ある日全てを諦めた

ミカン

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絶望編

第五話

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ルークside

何もかもが前とは違う。前は屋敷はあって使用人たちもいたから、お兄様と二人で暮らしていた。
でも、今は家もないから叔父様の家で暮らしている。叔父様は一人で暮らしていて、使用人もあまり屋敷にいない。僕は叔父様が苦手…だって僕を見る目がレオン様たちと同じだから…

もう、前の世界とは状況が違いすぎて何も頼りにならない。どうすればよかったの?

叔父様とはあまり関わったことがないからどんな人なのかもわからない。



「ルークよくきたな。あぁ、リオンも」

「叔父様、私が18歳になるまではルークとお世話になります。ほら、ルーク挨拶は?」

「叔父様…よろしくお願いします…」

「あぁ。よし、ルーク疲れただろう。抱っこしてあげるよ。」

「あ…あの…」

「叔父様!私がルークを抱っこするので大丈夫です。」

「……チッ!」

「おい、部屋を案内する。」




「ここがルークの部屋だ。」

「叔父様…私の部屋は?」

「リオン、お前は次期当主だ。立派になるためにも今通っている学園の寮に入りなさい。」

「でも、ルークが…」

「安心しろ、ルークの面倒は私がみるからな。」

「いや、でも…」

「黙れ!次期当主の自覚を持て!」

「お兄様…頑張ってください。」

目が涙でよく見えない。

本当はお兄様と一緒にいたい。けど、迷惑かけちゃう…。

二人で暮らしてた時は家のことと学園を両立するのは優秀なお兄様でも苦労してたから。

「…分かりました。ルーク連休には必ず帰ってくるからな。」

「寮の申請は済ませといたからな。早速明日行け。」

「明日ですか?…急過ぎないですか?」

「リオン、口答えばかりするな。ルークはこんなに良い子なんだから。」




「ルークごめんな。」

「僕大丈夫です。ーーーーグスッ」

笑顔でお兄様お送りしようと思っていたのにやっぱり寂しくて涙が出る。

前の世界でもレオン様の婚約者になる前まではずっと一緒にいたから5歳の僕には寂しくてたまらない。


「ルーク、愛してるぞ。」

「僕も大好きです。」

お兄様は僕の額にキスをしてくれた。お母様が僕寝る前にやってくれたものだ。

「お兄様今日…」

「どうした?」

「あの…一緒に寝たいです!!」

「あぁ、もちろんいいよ。」

お兄様は僕が寝るまで子守唄を歌ってくれた。




朝になってすぐにお兄様とお別れの時間になってしまった。

「学園でも頑張ってくださいね、お兄様!」

「ああ!ルーク、手紙書くからな!」

「はい!」

あぁ、行ってしまった。

「ーーヒックーウッ」

「ルーク、こちらに来なさい。」

「はい。叔父様。」

これからはこの人と一緒に暮らしていくんだな。不安…。

「膝の上にのりなさい。」

「あ…うぅ。」

嫌だ…。

「しょうがないな。」

叔父様は僕を軽々持ち上げて膝の上にのせた。

「ルークは軽いな。透き通るような肌。星を閉じ込めたような銀髪。空のような青い瞳。ルナにそっくりだ。」

昔、お兄様から聞いたんだけど叔父様はお母様のことが好きだったらしい。

でも、お母様はお父様のことを愛していたから失恋したって。僕はお母様にそっくりだから叔父様はよく僕に構ってきた。


「叔父様…近いです…」

「あぁ、恥ずかしがった顔もそっくりだ。」

「うぅ…やめてください…」

「ルーク、諦めなさい。もうルークは俺のものだ。」

「嘘です!お兄様が迎えに来てくれます!」

「だと、いいなぁ…ふふ。」





おかしい…一ヶ月たってもお兄様から連絡が来ない…。

「お兄様…どうして?」

あの後も叔父様には体を触られたりした。気持ち悪かったけどお兄様に迷惑かけたくなくて我慢したのに…

「愛しのルーク。お兄様から手紙が来ていたよ。どうぞ。」

叔父様はにやにやして手紙を渡してきた。




ールークへ
お前には呆れた。手紙を何度送っているんだ。返事が来ない時点で気がつけ。
やっとお前のおもりがなくなったんだ。うざったいんだよ。

そもそもこんなことになったのはお前のせいだ。お前がいなかったら俺はお父様とお母様を助けられたし、お前が熱を出さずにお父様とお母様を引き止めなければ二人は無事だったはずた。

どうして生き残ったのはお前なんだ?

叔父様にまで迷惑かけるなよ。言うことを聞け。じゃないと縁を切るからな。もう手紙は送ってくるな。






「嘘…あ…あぁ、ーうぅ。」

「ルーク、私の言うことを聞かないからお兄様が怒ってるではないか。手紙はもう出すなと何度も言ったのに…。これからは言うことを聞くんだぞ。」

お兄様…僕のこと嫌いだったんだ…。でも、僕お兄様のこと大好きだから縁を切られたくないよ。

「来なさい。」

叔父様が強い力で腕を引っ張って地下まで連れてきた。その間僕はずっと泣いたままだった。

「言うことを聞かなかったからここで反省してなさい。」

叔父様は僕を地下牢に入れて鍵を閉めて去っていった。

「うぅ…お兄様…。ーヒック…ヒック」

全部僕のせいだ。ごめんなさいお兄様。でも僕お兄様に嫌われたくないよ。




その日は地下牢の冷たい床で寝た。寒い…

「ルーク、反省したかい?」

「はい。」

「じゃあ、付いてきなさい。」

叔父様に連れられて叔父様の部屋に着いた。

「ルーク、お前はお兄様に見捨てられて私しか頼る人はいないだろう?」

「…」

「ということはルークは僕のものということだ。」

「…」

「ルーク服を脱ぎなさい。」

「……嫌です。」

「脱げ!」

流石の僕も何をされそうになってるかはわかる。今は5歳だけど、中身は結構大人だ。いつもは5歳の僕が強いけど、今は危険な状況だから恐怖を抑えて逃げないといけない。やっぱり叔父様は危ない人だ。

