完璧な悪役になってみせる

ミカン

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魔王編

第三十九話

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「おーい、ヴァレリウス!」

「ルカ…?」

寝ていた僕を叩き起こしたのは、昨日も夜中まで研究してたルカだった。

「もしかして寝てないの…?」

「まぁね。」

「ダメだよ。寝なきゃ。」

心配だから怒ったふりで頬を膨らませた。

「あっ、可愛い。」

ルカは気にしていない様子で僕の両頬を手で挟んだ。

「むぅ。」

「そうだ!そうだ。ついに完成したんだ!魔力を貯めておく装置。」

「本当!?よかったじゃん!」

知能がない魔物は炎の近くに寄ってこない習性があるため炎が有効である。でも、火力を保つには定期的に魔力を注がなくてはいけない。

「凄いね!!でも、ここでは…」

魔物の多くは闇属性であるため炎を作ることもできない。だから魔力を貯めても闇魔法しか貯まらない。

「そうそこが難しかったんだよ。聞いてくれる!?まずね……」

始まっちゃった。ルカのお話聞くのは好きだけど中々寝起きはつらいな。

まぁ要約すると闇魔法を貯めたとしても、他属性の魔法に切り替えできるみたいだ。凄いっ!

「——なの!」

一通りルカの話が終わったみたい!

「凄いね!早速使ってみよう!」

ルカはここにきてから魔力の研究が楽しくて仕方ないようだった。でも、一つ気になることがある。

「ねぇ、ルカ。僕はもう人間じゃない。今の僕はもしかしたら人間からしたら敵かもしれない。だから…」

もうここには来ない方がいいんじゃないか、もう僕とは友達やめたほうがいいって言おうとしたけど、ルカという友を失いたくない気持ちが混ざって何も言えなくなった。

「え?何言ってるの?もしヴァレリウスがもう僕と一緒じゃなくてもずっと友達でしょ?!それに魔力が強いここにいるみんなは僕の憧れなんだから!世界中が君の敵になっても僕は味方だからね。」

研究している時につけている丸メガネがキラリとひかる。どうやらこれが彼のドヤ顔みたいだ。

「ルカはやっぱり変わってるね。でも、大好き!」

「ヴァレリウス!」

2人でハグをした。朝っぱらから2人で抱き合って何してるんだろう。

そして、ルカはここに滞在することが決まった。

城や領地の者のルカの評価としては魔王のお友達。キラキラした眼で色々聞いてくるやつ。ちょっとうざいけどいいやつ。みたいな評価みたい。

そして僕はもう一つ気になることがある。ルカに再開したことで昔のことを思い出した。最後まで僕の味方をしてくれたキース、メハイル先生。ハーディルに操られていたみんながどうなったか心配になる。でも、僕の今の居場所はここだから。今は目の前のみんなを守ることが最優先。
なんて言い聞かせるけど、気になって仕方ない…。








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