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2章
友人になりたい
結婚式を上げた日。カミュに初夜に準備をついて聞かれたが、「僕らには関係ないし気楽だよね」というと、リオネルも「そうだな」と返事をした。というわけで、特に変化はない。
リオネルは皇帝に結婚報告の手紙を送り、三日経過した。そろそろ皇帝と皇后の手に届くはずだ。
僕も、領地にいる父と、皇都にいるグレゴリー兄さん宛に手紙を出した。予定では、母上とジョナサン兄さんは三日後に領地へ帰るはずなので母上も読んだはず。
それぞれ、どんな反応をするだろう。
……などと考えていても時間の無駄なので、今日はリオネルと鉱山に来ていた。やっと許可証ができたのだ。偽造防止で様々な細工が施されているらしい。
実は、かなり興奮してしまっている。実は、鉱山どころか洞窟にも入ったことがなく、冒険気分なのだ。内部は気温が低いとのことで上着も持ってきている。
「ここから二枚の許可証が必要になる。チェーンをつけてあるから、ベルトに装着するといい」
「うん。ありがとう」
金属の板で、複雑な凹凸がついている。少しでも合わないと中に入れないそうだ。それだけではなく、違うチェックがあるらしい。内容は検査官のみが知っていて、外部の人間は知ることができない。
当然、書面で契約していて、持ち出し禁止。二十四時間警備がいる。保管は厳重な鍵付きで、複製する隙を与えないそうだ。
なんだかこう……さらにわくわくするな。
「楽しそうだな」
リオネルが苦笑いで僕を見ていた。
「当たり前だ! 鉱山なんて見たことないんだよ。しかも、金が出るなんてロマンがありすぎる!」
坑道の中は黄金で輝いているんだろうか。早く行きたくてそわそわしている。
鉄柵で囲われた最初のチェックポイントにつき、まずはリオネル、そして僕、護衛であるウォルターとロイクの二人も一緒だ。
許可証の発行数が限られているので、カミュは外で待機することになった。だから上着を受け取り自分で持った……のだが。
「俺が持とう」
「これくらい自分で持てるよ」
「形式上君は妻だからな。妻の荷物は夫が持つものだろう?」
「……わかった」
(いちいち形式上ってつける意味あるか? わかってるんだからさ!)
高揚していた気分に水を差されたが、言い返すのは無意味だと気持ちを切り替えた。
「さぁ、次はこっちだ」
少し歩くと、さっきよりも厳重に囲われた入り口があり大勢の警備員がいた。一番の収入源なのだから当然だ。
「……なんか、ちょっと空気が冷たいような」
講堂の入り口は見えないのに、山の方から冷気が吹いていた。
「ああ。地下の冷たい空気が漏れているんだ。もう上着を着ておくか? 俺は着るぞ」
リオネルは護衛なら受け取った上着を羽織った。
「寒さには慣れてるけど、一応着ておく」
手を伸ばしたが、なんとリオネルが上着を広げ待ち構えている。護衛の二人も驚いていた。
「ありがとう」
彼ら……特にウォルターがにらみつけているが、拒絶する必要がないのでおとなしく着せてもらった。リオネルには当然の行動なのだろうが、それがどんなにウォルターをいらつかせるかは知らないのだろう。
自分の許可証も確認し、門の向こうへ進んだ。また少し歩くと、ついに坑道の入り口が見えてきた。一つだけではない。少なくとも、三つはある。その一つでは、掘り出したであろう原石をトロッコで運んでいた。
「精錬所に興味があったら、次の機会に連れて行く」
「うん。いろいろありがとう」
そっちも楽しみだ。
穴の中入ると、壁にかけられたランプでぼんやりと明るくなっていた。
「ここは、比較的新しい坑道だから、深くまで入らなくてすむんだ。次々にいい鉱脈が見つかるおかげで、当分うちは財源を気にしなくてすむ」
「へぇ……」
僕は周囲を見回す。落盤しないように木材で枠を作っていた。
「ここが金脈だ」
リオネルが指さす方を見ても、黒い石の中に白い石があるだけだった。全然キラキラしていない。
「金って、光ってるもんじゃないの?」
「ああ……、くくく、まぁ、普通はそう思うか」
珍しく笑い声を上げたが、僕の無知がきっかけだなんて恥ずかしくなった。
