完璧な悪役になってみせる

ミカン

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転生編

第八話

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「美味しいですね!」

今は弟とティータイムを楽しんでいる。

無愛想な返事をしても何度も何度も話しかけてくるイルが心の中では可愛くて仕方ない。
でも、悪役は…

【悪役だって家族と仲良いことあるぞ】

【ほんと?】

確かにそうかもしれない!!
少しずつでもイルと仲良くなれたらいいな。

「そうだね。美味しい。」

「___っ!はい!」


イルside

「イル!あなたは本家にいくのよ!」

「そうだぞ、お前はそのために生まれてきたんだ!」

全部いなくなればいいと思っていた。うるせぇこのばばあもじじいもいなくなればいい。俺は貧乏貴族に生まれた。貧乏なのは浪費家な両親のせいだ。親だなんて思ったことはないけど。

この二人の望みは本家の当主になることらしい。今の当主は紫の髪で紫の瞳だから今の俺は、そっくりらしい。くだらない。当主には子供がいるらしいけど問題があって次期当主にはなれないらしい。

「イル!ついにきたわ!」

本家から俺を養子にと願いがあったらしい。本当になると思っていなかった。



当主に会うと威圧感があり美しい人だった。本当に遠縁でもあの両親とは血が繋がっているとは思えなかった。

「君がイルか。」

「はい!」

悪い子になっていても意味がないからいい子にしていないとな。

「ここに来てくれてありがとう。」

「僕も嬉しいです。」

意外と当主は優しい人であった。

「これからお前の兄である、ヴァレリウスがくる。」

兄か、当主の息子でありながら、次期当主にはなれそうにない息子とはどんなやつなんだ。ワガママなのか?

「ヴァレリウスです。」

部屋に入ってきた瞬間、目を奪われた。キラキラとした大きい紫色の瞳、長いまつ毛。小さい顔。黒髪。
初めてこんなに綺麗な人をみた。黒髪であるということは闇魔法を使えるということか…。でも、そんなこと関係ない。こんなに美しい人と仲良くなりたいという感情が強かった。

お兄様はあまり口数は多くなかったが、何度も訪ねても邪険にはせず、相手をしてくれた。俺に戸惑っているようで可愛い。


ティータイムをしていた時にお兄様の口角が少し上がった。お兄様の笑顔をみて美しい過ぎてクラっとしてしまった。恐ろしいお兄様。俺はずっと可愛い弟を演じていかないと!でも、全然苦痛ではないお兄様を独り占めできるからね。
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