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カイ・リンデンバウムの恐ろしき計画
二人の冒険者は適切な見返りを求める 1
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アトハース村へと続く街道は、その周辺の木々を僅かに取り除いただけの森の中を進む道であった。
そんな街道を、二人の冒険者風の若者が歩いている。
彼らはなにやら言い争いながら、その街道とアトハース村の方へと向かって進んでいた。
「なぁ・・・本当に、また行くのか?」
アトハース村へと向かう冒険者の一人、ケネスはその道を進みながらも、それに気乗りしない表情を見せていた。
彼らのような職業の人間が、その村に赴く理由は一つしかないだろう。
彼らはあのダンジョン、冒険者の友へと再び挑戦するのだ。
「あぁ?そんなの当たり前だろう?てゆーか、引き返すんならもっと早く言えよ!もうついちまうだろうが!」
相棒のそんな様子にもう一人の冒険者、エルトンが苛立ったような声を上げていた。
その様子からも、彼があのダンジョンにもう一度挑戦したくて仕方がないことは窺える。
カイが冒険者が潤うようにと懇切丁寧に設計したダンジョンは、彼らからしても美味しい仕事場であろう。
にもかかわらず、何故彼の相棒はそこに向かう事を渋っているのか。
それは彼らが、そこに初めて訪れた時の経験が原因であった。
「俺は最初から反対してるだろ!!それをお前が・・・はぁ、それはもういいや。それよりお前、本気なのか?前回、あれだけ散々な目にあっただろ?」
「あれは・・・タイミングが悪かったんだよ!!お前だって、あんな早朝にあんだけの同業者が集まってるなんて思わなかっただろ!?」
彼らは前回、まだ早朝とも言える時間にダンジョンへと赴いていた。
そこで彼らが目にしたのは、ダンジョンの開場を待っている冒険者の集団であった。
普段よりも遅くなった開場に苛立っていた彼らは、ダンジョンの開場と共にそこへと突撃していってしまう。
彼らの迫力に圧倒されたエルトン達は、当然の事ながら彼らに遅れを取ってしまっていた。
その上、エルトン達は事前にアトハース村に寄っておらず、あのダンジョン特有の仕組みも知らなかった。
そのため彼らはまともにアイテムを手に入れる事も、ほとんど魔物と戦う事も出来ずにダンジョンを後にするしかなかったのであった。
「そりゃそうだが・・・だから今回は、こんな時間にしたのか?」
街道沿いの狭い範囲では木々も取り除かれ、空の様子が窺える。
しかしその範囲は狭く、見渡せる範囲も制限されるだろう。
そんな空の中で太陽の姿を見つけたケネスは、その眩しさに僅かに手を掲げていた。
彼がそんな限られた空の中でもそれを見つけられたのは、今の時間が正午に近いからだろう。
「その通ーり!この時間なら、早朝から気張ってる連中も昼食を取りに村に戻んだろ!そこを俺達が入れ替わるようにして、ダンジョンに向かう訳よ!どうよ、この発想!!完璧じゃない?」
ケネスの言葉に、エルトンは前回の教訓を生かして行動しているのだと誇らしげに語り始める。
彼の考えでは朝一番にダンジョンに挑む連中は、この時間には一度昼食を取るために引き上げるという。
確かに疲労を考えれば一日中ダンジョンに潜り続けるのは現実的ではないし、近くに村があるのならばそこで休憩を取ろうというのも納得出来る考えであった。
しかし果たして、それほどうまくいくだろうか。
その答えは、すぐにケネスの口から語られていた。
「・・・彼らも、携行食ぐらい用意してると思うけどね。あのダンジョンには休める場所もあったし。それに仮にその通りでも、同じような事を考える人なんて幾らでもいるんじゃないかな・・・」
「ん?何か言ったか?」
「いいや、何も」
ダンジョンに潜るという行為は、基本的に長期戦である。
そのため簡単に取れる食事や、ダンジョン内でも休める装備を用意しているのが普通の事であった。
ましてやあのダンジョンはそういった事情を考慮してなのか、魔物の出る事のないスペースまで用意されているのだ。
そう考えれば、わざわざ昼食を取りに村まで帰ろうとする冒険者などいるだろうか。
仮にいたとしてもそれは多くないだろうし、逆に昼食を取ってからダンジョンに向かう冒険者もいるだろう。
そう考え、エルトンの考えに苦言を呈したケネスの声は小さい。
それは彼が、そんな正論ではもはや止まらないと分かっているからだろう。
事実、そんなケネスの言葉を聞き取りもしなかったエルトンに、彼は溜め息交じりに何でもないと首を横に振るばかりであった。
「そうか?それじゃ、早く行こうぜ!村で飯食ったら、早速ダンジョンだ!」
「あぁ、村には寄るんだね。また直接ダンジョンに行くのかと思ってた」
村へと急ごうと促してくるエルトンの姿に、ケネスは意外そうな表情を見せていた。
