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しおりを挟むあれから俺は見事に顰めっ面で授業を受けることになった。
何だよ処女って、せめて聞くなら童貞でしょ!!普通の男はみんな処女だし、俺は前世では童貞じゃなかったし!!今世はまぁ、まだ童貞だけど、それはまだ全然年齢的に当たり前だしっ!?
話す相手を間違えたかもしれない。深春は可愛いから許すが、このグループは完全に人選ミスである。俺含め全員腐男子って、もはやサークルじゃんか。っていうか俺は確かに腐ってるけど、第三者の知らないアレコレよりも推しカプのナニソレが見たいんだよっ!
俺氏、激おこである。分かる?この四面楚歌感。グループで自分以外の二人が自分のこと受け認定してくんだよ?色々複雑で心が折れそうだよ俺は。
やや不機嫌なまま俺は寮に帰った。え?深春と夏木?二人とも揃いも揃って俺受け談義に花咲かせてたから置いてったよ。何が悲しくて俺が受けの妄想を友達から聞かなきゃいけないんだよ(白目)。
バッタンとドアを閉める。相変わらず中は薄暗くて、誰もいなかったので電気をつける。うわー、黒瀧君いつ帰って来るかなぁ。ハイスペックって聞いたし俺なんか蹴飛ばされるかもしれん。良い人だったらいいなぁ。あ、できれば腐ってない人でおなしゃす。
ポーイと外したワインレッドのネクタイをベットの上に放りながら、カバンからスマホを取り出す。原則スマホは授業中には使えないから、電源を切ってるんだけど、寮に帰ったらいちいちつけるのが何気にめんどくさい。立ち上がり遅いし。
画面にりんごのマークが浮かび上がってるのを確認して、スウェットとパーカーに着替える。部屋着自由なのが良いよな、やっぱ。オンオフの切り替えができるっていうか。
軽装に着替えた後、ベット上のスマホをもう一回確認。流石にもう起動してるだろ。
「……おわっ、めっちゃ通知きてる」
ロック画面を見たらめちゃくちゃメッセージの通知が来てて焦る。そ、そういえば昨日の夜母さんからなんか来てたけど、結局バタバタして寝落ちしたんだった……。
やべ、重要なことだったらどうしよと俺は慌ててアプリを開いた。ゴクリ、と息を呑んでまず母さんからのメッセージを見る。瞬間、俺は小さく悲鳴をあげてしまった。
「う、わ」
開いたらまず最初に、
『棗ちゃんが要ちゃんに電話がしたいって言ってるんだけど、今から大丈夫かしら?』
って来てて、多分これは母さんが打ったやつだなって分かった。だけどその1時間後に、
『要兄、電話したい。声が聞きたいんだけど、今だめ?🥺』
『要兄見てる?おれずっと返事待ってるんだけど(´・ω・`)忙しいのかな』
『……もしかしておれとの約束忘れてる?寮だから同じ部屋の人と盛り上がってたりするの?😢』
『おれよりその人の方が大事???』
『……おれなんかもういらないの?』
『要兄が世界で一番大好きなのっておれだけなの?』
『ねぇ、要兄もしかして無視してる?』
『おれずっと待ってるのに』
『………おれとの約束破るの?』
って多分1分感覚で怒涛のメッセージ攻めが来てて、文面からこれは棗が母さんの携帯を借りて打ったんだろうなってことが一瞬で分かってしまった。最初は絵文字とか顔文字がついてて多分普通のテンションで聞いてきたんだと思うけど、後半、急に疑問符しか無くなって謎の……とかつき始めてめっちゃ怖い。しかも何が怖いって、俺本当に棗との約束を忘れてたってことが一番怖い。週一で電話するって約束だったからギリセーフかなとか思ったけど、やっぱ初日に連絡待ってたんだ、棗は。俺のせいで天使がメンヘラみたいになってる…。
い、今から絶対電話しよ……そんで土下座しながら謝ろう…見えないけど…俺、棗に嫌われたら生きてけない…。
ズゥウウンと部屋の空気が一気に5トンくらいになったような気がする。ううっ、ごめん棗……不甲斐ない兄で。兄ちゃん普通に寝落ちしてたんだ。
すぐに電話しないと絶対まずいことになるよなって思って、急いで電話を掛ける。
コール音が2回鳴る前に、電話はとられた。
『………要兄?』
少しの間があって、携帯越しに声変わりのしていない少年の声が聞こえる。棗の声は、ちょっと高めで、幼さがある。
…のはずなのに、そこにはいつもの天真爛漫な雰囲気はなくて、あるのはまるで冷気でも出てんのかと言うような低いトーン。声変わりしていない…はずなのにめちゃくちゃ声が低い。
これはガチおこの予兆かもしれない。
俺は思わず生唾を飲み込んだ。
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