院浩から教えてもらったものだ。
彼は異世界転移してきたと言っている。嘘を言うような子には見えないけれど、少し空想癖があるのかもしれない。害もないし、むしろ面白いから問題ない。
彼が言うには、元いた世界はアルファもオメガもない世界だって。ベータしかいないような感じだという。
浩はオメガだけれど、こちらの世界に来て身体が変わったのだそうだ。
普通なら頭がおかしいと言うところだろうけど、俺も十分おかしいからちょうどいいい。楽しい友達が出来た。
オメガの自分に絶望していたはずなのに、気付いたらオメガとして幸せな家庭を手に入れていた。まるで異世界に転生したようだ。
平行世界というのだろうか。よく似た別の世界。
穏やかで優しいこの世界が、夢かもしれないとよく思う。
夢なら醒めなければそれでいい。醒めなければ、それが俺にとっての現実だ。
ネット小説を読んでいると、ドアがノックされて紙袋が届けられた。
開けてみると真新しいスーツ一式。着替えろってことだよな。
誰も来ないとはいえ、応接室で着替えるのは抵抗がある。トイレを探して着替えたら、戻れなくなった。
誰かに聞こうにも廊下には誰もいない。
適当な部屋へ入ると、できるサラリーマン! って感じの人が優しく対応してくれた。
借りてた入館証では身分を証明できないから、待っていたらどうかと提案されたので有り難く思っていると、祐志がやってきた。
何故かピリピリしていて、もしかして嫉妬してるのか? 俺なんかに興味あるのは祐志ぐらいだよ。
ちょっといい気分で祐志に手を引かれて元の応接室に戻った。
応接室には兄もいて、昼に近いからと社員食堂へ祐志が案内してくれた。
五百円で三種類のランチが選べる。経済的で便利だ。祐志は外食の機会がいつ入るかわからないから弁当はいらないという。社員食堂の料金が安くて良かった。野菜もちゃんとついていて美味しそうだ。
祐志がニコニコと「どれにする?」なんて言っているけれど、兄も一緒で良いのだろうか。
「兄さん、自分の会社戻らなくていいの?」
「午後に戻ればいい。他所の会社の食堂は興味がある」
「つまり、俺をダシにここの社食をチェックしたいと」
「そういうことだ」
三人で違う種類のランチを食べる。
祐志と兄が並んでいるだけで変な感じだ。祐志は兄に対して敬語だ。歳も上だし、兄の威圧感は半端ないから仕方ないのかもしれない。
「健吾のご飯の方がおいしいんですけど、急に会食になることもあるから弁当にできないんですよね」
「そうだな。健吾は意外に料理が上手い」
「それなりだよ。専業も何年もやってればそれなりにね」
「健吾は凝り性だから、見たことのない調味料とか使ってますよ」
「毎日料理するなら調味料は数があった方が味にバリエーションが出るんだよ。出来合いの調味料より安上がりだし」
「そうか……」
兄が社食についてどう思ったのか分からなかったが、食後は自分の会社へ帰って行った。
「午後は半休にできたから、見学したら一緒に帰ろう」
「え、大丈夫なのか?」
「スーツの健吾が新鮮だからさ、ね」
見学は楽しみだけど、邪魔しちゃって申し訳ない。
祐志はすっかり期待してるけど……たまにはいいいかな。
彼は異世界転移してきたと言っている。嘘を言うような子には見えないけれど、少し空想癖があるのかもしれない。害もないし、むしろ面白いから問題ない。
彼が言うには、元いた世界はアルファもオメガもない世界だって。ベータしかいないような感じだという。
浩はオメガだけれど、こちらの世界に来て身体が変わったのだそうだ。
普通なら頭がおかしいと言うところだろうけど、俺も十分おかしいからちょうどいいい。楽しい友達が出来た。
オメガの自分に絶望していたはずなのに、気付いたらオメガとして幸せな家庭を手に入れていた。まるで異世界に転生したようだ。
平行世界というのだろうか。よく似た別の世界。
穏やかで優しいこの世界が、夢かもしれないとよく思う。
夢なら醒めなければそれでいい。醒めなければ、それが俺にとっての現実だ。
ネット小説を読んでいると、ドアがノックされて紙袋が届けられた。
開けてみると真新しいスーツ一式。着替えろってことだよな。
誰も来ないとはいえ、応接室で着替えるのは抵抗がある。トイレを探して着替えたら、戻れなくなった。
誰かに聞こうにも廊下には誰もいない。
適当な部屋へ入ると、できるサラリーマン! って感じの人が優しく対応してくれた。
借りてた入館証では身分を証明できないから、待っていたらどうかと提案されたので有り難く思っていると、祐志がやってきた。
何故かピリピリしていて、もしかして嫉妬してるのか? 俺なんかに興味あるのは祐志ぐらいだよ。
ちょっといい気分で祐志に手を引かれて元の応接室に戻った。
応接室には兄もいて、昼に近いからと社員食堂へ祐志が案内してくれた。
五百円で三種類のランチが選べる。経済的で便利だ。祐志は外食の機会がいつ入るかわからないから弁当はいらないという。社員食堂の料金が安くて良かった。野菜もちゃんとついていて美味しそうだ。
祐志がニコニコと「どれにする?」なんて言っているけれど、兄も一緒で良いのだろうか。
「兄さん、自分の会社戻らなくていいの?」
「午後に戻ればいい。他所の会社の食堂は興味がある」
「つまり、俺をダシにここの社食をチェックしたいと」
「そういうことだ」
三人で違う種類のランチを食べる。
祐志と兄が並んでいるだけで変な感じだ。祐志は兄に対して敬語だ。歳も上だし、兄の威圧感は半端ないから仕方ないのかもしれない。
「健吾のご飯の方がおいしいんですけど、急に会食になることもあるから弁当にできないんですよね」
「そうだな。健吾は意外に料理が上手い」
「それなりだよ。専業も何年もやってればそれなりにね」
「健吾は凝り性だから、見たことのない調味料とか使ってますよ」
「毎日料理するなら調味料は数があった方が味にバリエーションが出るんだよ。出来合いの調味料より安上がりだし」
「そうか……」
兄が社食についてどう思ったのか分からなかったが、食後は自分の会社へ帰って行った。
「午後は半休にできたから、見学したら一緒に帰ろう」
「え、大丈夫なのか?」
「スーツの健吾が新鮮だからさ、ね」
見学は楽しみだけど、邪魔しちゃって申し訳ない。
祐志はすっかり期待してるけど……たまにはいいいかな。
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