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第十八話
しおりを挟む次の日、母親がどこかで入れ知恵をされたのか虐めの証拠として残すから全部の擦り傷やら打ち身やらの写真を撮れと病院側に依頼し、病院も母親の剣幕に押されて記録を行いユキトは肩身の狭い思いをして病院を後にした。そして母親はユキトを家へ送る事なくどこかへまた出かけて行った。
夕方、約束通り水野は宿題を持ってやってきてユキトは初めて部屋に人を招き入れた。リビングは雑多なものがあちこちに置かれていて掃除もされていない。
「汚いだろ、ごめん」
「気にしてないよ。これ、宿題と連絡ノート。明日は学校行くの?」
「……行くよ」
ユキトは手渡された荷物の中にあった教師からの手紙を読んだ。今回の事は穏便に済ませたいと暴行を加えた同級生の親達から連絡が入っていて、お母さんと連絡を取りたいが連絡がつかないので早目に電話に出て欲しいとの言伝があった。
「大丈夫かい、」
水野はユキトの部屋に入ると本棚を見ながら気に掛けているのか掛けていないのか判別出来ない口調で聞いた。
「慣れてるんだ」
「痛みに慣れちゃダメだ、心の痛みもね」
その言葉にハッとしてユキトは水野を見た。
「今なんて……」
「なんだい、」
「……ううん、何でもない」
ユキトの本棚には形状が不揃いな本が沢山あった。全部図書館で処分品となっていたものだ。母親に何かを買って欲しいとねだった事など無かった。水野は本棚を見つめて言った。
「難しい本も読むんだね」
「全部図書館のお下がりだから。お金ないんだ」
「この本、僕も読んだよ。これが貰えたの、ラッキーだったね」
それは古い冒険の本でユキトのお気に入りだった。二人は本の話を沢山した。食事は水野が作り、ユキトは同い年の男子でも料理が出来ると言う事を知った。そして二人は毎日の様に放課後を一緒に過ごす様になった。
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