ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく

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カイ・リンデンバウムの恐ろしき計画

カイ・リンデンバウムは全てを見通し指示を出す 4

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「い、いたわ!!」
「ほぅ、どれどれ・・・なるほど。やはり、入り口の方じゃったか」

 ダミアンの褒め言葉とも貶し言葉ともいえない言葉を受けて、セッキが何ともいえない表情を見せていると、ヴェロニカが突然大声を上げていた。
 それは、カイの姿を発見したが故の大声であろう。
 彼女が指し示しているモニターへと顔を寄せたダミアンは、そこがダンジョンの入口の近くである事を確認すると、一人に納得するように頷いていた。

「さて、同行者は一体・・・んん?これは、どういう人選なのじゃ?」

 ダミアンは気になっているカイの同行者へと、その目を向ける。
 しかしそこに映っている者達の姿に、彼は戸惑った声を上げるしか出来ずにいた。

「旦那の後ろにいる二人は、多分冒険者だろう?しかし他の二人は何なんだ?」

 ダミアンの後ろから覗き込むようにしてモニターへと目を向けるセッキは、そこに映っている者達に対して自分なりに分析していく。
 モニターの一番手前に映っているのは、彼らの主人であるカイだ。
 その後ろには頻りに周囲を警戒している、二人の男が映っていた。
 彼らのその様子と、服装や武装から彼らが冒険者であると言い当てたセッキは、ダミアンと同じようにその後ろで守られるようしている二人の姿を見ては、首を捻っていた。

「あれは確か・・・そうだ知ってるぞ!確かメイドとかいう奴だろ!な、な!!そうだろ!?」

 残った二人の内、一人は不安そうに辺りをきょろきょろと窺っている少年であった。
 その少年はしっかりと武装しており、その服装からは冒険者といってもいい見た目であったが、その明らかに荒事に慣れていない様子から、セッキには彼がそういった存在でないと見抜いていた。
 そして最後の一人の姿に、セッキは頭を捻っている。
 その者の姿は、およそダンジョンには相応しくなく、周りからもあからさまに浮いていた。
 しかしどこかその格好に該当する者を見聞きした事があったような気がしたセッキは、必死に頭を捻るとそれがメイドと呼ばれる存在である事を言い当てていた。
 ようやく探り当てたその名前に、嬉しそうに声を上げるセッキは微笑ましい存在であろう。
 それが耳元で、叫ばれていないのであれば。

「えぇい!うるさいわい!!耳元で叫ぶでない、集中できんわ!!」

 嬉しそうにその肩を揺すっては、耳元で叫んでくるセッキに対して、ダミアンはうるさいと怒鳴り散らしている。
 ダミアンに叱りつけられてセッキがしゅんとしていたのは僅かな間だけだろう、彼はすぐにどこか誇らしそうな表情を取り戻すと、そのままの顔で軽くふんぞり返ってみせていた。

「しかしメイドか・・・確かにあれはメイドよの。となると、あの少年はそれなりの身分の者となるが・・・カイ様の狙いはその辺りじゃろうか?うむむ、よう分からんのぅ」

 セッキをうるさいと退けたダミアンも、その意見までも否定した訳ではない。
 セッキがメイドだと喚き散らした女性の姿が、良く見てみれば確かにダミアンにも同じ存在だと思える。
 そう考えれば、あの傍らに佇んでいる少年が彼女の主人という事になるのだろう。
 確かに良く見てみれば彼の服装はどこか金が掛かっており、メイドの女性も彼の事に常に注意を払っているように見える。
 そうとなればあの少年はそれなりの立場の人間という事になるが、果たしてそれがカイの狙いとどう関係があるのか、ダミアンはそれを探りかねているようだった。

「ダ、ダミアン!カイ様が何か仰られるわ!!」
「何じゃと!?人目があろうに、思い切ったことをなさる・・・」

 ダミアンが一人、カイの思惑を探ろうと頭を捻っていると、ヴェロニカが戸惑ったような声を上げていた。
 それはカイが彼女達に向かって、通話を試みようとしているのに気付いたからであった。
 ダンジョン内部の様子を映すモニターは、ダンジョンの壁をその視点として映像を映している。
 カイはそのモニターへとどんどんと近づくと、そこへと手を添えようとしているようであった。
 それは明らかにダンジョンの壁を通して、こちらへと語りかけようとしている仕草だ。
 周りに人目もある中そんな大胆な行動を取ろうとしているカイに、ダミアンが驚いている中、彼はゆっくりと口を開いていた。

『勇者がやってきた。今こそ計画を・・・勇者抹殺計画を発動させるのだ』

 そう一言告げて、カイは去っていく。
 そうしてこの場に残されたのは、重苦しいほどの沈黙であった。

「・・・なるほどなるほど。カイ様は自らの手で、勇者をこのダンジョンへと呼び込んでおられたのか」

 長い沈黙の後、ダミアンが呟いた事が全てであろう。
 彼らの偉大なる主人、カイ・リンデンバウムは自らの手でこのダンジョンへと勇者を招き寄せていたのだ。

「へへへ・・・流石は旦那だぜ。はっはぁ!腕が鳴るねぇ!!俺はちょっくら、先に持ち場に戻っとくからよ!後の事は、二人に任せたぜ!!」

 ダミアンの言葉に心底嬉しそうな笑みを漏らしたセッキは、両手を激しく打ち付けると先ほどとは比較にならないほどの戦意を、その身に滾らせている。
 彼はその興奮した身体をもはや押さえてはおけぬと、早々に走り出すと自らの持ち場へと帰っていく。
 彼の役割は恐らく、最後に勇者を迎え撃つというものであろう。
 どうやってもそれ以外の役割を振られそうにない彼に、この場でやれる事はない。
 その証拠に、全ての仕事を残った二人に押し付けてさっていく彼の事を止める者は、ここにはいないようだった。
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