この街道はアトハース村へと続く道ではあるが、ここからダンジョンに向かってもさほど遠回りではない。
前回オークの集団に遭遇した教訓から、安全の道を選んでいただけだと考えていたケネスからすれば、本当に村に向かうと口にしたエルトンに驚いてしまうのも無理のない話しだろう。
そんな街道を、二人の冒険者風の若者が歩いている。
彼らはなにやら言い争いながら、その街道とアトハース村の方へと向かって進んでいた。
「なぁ・・・本当に、また行くのか?」
アトハース村へと向かう冒険者の一人、ケネスはその道を進みながらも、それに気乗りしない表情を見せていた。
彼らのような職業の人間が、その村に赴く理由は一つしかないだろう。
彼らはあのダンジョン、冒険者の友へと再び挑戦するのだ。
「あぁ?そんなの当たり前だろう?てゆーか、引き返すんならもっと早く言えよ!もうついちまうだろうが!」
相棒のそんな様子にもう一人の冒険者、エルトンが苛立ったような声を上げていた。
その様子からも、彼があのダンジョンにもう一度挑戦したくて仕方がないことは窺える。
カイが冒険者が潤うようにと懇切丁寧に設計したダンジョンは、彼らからしても美味しい仕事場であろう。
にもかかわらず、何故彼の相棒はそこに向かう事を渋っているのか。
それは彼らが、そこに初めて訪れた時の経験が原因であった。
「俺は最初から反対してるだろ!!それをお前が・・・はぁ、それはもういいや。それよりお前、本気なのか?前回、あれだけ散々な目にあっただろ?」
「あれは・・・タイミングが悪かったんだよ!!お前だって、あんな早朝にあんだけの同業者が集まってるなんて思わなかっただろ!?」
彼らは前回、まだ早朝とも言える時間にダンジョンへと赴いていた。
そこで彼らが目にしたのは、ダンジョンの開場を待っている冒険者の集団であった。
普段よりも遅くなった開場に苛立っていた彼らは、ダンジョンの開場と共にそこへと突撃していってしまう。
彼らの迫力に圧倒されたエルトン達は、当然の事ながら彼らに遅れを取ってしまっていた。
その上、エルトン達は事前にアトハース村に寄っておらず、あのダンジョン特有の仕組みも知らなかった。
そのため彼らはまともにアイテムを手に入れる事も、ほとんど魔物と戦う事も出来ずにダンジョンを後にするしかなかったのであった。
「そりゃそうだが・・・だから今回は、こんな時間にしたのか?」
街道沿いの狭い範囲では木々も取り除かれ、空の様子が窺える。
しかしその範囲は狭く、見渡せる範囲も制限されるだろう。
そんな空の中で太陽の姿を見つけたケネスは、その眩しさに僅かに手を掲げていた。
彼がそんな限られた空の中でもそれを見つけられたのは、今の時間が正午に近いからだろう。
「その通ーり!この時間なら、早朝から気張ってる連中も昼食を取りに村に戻んだろ!そこを俺達が入れ替わるようにして、ダンジョンに向かう訳よ!どうよ、この発想!!完璧じゃない?」
ケネスの言葉に、エルトンは前回の教訓を生かして行動しているのだと誇らしげに語り始める。
彼の考えでは朝一番にダンジョンに挑む連中は、この時間には一度昼食を取るために引き上げるという。
確かに疲労を考えれば一日中ダンジョンに潜り続けるのは現実的ではないし、近くに村があるのならばそこで休憩を取ろうというのも納得出来る考えであった。
しかし果たして、それほどうまくいくだろうか。
その答えは、すぐにケネスの口から語られていた。
「・・・彼らも、携行食ぐらい用意してると思うけどね。あのダンジョンには休める場所もあったし。それに仮にその通りでも、同じような事を考える人なんて幾らでもいるんじゃないかな・・・」
「ん?何か言ったか?」
「いいや、何も」
ダンジョンに潜るという行為は、基本的に長期戦である。
そのため簡単に取れる食事や、ダンジョン内でも休める装備を用意しているのが普通の事であった。
ましてやあのダンジョンはそういった事情を考慮してなのか、魔物の出る事のないスペースまで用意されているのだ。
そう考えれば、わざわざ昼食を取りに村まで帰ろうとする冒険者などいるだろうか。
仮にいたとしてもそれは多くないだろうし、逆に昼食を取ってからダンジョンに向かう冒険者もいるだろう。
そう考え、エルトンの考えに苦言を呈したケネスの声は小さい。
それは彼が、そんな正論ではもはや止まらないと分かっているからだろう。
事実、そんなケネスの言葉を聞き取りもしなかったエルトンに、彼は溜め息交じりに何でもないと首を横に振るばかりであった。
「そうか?それじゃ、早く行こうぜ!村で飯食ったら、早速ダンジョンだ!」
「あぁ、村には寄るんだね。また直接ダンジョンに行くのかと思ってた」
村へと急ごうと促してくるエルトンの姿に、ケネスは意外そうな表情を見せていた。
この街道はアトハース村へと続く道ではあるが、ここからダンジョンに向かってもさほど遠回りではない。
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