俺を殺す君に!

馬酔木ビシア

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 というか、この2人俺のこと完全に受け認定してるよな!?俺も腐ってるんだって言ったのに!!同じ立場なら当事者ダメだって分かるだろ!



 ハッと我に返ってそう抗議すると、2人は顔を見合わせた。いやいつの間にそんな仲良くなってんの?





「だって、成瀬君はどう見ても天然たらしにしか見えなくて……」




「かなめんは鈍感だし、受けしかなくねぇ?」







 なんでだよおい。断定するな。






「まぁさすがに同じ腐男子なのは予想外って感じだけどさ、俺っち腐男子受けも全然イケるから気にしないでよ!!」




「俺が気にするわっ!!!……俺はまぁ、その、昔身内の影響受けて自然に腐っちゃったというか…まぁ良くある感じだよ」




「あー、姉とか従姉妹から布教されるアレ?結構ベタでウケる」








 うんまぁ、前世の姉だけどさ、なんて言葉はなんとか心の中に留めて溜め息を吐く。姉貴は結構えげつないBL好きだったから、腐ってからはあんま趣味合わなくて戦争したけど。俺は学校とか舞台にした学生同士の話が好きだったんだけど、姉貴はモロR指定の内容とか、たまにヤンデレの監禁モノとか読んでたからな……この攻めの首締めが最高にエロくて最高なのよ、とか言われて、ウワ首締めとか痛そ、って返したらヘッドロックされた記憶がある。俺が逆に姉貴に首締めされたっていうね、ははっ……今だから言えるが姉貴はゴリラだったかもしれない。



 なんて乾いた笑いが漏れそうになっていると、今度は夏木が相変わらず軽いノリでペラペラと自供した。






「俺っちはまぁ、普通にこの学園に通ってる内に染まっちゃったっていうか……ほら、結構同志多いからさ、この学園。たまにだけどBL本とか落ちてたりするんだよね」










 なんつー学園だ、ここは。風紀的に大丈夫なんそれ。






「ま、正直、俺っちは男とヤることに関しては何も思ってないんだけどさ。だからまぁ、オネガイされたら来るもの拒まず、去る者追わずって感じだわ」




「結構最低じゃん……」







 ひらひらと片手を振って話す夏木に俺は思わずうわぁ、とドン引きした目を向けてしまう。もしかして偽チャラ男なのかなとか思った俺が馬鹿みたいじゃんか。普通にヤリチン男ってことが判明してしまった。





 と、ここで隣から深春が爆弾投下。






「つまり、セフレってこと……?」




「セッ!?!?待って、そんな言葉深春から聞きたくなかった…」




「ごめんね成瀬君、僕も腐男子だから結構汚れてる」









 俺がサー…と灰になった音が聞こえた気がした。





「お、俺の純粋で澄んだ深春が……」




「ウケるwwwかなめんってもしかして純情なの?腐歴浅かったりする?」




「結構長いわいっ!!…………純情っつーか、個人的に俺は腐の中でもピュアなのが好きなんだよ」






 でかい声で言うのはちょっと恥ずいのでもそもそ喋ると、夏木がすん、と真顔になって、





「もしかして、R指定系読まねー感じ?胸キュンしか摂取してない?」






 と尋ねた。摂取って何だよ、と思いながらも、目を泳がせて答える。







「……ちょ、ちょっとなら見たことある。一冊まるまるはないけど」








 嘘ではない。姉貴に見せられたことあるし、開いたら結構ガッツリエロだったこともある。でもやっぱなんか苦手で最後まで読んだことはない。



 だってなんか、R指定になるともはやエロ本っぽいというか……確かに萌えるけど、俺は恋が成就するまでのストーリーとか、もどかしい感じが好きなのであって、BLにそこまでエロを求めてない。



 だから『破滅の一途』はストーリー重視で好きだった。颯斗と真澄の幸せ満載のラブラブが甘く書いて可愛いくて尊かったから。モロな描写もちょっとあったにはあったけど、割とソフトに書かれていたし。







 ってかそもそも何でこんなこと言わなきゃならんのだ……普通に気恥ずかしいんだけどこれ。出会って初日にする会話じゃないだろ絶対。




 だんだん恥ずかしくなってきて、顔を顰めて熱くなった頬を手でパタパタと仰ぐと、何やら夏木と深春が意味深な目配せをした。






「理想の受け像として完全に解釈一致なんだけど」




「うん、僕も。完璧だよね」








 どこが一致で完璧なんですかねぇええええ!?!?俺にはさっぱり分からんがっ!?



 もはや突っ込むことに疲れてきた。俺はそもそもノンケなんですけど?この学園でフォーリンラブする気ないんだけど?



 電車内のくたびれたサラリーマンみたいな顔をして机に突っ伏す。すると、何やら大真面目な顔をした深春が俺の目をまっすぐ見た。






「あ、成瀬君、今からすごく大事な質問してもいい?」




「……ん?質問?」




「うん。えと、成瀬君のこと、もっと知りたいなって、思って…」







 良いかな?と控えめに深春がこちらを窺う。うっ、かわいい。リスみたいでかわいい。






「良いに決まってるよ!何でもドンと来い!!!」






 俺は途端に復活して、ニッと笑って胸を叩いた。え、ちょろい?ちょっと何言ってるか分かんない。小動物(深春)からのお願いだぞ?これ断れるやついんの?断ったら罪悪感で死ぬよ絶対。






「わっ、ありがとう!!」







 パァアアアア、と眩いばかりの光に満ちた笑顔を向けられる。この笑みが見れただけで俺に後悔はないぜ……俺はどんなことでも答えてみせる、深春のためなら!!!



 ふわ、と深春が微笑む。









「成瀬君って、処女?」







「ちょっっっと待て??????」










 み、深春サン?





 前提からおかしくないか????






 ん????





 もう何もかもわけわかめすぎて宇宙背負っていると、目の前で大爆笑が起こった。








「あっははぁ、何言ってんのみはるん!www」





「……!!!」








 夏木、お前を正常だと思う時が来るなんて!!!数秒前までヤリチンクソチャラ男腐男子とか思っててごめんな!!!ちょっとはまともだったんだな!!








「かなめんが処女なのは1億年前から決まってる当たり前のことじゃん?www」





「ちょっと表出ろやおい」
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