私との婚約を破棄して問題ばかり起こす妹と婚約するみたいなので、私は家から出ていきます

第４１話

　数日後――私とグレイは、リエッタの屋敷に呼ばれていた。
　報告したいことがあるようで、リエッタが私達に話す。

「私の推測通り……シタート家は、マドルオを雇うことに成功したみたいです」

「本当ですか！？」

　私が驚愕した声を出してしまったのは、マドルオの力が信じられなかったからだ。
　
　人の意志を操る禁魔法なんて、本当に実在しているのだろうか。
　更にそんな犯罪者を、焦っているとはいえシタート家は雇うのだろうかと考えてしまった。

　そこまでするほど、ルーミスが異常だと考えたのかもしれない。

　唖然としてしまうと、リエッタが話してくれる。
　予想していただけあって、冷静に何が起きたのかを説明した。

「数週間前、シタート家はアリエス様を屋敷に招待したようです……アリエス様から、ルーミスは礼儀正しくなっていたと聞いています」

「……それは、奇妙ですね」

「更に先日行われた小規模なパーティでも、ルーミスの変化は話題になっていました」

　数週間程度で、あのルーミスがそこまで変われるわけがない。
　アリエスに謝罪することで確認を行い、パーティで洗脳したルーミスを披露したようだ。