「いや、だって、知らないから……」
穴があったら入りたい。いや、穴には入っているけれど。
「すまん、ばかにしているんじゃない。俺も同じことを言ったなと思ったんだ」
「リオネルが?」
「ああ、子供の頃に両親と視察にきたが、キラキラしてないといって泣いたらしい。覚えてないんだが」
「そうだったんだ。でも、絶対そう思うって!」
「そうだな。ほら、これが原石だ」
火薬で爆破して砕いた原石を見せてくれた。白い石の間に、キラッと光るものがある。
「これが金? これっぽっちなのか!?」
金貨を作るには、どれだけ山を削るのだろう。それに、固い石から取り出す方法も見当がつかない。
「全部金だったらいいいんだけどな。粉砕して特殊な加工するんだ。それと、量は少ないが川では砂金がとれる。そこでは金の粒がとれることもある
金の結晶もあるが、精錬が必要なことが多いそうだ。
「そっちも厳重に管理しているが、管理区域外でとれることもある。完璧に規制するのは難しいな」
「へぇ~、へぇぇ~! 川に金が転がってるのか? 見てみたいなぁ!」
こんな石ころから金がとれるなんて。それに、この石が全部金になるわけじゃないし、加工も大変そうだ。
「勉強になったよ。だから金を狙った強盗が多いんだな。原石を盗んでも加工できないし。それに……」
荒れ地だったはずがお宝を抱えた山のある土地だった。皇帝になった弟は面白くなかったんじゃないだろうか。自分のものにしたという思惑もありそうだ。だから皇帝ら皇后がやることを見逃しているんだろうか。
鉱山は楽しい。でも、不安材料が増えた気がする。
「それに、なんだ?」
「え? えっと、何も知らなかったらただの石ころだし、持っていかないよな~と思って」
「確かに重いだけの邪魔者だ。だから現物を知らない泥棒は、愚者の金を持ち帰ることが多いんだ」
くくくっと声に出してリオネルが笑った。
「あ、僕も子供のころ金だと思って父上に持っていって、めちゃめちゃ笑われたよ」
「俺もだ」
和やかに会話が続く。そうそう。こんな感じで仲良くなってうまくやれたらいいな。領民にも、僕たちは友人なんだってわかってもらえるよう、積極的に関わることを決意した。
リオネルは皇帝に結婚報告の手紙を送り、三日経過した。そろそろ皇帝と皇后の手に届くはずだ。
僕も、領地にいる父と、皇都にいるグレゴリー兄さん宛に手紙を出した。予定では、母上とジョナサン兄さんは三日後に領地へ帰るはずなので母上も読んだはず。
それぞれ、どんな反応をするだろう。
……などと考えていても時間の無駄なので、今日はリオネルと鉱山に来ていた。やっと許可証ができたのだ。偽造防止で様々な細工が施されているらしい。
実は、かなり興奮してしまっている。実は、鉱山どころか洞窟にも入ったことがなく、冒険気分なのだ。内部は気温が低いとのことで上着も持ってきている。
「ここから二枚の許可証が必要になる。チェーンをつけてあるから、ベルトに装着するといい」
「うん。ありがとう」
金属の板で、複雑な凹凸がついている。少しでも合わないと中に入れないそうだ。それだけではなく、違うチェックがあるらしい。内容は検査官のみが知っていて、外部の人間は知ることができない。
当然、書面で契約していて、持ち出し禁止。二十四時間警備がいる。保管は厳重な鍵付きで、複製する隙を与えないそうだ。
なんだかこう……さらにわくわくするな。
「楽しそうだな」
リオネルが苦笑いで僕を見ていた。
「当たり前だ! 鉱山なんて見たことないんだよ。しかも、金が出るなんてロマンがありすぎる!」
坑道の中は黄金で輝いているんだろうか。早く行きたくてそわそわしている。
鉄柵で囲われた最初のチェックポイントにつき、まずはリオネル、そして僕、護衛であるウォルターとロイクの二人も一緒だ。
許可証の発行数が限られているので、カミュは外で待機することになった。だから上着を受け取り自分で持った……のだが。
「俺が持とう」
「これくらい自分で持てるよ」
「形式上君は妻だからな。妻の荷物は夫が持つものだろう?」
「……わかった」
(いちいち形式上ってつける意味あるか? わかってるんだからさ!)
