おまけの兄さん自立を目指す 番外編集

松沢ナツオ

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ifストーリー エルビス編

A-5

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次の日、朝食を部屋で早めに取り明け方町を出る事になった。食べながら次の予定を話している。

「次はどこへ行くんですか?」
「ジュード、敬語は無しで。ね?」
「うっ!そうだった。目的地は?」
「一先ず、あと街を二つは抜けたいので、テプスという大きな街を目指しま...んんっ。目指そう。」
「ふっ、ふふふ...俺達、もう既に不審者だね。」
「はぁ...参った。でもやり遂げないと。」

エルビスが困った様子で頭を掻いて、それもいつもと違って新鮮だった。
そんなお互いを笑い合う。

「親戚設定は継続?びっくりする程似てないよね?」
「そうで...ゴホッ!そうだな、どうしたら。」

骨格から違いすぎるし、何より肌の色がエルビスさ...エルビスは褐色だ。俺のは混血児的にごまかすとして、血族には見えない。

「その、こ、恋人は、どう、かな?」
「恋人ですかっ?!」

声がひっくり返ってるね、うん。分かるよ、俺も無茶言ってるよな。

「えっと、親族よりはごまかせるんじゃないかな?と思って。嫌なら無しでっ!!」
「嫌なんかじゃありませんっ!むしろ嬉しいですっ!あっ、いや、ええと...。」

うーわーっ!!甘酸っぱい!俺達超甘酸っぱいよぉぉぉ!自分で言ってなんだけど、恥ずか死ぬっ!
でもさ、その。エッチしても良いってあの時思えたからシたし、今もシても良いかなって思ってるし。
だから、だからさ!言ってみた訳で!

「で、では、私達は、こ、こ、恋人で、良いです...ね?」
「うん...。よろしくお願いします....。」

お互いに俯いて、多分どっちも顔は真っ赤だな...。嘘でも、恋人か。ちょっと嬉しい...。
安全な所に着いたらエルビスを解放してあげなくちゃいけないのに。
今だけ、今だけなんだ。忘れないようにしないとな。

「名前はせっかく覚えたらからそのままでいいよね?あと、俺これでも28なんだけど、ここでは子供に見えるんだよなぁ。」
「身長だけ見たらそうで...だが、顔立ちは子供じゃないので、20歳位にしよう。」
「サバ読みすぎだけど仕方ないな。」

この街に入るときは親戚だったけど、これ以降は恋人って事にする事になった。支度を済ませて、うっすら明るくなった街へと出る。
門は意外と簡単に出られて驚いた。不審者の侵入は気をつけるけど、出るのは緩いそうなのだ。その代わり入るのが大変なので、王都もそれで出られたらしい。もちろんバレて通達が来ていたら出れなかったけど。

途中まで乗合馬車で行き、あとは歩きにして痕跡を残さないようにしたいらしいエルビスさんに従う。
だが、待合所が騒がしい。

「どうした?テプス方面の馬車はどうした?」

エルビスが待合所の職員に聞くと、他の客が答えた。

「折り返しになるはずの馬車が事故で途中で止まってて、こっちに着いてないんだってよ!
このままじゃテプスじゃなくて、トラン村までしか行けんそうだ!代わりの馬車も4日かかるんだってよ。」
「トラン村...か。トラン村からはどうすればいい?馬車はあるか?」
「トランは農村で本数が少ないんだよ!そもそも停車はするけど逗留する所じゃないんだ。
あんな辺鄙な村に2日も逗留じゃ商売上がったりだ!」
「なるほど...。他の馬車は?」

職員が聞いてきた。

「あんたはどっちへ行くんだ?」
「...北を目指している。」
「なら、北西のクードラ行きの馬車の方が早いさ。それならもう少ししたら出発するぜ?」
「クードラか...。」

俺の所に戻ってきて、少し考えていた。

「トラン村じゃ困る?」
「はい..。その先は徒歩で野営しながら街へと行くと、4日は歩いてかかるかと。」
「俺は歩きなれないから迷惑かけるかな?体力は元々あるんだけど、こっち来てから落ちたからなぁ。歩くのは苦じゃないよ?クードラってダメなのか?」
「ダメというか。大きな、とても大きな街なんだが。一つ問題が。」
「なに??」

耳元に口を寄せてきた。

「近衛騎士団長の父親の領地なので。バルバロイ領と言います。殿下と滞在した事があるので、私を知る者に会う可能性も高いんです。」
「騎士団長の...。すぐ、抜けよう。それか街へは食料確保とか最低限にして、すぐに出て、目立たない様に歩いて抜けよう。」
「そう、ですね。そうしましょう。今は少しでも離れたい...。」

俺たちは結局クードラ行きの馬車に乗る。途中で2回街へ停車して泊まり、クードラを目指すコースだというので、途中の街でまた考えても良いだろうという事にした。
危険な街は避ける方向で!

でもさ。そんなちょっと危険な状況だけど、エルビスは結局2人で話す時は敬語に戻っちゃうんだな~って思って何だか面白くなってクスクスと笑ってしまった。
それをキョトンとした顔で見てるエルビスを見たら、声を出して笑っていた。
笑ってる理由なんか分からなくても、俺が笑ってるだけで嬉しそうな横顔に、心の奥がズキリと軋んだのは、俺だけの秘密だ。

ゴトゴトと馬車に揺られるうち、同じ乗合馬車のお客さんと自然と会話するようになるのは当然のことだ。
髭面おじいさんのキリルさんが俺達と意気投合した。

「ジュードちゃんはどこまで行くんだい?」
「俺は、成人してますよ?」
「いやぁ、悪い悪い。どうしてもちっこくてなぁ。えらい美人だからエイデンさんも心配だろ?」
「それはもう心配で目が離せない。」
「...こりゃまた堂々と惚気やがったなぁ。ジュードちゃんは幸せだなぁ?」

俺は真っ赤になって俯くしか出来ない。エルビスさん!演技も程々にしないとどっかでバレちゃうよ?!

「キ、キリルさんはどこまで?俺達は北の方へ行くんだ。」
「儂はこの次の街のテッサって所さ。」
「テッサ...確か染物の有名な町だった様な?」
「エイデンさんは物知りだなぁ。でもよ。最近は色々厳しいんだ。水が穢れたろ?染物には水を使うから、この所病人が増えてな。儂は薬を貰いに教会に来てたのよ。」
「穢れ...。家族が病人なんですか?」
「ああ、孫がな。うっかり穢れが濃い水を飲んじまったらしい。神官様がくれる祝福して貰った薬でなんとか凌いでるが、なかなか厳しくてな。」

俺には穢れの事は良く分からない。聞いてはいるけど、何があってそうなのか。
チラッとエルビスを見るけど、イマイチ反応が良く分からない。あまり深入りしない様に言われてるから、これ以上は聞けない。

最終目的地までは大小の町や村が休憩ポイントになっている。途中下車の人も多い。
テッサって、どんな所だろう。テッサまではまだ1時間以上かかるらしい。中規模の商業の町なんだとか。

ちょっと催事担当の血が騒ぐ。それに、今後は少しは稼ぎながら逃げなくちゃいけないと思うんだ。
商人にはライセンスがいるんだろうか?今は聞けないから、後で聞いてみようと思いながら、テッサへと思いを馳せた。

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当初スランプ脱出の為に書き始めたifルートですが、ノってきたので文字数増えて行くと思います。
不定期ですが、本編に触りがない様にする為なのですいません。
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