僕は近づいてくる叔父様から逃げるために廊下に出て全力疾走した。

「ハァ…ハァ…」

「出てきなさい!」

でも、ここは叔父様の屋敷で使用人たちも叔父様の命令を聞かなくちゃいけない。

「ルーク!ここにいたか!」

叔父様が僕を抱っこして逃げられないようにした。

「まったくルナに似てお転婆だな。ルナは剣術も得意だから閉じ込めようとしても返り討ちにされだが…」

お母様を閉じ込めようとした?本当に危険な人だ。

「ただ、ルナは兄さんの見た目を気に入って僕を捨てたんだ。だから……。ふふ。ルナのことはもういいんだ。ルークは俺のものだからね。」

たしかに叔父様はお父様とはあまり似ていない。髪と眼は茶色で、ガリガリでお世辞にも美しいとは言えない。

でも、お母様はお父様が美しいからではなくて人柄に惚れたと言っていた。もしも、お父様と叔父様の見た目が逆でもお父様を選んでいたと思う。


「…はなして!」

叔父様の腕の中で暴れ回ったら叔父様の頬に手が当たってしまった。

「ールーク!なんて悪い子なんだ。お前はもう私の甥ではない!」

「ーなっ!」

「お兄様にも伝えておくぞ。」

「待ってください!」

「お前をどうするかはお兄様と決める。追い出される覚悟もしておくんだな。」

「あ…あ、待って下さい叔父様…」

「もう叔父様ではない。ご主人様と呼べ!」

まるでこの時を待っていたかのように叔父様が笑った。








「お兄様から返事が来たぞ。」

「はい。」

あれから地下牢に入れられて3日たった。固い床で寝たせいかな。身体中が痛い。お兄様の気持ちを知るのが怖くて手が震える…みたくないよ。

ールーク話は聞いたぞ。なんてやつだ。もう縁は切る。

「え…?これだけですか…?」

「あぁ、お前に失望したんだろう。お兄様はお前のことはもう知らないと全て私に任せると言ったよ。」

「あ…あぁ…」

「もうお前は俺の所有物と言うことだ。」

嘘だ…僕にはお兄様しかいないのに…。

「さぁ、これからは言うことを聞くんだぞ。」

「…」

「着いてこい。」




僕は叔父様の部屋のベッドに投げ入れられて、手足には手錠をかけられて手錠に付いている鎖をベッドの柱に固定されてしまった。

「…叔父様、やめてください!」

 
「お前にはどこにも行くところがない私のお嫁さんになるんだよ。」

「そんなのいやだ!」

抵抗しても意味がないことは分かっていたけど抵抗しないことなんてできない。

「話が通じないな。仕方がない。反省するまで、ルーク、お前は今から俺の奴隷だ。」

「あ…あぁ。」

これじゃあレオン様たちに閉じ込められた時と何も変わらない。



どうしてこんな事に…?僕はただお父様とお母様が生きていてお兄様と仲良く暮らしたかっただけなのに。

「よし、ルーク。私に奉仕しなさい。」

叔父様の股間のあたりが盛り上がっている。それを押し付けてくる。多分性的なものを要求しているのだけど、そんなことしたくない。

「や!」

近づいてくる叔父様を突き飛ばした。叔父様の顔が真っ赤になってプルプル震えてる。

怒らせてしまった。

「…ご…めん…なさい。」


「ルーク!!!!!お前は言葉も通じないのか!?そうか、ルークは人間でもなくて動物だったんだな。」

「…えっ」

何を言ってるかわからなかった。

「確か動物用の檻があったな。今日からそこがお前の家だ。おい!そこのお前持ってこい!」

「はい。」

叔父様は近くに居る使用人に声をかけていた。この人は何を言ってるの?

しばらくしたら大きめの檻が届いた。叔父様の部屋に設置されるらしい。

「ルーク、人間だったお前はもういない。お前は私の奴隷でもなくなった。私の犬だ。これからはルーと呼ぼう。ふふ。」

「嫌です。もう一回お兄様と話させてください。お願いします。」

「ルー、犬は喋らないだろ?」

「ーなっ!ーーんん!」

叔父様はそう言って僕に口枷をはめた。
今の僕は首輪に口枷をはめられて喋れないから無様な姿だと思う。

僕はこの世界では5歳で、前の世界合わせて25歳くらいだ。でも、もう心が潰されそうだった。お父様とお母様は助けることができず、前の世界ではそばにいて支えてくれたお兄様もいない。

そして最悪な叔父様がいる。僕がおかしくなってしまうのには十分な理由だ。
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