高揚していた気分に水を差されたが、言い返すのは無意味だと気持ちを切り替えた。
「さぁ、次はこっちだ」
少し歩くと、さっきよりも厳重に囲われた入り口があり大勢の警備員がいた。一番の収入源なのだから当然だ。
「……なんか、ちょっと空気が冷たいような」
講堂の入り口は見えないのに、山の方から冷気が吹いていた。
「ああ。地下の冷たい空気が漏れているんだ。もう上着を着ておくか? 俺は着るぞ」
リオネルは護衛なら受け取った上着を羽織った。
「寒さには慣れてるけど、一応着ておく」
手を伸ばしたが、なんとリオネルが上着を広げ待ち構えている。護衛の二人も驚いていた。
「ありがとう」
彼ら……特にウォルターがにらみつけているが、拒絶する必要がないのでおとなしく着せてもらった。リオネルには当然の行動なのだろうが、それがどんなにウォルターをいらつかせるかは知らないのだろう。
自分の許可証も確認し、門の向こうへ進んだ。また少し歩くと、ついに坑道の入り口が見えてきた。一つだけではない。少なくとも、三つはある。その一つでは、掘り出したであろう原石をトロッコで運んでいた。
「精錬所に興味があったら、次の機会に連れて行く」
「うん。いろいろありがとう」
そっちも楽しみだ。
穴の中入ると、壁にかけられたランプでぼんやりと明るくなっていた。
「ここは、比較的新しい坑道だから、深くまで入らなくてすむんだ。次々にいい鉱脈が見つかるおかげで、当分うちは財源を気にしなくてすむ」
「へぇ……」
僕は周囲を見回す。落盤しないように木材で枠を作っていた。
「ここが金脈だ」
リオネルが指さす方を見ても、黒い石の中に白い石があるだけだった。全然キラキラしていない。
「金って、光ってるもんじゃないの?」
「ああ……、くくく、まぁ、普通はそう思うか」
珍しく笑い声を上げたが、僕の無知がきっかけだなんて恥ずかしくなった。
「いや、だって、知らないから……」
穴があったら入りたい。いや、穴には入っているけれど。
「すまん、ばかにしているんじゃない。俺も同じことを言ったなと思ったんだ」
「リオネルが?」
「ああ、子供の頃に両親と視察にきたが、キラキラしてないといって泣いたらしい。覚えてないんだが」
「そうだったんだ。でも、絶対そう思うって!」
「そうだな。ほら、これが原石だ」
火薬で爆破して砕いた原石を見せてくれた。白い石の間に、キラッと光るものがある。
「これが金? これっぽっちなのか!?」
金貨を作るには、どれだけ山を削るのだろう。それに、固い石から取り出す方法も見当がつかない。
「全部金だったらいいいんだけどな。粉砕して特殊な加工するんだ。それと、量は少ないが川では砂金がとれる。そこでは金の粒がとれることもある
金の結晶もあるが、精錬が必要なことが多いそうだ。
「そっちも厳重に管理しているが、管理区域外でとれることもある。完璧に規制するのは難しいな」
「へぇ~、へぇぇ~! 川に金が転がってるのか? 見てみたいなぁ!」
こんな石ころから金がとれるなんて。それに、この石が全部金になるわけじゃないし、加工も大変そうだ。
「勉強になったよ。だから金を狙った強盗が多いんだな。原石を盗んでも加工できないし。それに……」
荒れ地だったはずがお宝を抱えた山のある土地だった。皇帝になった弟は面白くなかったんじゃないだろうか。自分のものにしたという思惑もありそうだ。だから皇帝ら皇后がやることを見逃しているんだろうか。
鉱山は楽しい。でも、不安材料が増えた気がする。
「それに、なんだ?」
「え? えっと、何も知らなかったらただの石ころだし、持っていかないよな~と思って」
「確かに重いだけの邪魔者だ。だから現物を知らない泥棒は、愚者の金を持ち帰ることが多いんだ」
くくくっと声に出してリオネルが笑った。
「あ、僕も子供のころ金だと思って父上に持っていって、めちゃめちゃ笑われたよ」
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