愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?

日々埋没。

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 故に王族の立場を利用して強引に押し迫れば、簡単に股を開いてくれるに違いないだろう。
 最悪乱暴してしまっても、臣下どもの働き如何でなんとかなるはずだ。
 少なくともそうするだけの権力はあるし、隣国出身とはいえ、たかが男爵令嬢如きが将来この国を背負って立つ自分に刃向かえるはずもない。

 だいたいこうも無防備に男と二人きりになっている時点で、少なからず向こうにもそういった類の意思があるのは自明の理。
 据え膳食わぬは男の恥であるし、どうせ遅かれ早かれ彼女を抱くことになるのだから、だったらその日が今日でも問題ないだろう。

 だがその前に少し喉が渇いてしまった。緊張と興奮と、それからアズールサとフタムフト相手に激高したせいだろうかとマタトニア。
 性交渉よりもまずは茶で喉を潤そうとしてはたとあることに気付く。

「……しまったな、せめて給仕に茶を淹れさせてから追い出すべきだったか」

 返事を求めたつもりはない。たんに口を突いて出ただけの言葉であったが。

「でしたらマタトニア様のために僭越ながらこのわたくしがお淹れいたしますわ」

 と、ミゼリア自ら買って出る。

「おお、頼む。ミゼリアが手ずから淹れてくれた茶ならばこの世のどんな甘露よりも極上の一杯となろうな、楽しみだ」

 茶も貴族の嗜みの一つだが、男爵令嬢とはいえ給仕に命令するのではなく自分で用意できるとは驚きだ。
 流石は自分が見初めた女だとマタトニアは感心する。

「ええ、ですが恥ずかしながらわたくし実はお茶淹れが不得手でして。マタトニア様にこのようなことをお願いして大変恐縮ですけれど、不格好なところをお見せしたくございませんので少しの間目をつむっていていただけますか?」
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