ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく

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カイ・リンデンバウムの恐ろしき計画

二人の冒険者は適切な見返りを求める 2

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「当たり前だろ?噂では聞いてたが、実際行ってみたらあのダンジョン他とは全然違うじゃねぇか?やっぱりちゃんと情報もらっとかないとな。そこのギルドで貰えるんだろ?」

 冒険者の友と呼ばれるあのダンジョンは、彼らが今まで潜ったダンジョンとは何もかもが違っていた。
 噂ではそう聞いていても、実際にそれを体験するまでは容易に信じる事など出来ない。
 しかし実際にダンジョンを潜れば、もはやそれを疑う事などないだろう。
 流石のエルトンもそれは深く思い知ったようで、情報を求めて村に寄る気になったようだった。

「正確には、ギルドの出張所ね。そういえば、アシュリーちゃんが応援に行ってるとか聞いたな・・・」
「ふーん、そうなの?頑張ってんのかね、あの子」

 エルトンが口にした些細な間違いを訂正したケネスは、その過程でちょっとした事を思い出している。
 それは彼らの知り合いが、そこで働いているというものであった。
 彼らが拠点としている街のギルドで働いていた新人のアシュリーは、その弱い立場から皆がやりたがらない仕事を割り振られたのだろう。
 そんな事実を始めて耳にしたエルトンは、気楽そうに彼女の姿を思い浮かべる。
 彼の記憶にあるアシュリーの姿は、おどおどと気弱そうに冒険者へと応対しているというものであった。

「どうなんだろ?あのダンジョンの発見で急に訪れる人が増えた筈だから・・・エルトン!」
「あぁ、何か聞こえるな。これは・・・戦闘の音か?」

 アシュリーの仕事ぶりを心配する声も、どこかから聞こえてきた物音を耳にすれば、一瞬で緊張したものへと変わる。
 相棒の呼び掛けにそちらへと耳を澄ませたエルトンは、その物音を戦闘の際に発生するものだと推測していた。

「人間の声も聞こえるね・・・どうする、エルトン?この周辺には冒険者も集まってるし、無理に僕達が行かなくても大丈夫だと思うけど?」

 エルトンよりも感覚に優れているケネスは、澄ました耳に人間の声をも拾っている。
 彼はそれを報告した口で、エルトンに助けに行くかどうかを尋ねていた。
 確かに彼の言う通り、この辺りには今多くの冒険者が訪れており、彼らが行かずとも助けに行く者はいるかもしれない。
 それどころか、襲われているのも冒険者である可能性が高いのだ。 
 そんな状況で、果たして彼らがわざわざ動く必要があるのだろうか。
 それに対するエルトンの回答は、酷くシンプルなものであった。

「ははっ、決まってんだろ?行くぞ、ケネス!」
「ふふっ、そういうと思ったよ」

 助けに向かうと宣言したエルトンは、既にその得物である剣すら抜き放っている。
 彼の言葉に嬉しそうに笑みを漏らしたケネスもその実、その両手に既にナイフを握り締めていたのだった。

「でも注意しろよ、エルトン。相手が強敵なら・・・」

 魔物と戦っているのであろう誰かのために足を急がせるケネスはしかし、その危険性についても忘れてはいなかった。
 彼は先走りそうになっている相棒へと、注意を促す声を掛けている。
 それは暗に、自分達に手に負えない魔物ならば、見捨てる事も視野に入れるべきだと語っていた。

「分かってるって!俺達の身の安全を優先、だろ?」
「ふふっ、分かってるのならいいのさ。さぁ、急ごう!やられちゃってたら、元も子もないからね!」

 そんなケネスの言葉を、意外な事にエルトンはあっさりと肯定していた。
 それもそうだろう、彼らは冒険者と言う個人事業主であり、慈善事業を行っている団体などではないのだから。
 何より普段から命を掛けて仕事している彼らだからこそ、他人のために安易に命を掛ける愚かしさを知っているのだろう。
 エルトンのそんな当たり前の事を聞くなという態度に笑みを漏らしたケネスは、さらに足を急がせては救援へと向かっていく。
 折角助けに行くのだ、死んでもらっては損だと彼は語る。
 それもまた、冒険者らしい言葉であった。

「おぅ!せめて飯でも奢ってもらわねぇとな!」
「悪くないね。こんな田舎じゃ、大した飯は期待出来ないけど」
「あぁ?こういう所の飯も、俺は嫌いじゃないぞ?」
「まぁ・・・君はそうだろうね、エルトン」

 丁度昼飯時の時間帯に、空腹を覚え腹を擦ったエルトンは、その代金を助けた人に奢ってもらう事を考えていた。
 その言葉に同意したケネスはしかし、こんな田舎では大した料理は期待出来ないと肩を竦めている。
 エルトンはそんな相棒の言葉に、意味が分からないと首を傾げていたが、逆にケネスの方はそんな彼の反応に納得を示していた。
 エルトンは量さえ多ければいいのだろうと、ケネスは一人呟く。
 魔物との戦闘という緊迫した場面に乗り込もうとしているにもかかわらず、彼らに緊張は見受けられない。
 それは彼らが、自らの腕に相応の自信を持った冒険者であるからだろうか。
 気付けば何かと争う物音はすぐ近くに迫っており、彼らは目配せをすると、すぐに二手に分かれて散っていた。
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