代わりはいると言われた私は出て行くと、代わりはいなかったようです

第２７話

アシェル視点

　俺はエドンの発言が信じられず、取り乱すしかない。
　キアラが言えなかった理由も、俺が激昂するのを予想していたからだろう。

「ふざけるな！　アリード領の力ではなくエミリーの力だと！？」

「ひっっ……申し訳ありません！　今まで調査をしていたのですが、間違いありません！！」

「ぐぅぅっ――っ！？」

　俺が困惑していると、エドンが詳しく話す。

　雇った調合魔法使いは、急にポーションを失敗するようになったらしい。
　成功する体力回復ポーションの成功率は３割程度で、それも効力は今までに比べて低すぎるらしい。
　魔力回復、魔力強化ポーションは１度も作れなくなったようで、エミリーが家を捨ててすぐに起きたようだ。

「それなら、すぐエミリーを連れ戻せばよかっただろう！？」

「戻ってくると考えていたので、エミリーがどこに行ったのかもわかりません」

「馬鹿が！！　これからどうするつもりだ！？」

　俺は取り乱しているが、まだ聖女キアラが婚約者だから問題ないと考えていた。
　今までキアラがエミリーの魔力強化ポーションを使っていたことを、俺はこれから知ることとなる。