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しおりを挟む「いやぁ、みはるんはなんかまだ分かるけど、かなめんまで腐ってるとは思わなかったわwww」
「なんだろう、その通りだけどなんかこう、別の意味に捉えてしまう…クズではないからな俺!」
まさかの全員腐男子という事実にゲラゲラと大爆笑する夏木を見て、俺はなんとも言えない気持ちになる。みはるんって、こいつ腐バレして一瞬で深春のことあだ名で呼び始めたぞ……名前の後に『ん』つけりゃいいって思ってるんじゃ…いやまぁみはるんはアイドルっぽくて可愛いから良いか。かなめんは麺類みたいだから断じてやめて欲しいけどな!きしめんじゃねぇんだぞ。
ってか、
「いや俺は深春が腐男子なのめっちゃ意外なんだけど!?」
だってあんなに可愛くてピュアそうな、大人しい小動物みたいな子が……。
信じられないという目を向けると、深春は少し恥ずかしそうに目を逸らしながら縮こまった。夏木がようやく笑いを収めて目尻を拭いながら口を挟む。
「俺っちはみはるんとは中学で一応同じクラスだったことがあるから知ってんだけど、みはるん、休憩時間ずっと絵描いてて、それが結構際どいやつだったからもしかしたらとは思ってたんだよねぇ」
「そーなん!?」
衝撃の事実が判明して少し大きい声が出てしまい慌てて声を落とす。おっとおっと、俺としたことが。
夏木の言葉にかぁああっと真っ赤になった深春がぽしょぽしょと言葉を紡ぐ。
「う、み、見てたんだ……僕、絵を描くのが好きで…その、中学生になってスマホを買ってもらったんだけど、そこで好きなイラスト調べてたら、創作のBLにハマっちゃって…」
「え、深春絵描くの!?」
「う、うん……下手だけど、一応漫研にも入ってて」
「マジでっ!?」
え、超見たい!!!!
深春の絵!そんなん見たいに決まってるじゃん!
でも普通に頼んでも深春、謙遜して見してくれないような気がするんだよなぁ。絵が上手い人ほど見してくれないというか。俺も前世で漫画とかイラストとか見るの好きだったから描ける人見るとつい話しかけてたけど、そしたらみんな始めは見してくれないんだよなぁ。下手だからって言うけど、ぜんっぜん下手じゃないのにな!
俺なんて美術はずっと成績3だったぞ。ほとんどテストで稼いでたからまだそんなに崖っぷちじゃなかったけど、実技は正直ゴミだった。先生も最初はダメ出しするけど、途中から俺のこと諦めて全肯定だったもんな、うん。俺には芸術の才能はないらしい。
まぁそれは置いといて、深春はどうやったら絵を見してくれるかな。見してくんね?とか言ったらナチュラルに躱されそうだし……あ!!
ここはアレだ、よくBL漫画とかで、可愛い受けが攻めにしちゃうお願いとかしてみたら良いのでは!?深春、腐男子だしこういうネタすぐ分かるはず!!うんうん、これでこう、笑いに持っていく感じで。
ちょっと目線を低くして、前のめりになる。これで深春から見て上目遣いになってるはず。よしやるぞ。んんっ、ゴホンッ。
「見たい……だめ?深春」
首を僅かに傾けて、欲丸出しできゃるぅうん♡と深春にお願いしてみる。圧倒的キモだけど友達同士の深春ならきっと大丈夫だよな!!理解してくれるはず!!
「………へうっ!」
なんて思った俺が馬鹿でした。普通に深春が両手で口元を隠してしまった。あ、あまりのキモさで吐き気がしたんですね分かります。
「うわわっ、ごめんマジで!!キモかったよなそうだよな……」
慌てて体を起こして元に戻した。
はい調子乗りましたごめんなさい… 俺みたいなモブが、だめ?とか言ったらいけないんだよね。キモくてさすがに全米が吐くよな。うん、知ってた。ほんの出来心だったんだ…エ、エチケット袋とか、いる…?ぐすん。
しゅんしゅん鼻を啜りながらキノコを栽培していると、口元を抑えていた深春が急に俺の両手を取った。ガシッと。
………え?
「なっ、成瀬君!!い、今の!!動画撮るからもう一回やってくれたりしないかなっ!?」
「……はぁっ!?!?!?」
大興奮してます、と顔に書いてあるレベルで頬を上気させた深春が俺の両手をブンブン上下に振ってとんでもないことを口にする。待って待って、罪に対する償いが大きすぎない!?俺の黒歴史が生まれてしまう確実に!!デジタルタトゥーが刻まれるって!!
「今の本当に可愛くてっ、すごく急に創作意欲がっ!!!」
「え、ちょっ……ええっ?」
「絵、見たいんだよね!?僕今の成瀬君描くから、だからっ」
「待って待って待って」
次回予告!!!!!
最高にイカれたモブの俺が、BL本の受けちゃんよろしくきゃるぅんとお願い!!
すると友達の深春がアンコールを要請、なんと動画を回して記録に残して、その動画を元に絵が描きたいと逆にお願いされてしまった!!!
俺、どうなっちゃうの~!?
ではない。
「ほっ、本当に僕の理想の受けそのもので……もう一回、してくれないかなぁ?」
俺の百億倍可愛いお願い(ただし内容は全く可愛くない)をする深春は実は見かけによらず残酷なのかもしれない。俺はとんでもない子に話しかけてしまったのでは?
「い、いやあの、その……今のは完全にノリでやったっていうかさ?そのぉ……意識してするとなると、それはちょっと恥ずかしいと言いますか…」
どうにか回避しようと、ヒクヒクと口角を引き攣らせながらゴニョゴニョ言い訳を並べる。2回目ってもうそれ勇気出してやることだからな!?一回目の悪ノリとは全然違うからなっ!!!
「ってか夏木さっきから黙ってるけどなんか言って!!!」
このままじゃ公開自覚的黒歴史を作らされてしまう!!!と危機を感じて、思わずずっと静かな夏木の方を振り返る。夏木は腐男子っつってもチャラ男だしいくら何でも俺のきゃるぅーん♡な姿なんて2回も見たくないだろ!
「……っておい!!!!なんでビデオカメラ構えてんだよ!」
「ごめんかなめん、俺も、かなめんはやっと出会えた理想の受けだと思ってるんだ…」
「ごめんとかなめん並べて韻踏むなっ!!!ちょっ、二人ともじりじり近づいて来ないでっ!」
俺は無事2回目の醜態を再現し、録画に残された。いつでもデジタルタトゥー状態である。
とりあえず夏木は後で校舎裏に来い。
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