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第35話
マリウス視点
大広間に集まり、現状を打破するための話し合いを始める。
この場には俺、父上ローノック王、宰相、兵士長ジェノス……そして聖女アビリコがいる。
アビリコは魔力を使い果たし、もう話すことすらできない様子だ。
それでも現状を把握させるため、発言しなくてもこの場にいなければならない。
アビリコは聖女になる責任の重さを理解したようだが、話が違うとも言っていた。
まさかここまで酷い有様になるだなんて、俺も国王である陛下も想像していないことだ。
「未だに、フィーレ様に関する情報が一切ありません」
「もう封印が解けていてもおかしくありません。他国に行った可能性もあります」
宰相の発言を聞いたジェノスが話し、真っ先に陛下が取り乱す。
「他国だと!? もうフィーレが戻ってくる以外に対処する方法はないだろう!?」
陛下が叫び、宰相が宥めるように呟く。
「他国に行った可能性があるとジェノス様が仰いましたが、私としてはその可能性は低いと見ています」
「どうしてですか?」
「フィーレ様の魔力は膨大ですから……別の国で講堂していれば、私の耳に入っていますよ」
そして宰相がフィーレの行動について、話を始める。
フィーレの性格的に負傷した人を見捨てることはできず、膨大な魔力による回復魔法を使うだろう。
他国ならローノック国の元聖女として、もしくは膨大な聖魔力を持った女性として、有名になっているはずだ。
「確かに……俺達が止めても、負傷した冒険者を治すため回復魔法を使った女だ」
「はい。負傷した者を見て、フィーレは見て見ぬフリはできないでしょう」
それならさっさとローノック国の者達を助けるべきだと、俺は考えてしまう。
――まだフィーレは聖女のままだと言えば、従うしかないはずだ。
公爵令嬢のアビリコを切り捨ててでも……俺は、この国を平和に戻したかった。
大広間に集まり、現状を打破するための話し合いを始める。
この場には俺、父上ローノック王、宰相、兵士長ジェノス……そして聖女アビリコがいる。
アビリコは魔力を使い果たし、もう話すことすらできない様子だ。
それでも現状を把握させるため、発言しなくてもこの場にいなければならない。
アビリコは聖女になる責任の重さを理解したようだが、話が違うとも言っていた。
まさかここまで酷い有様になるだなんて、俺も国王である陛下も想像していないことだ。
「未だに、フィーレ様に関する情報が一切ありません」
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宰相の発言を聞いたジェノスが話し、真っ先に陛下が取り乱す。
「他国だと!? もうフィーレが戻ってくる以外に対処する方法はないだろう!?」
陛下が叫び、宰相が宥めるように呟く。
「他国に行った可能性があるとジェノス様が仰いましたが、私としてはその可能性は低いと見ています」
「どうしてですか?」
「フィーレ様の魔力は膨大ですから……別の国で講堂していれば、私の耳に入っていますよ」
そして宰相がフィーレの行動について、話を始める。
フィーレの性格的に負傷した人を見捨てることはできず、膨大な魔力による回復魔法を使うだろう。
他国ならローノック国の元聖女として、もしくは膨大な聖魔力を持った女性として、有名になっているはずだ。
「確かに……俺達が止めても、負傷した冒険者を治すため回復魔法を使った女だ」
「はい。負傷した者を見て、フィーレは見て見ぬフリはできないでしょう」
それならさっさとローノック国の者達を助けるべきだと、俺は考えてしまう。
――まだフィーレは聖女のままだと言えば、従うしかないはずだ。
公爵令嬢のアビリコを切り捨ててでも……俺は、この国を平和に戻したかった。
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