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第1話
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「リーゼの杖には凶悪な魔法が宿っている! その杖の魔法を自分で受けることで、違うことを俺達の前で証明してみせろ!!」
私リーゼ・ローティアは、パーティ会場で婚約者のダーロス王子の叫び声を聞いていた。
――私は今の状況が、破滅寸前だとわかっている。
手に握っている杖は禁魔法が扱える杖で、持っているだけで罪になるほどだ。
私はパーティ会場にダーロス王子の敵がいると知って、対処するために杖を持っている。
今までダーロス王子を消そうとした人がいることは知っていたから、パーティがある時は警戒していた。
全部ダーロス王子を守るためだったのに、私が敵だと思われている。
それはパーティ会場にいる貴族達も同じようで……ダーロス王子の隣にいる女性、伯爵令嬢のベネサが話す。
「リーゼ様の末路に相応しいですね」
その発言は、今までのベネサとは別人のようだった。
今まで誰にも優しい学園で人気者なベネサが、この場で私を完全に見下して嘲笑っている。
――ダーロス王子を狙う刺客の存在を教えてくれたのは、目の前にいるベネサだ。
私が手にしている禁魔法の杖も、ベネサ経由で手に入れた物で……全て公爵令嬢の私とダーロス王子の為と言っていた。
私が追い詰められているのは、全てベネサが関わっていたからだと理解する。
ベネサの発言を疑わずに信じた結果、私は思い通り動いて破滅寸前になっていた。
「まさか……全て貴方が、こうなるよう仕組んでいたのですか!?」
「何を言っているか理解できません。言い逃れる前に、その杖の魔法を自らに使ってください」
王子の前に出ているから、ベネサの顔は私しか見えていない。
ベネサが私に迫り――邪悪な笑みを浮かべたベネサが、私の耳元で囁く。
「ようやく理解したみたいですけど、もう手遅れです」
私にしか聞こえないベネサの発言から……私は、全てを理解する。
「ダーロス王子と私は前から愛し合っています。婚約者のリーゼ様は、私達にとって邪魔でした」
そして――私の手が勝手に動き、禁魔法である死の魔法を宿した杖が黒く光る。
これはベネサの魔法によるもので、杖の魔法で私を消そうとしている。
全てが終わりだと考えた私は、今まで協力してくれたレインを眺めてしまう。
レインは――悔しそうな表情で、私を眺めていた。
もしベネサの仲間なら、ここで現状を悲しむ演技をするとは思えない。
「そう、ですか……」
きっとレインは私の味方で、ベネサは私達の行動を全て把握してこの状況を作っている。
レインは私の味方だとわかって少し楽になり――私は意識を失っていた。
私リーゼ・ローティアは、パーティ会場で婚約者のダーロス王子の叫び声を聞いていた。
――私は今の状況が、破滅寸前だとわかっている。
手に握っている杖は禁魔法が扱える杖で、持っているだけで罪になるほどだ。
私はパーティ会場にダーロス王子の敵がいると知って、対処するために杖を持っている。
今までダーロス王子を消そうとした人がいることは知っていたから、パーティがある時は警戒していた。
全部ダーロス王子を守るためだったのに、私が敵だと思われている。
それはパーティ会場にいる貴族達も同じようで……ダーロス王子の隣にいる女性、伯爵令嬢のベネサが話す。
「リーゼ様の末路に相応しいですね」
その発言は、今までのベネサとは別人のようだった。
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――ダーロス王子を狙う刺客の存在を教えてくれたのは、目の前にいるベネサだ。
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私が追い詰められているのは、全てベネサが関わっていたからだと理解する。
ベネサの発言を疑わずに信じた結果、私は思い通り動いて破滅寸前になっていた。
「まさか……全て貴方が、こうなるよう仕組んでいたのですか!?」
「何を言っているか理解できません。言い逃れる前に、その杖の魔法を自らに使ってください」
王子の前に出ているから、ベネサの顔は私しか見えていない。
ベネサが私に迫り――邪悪な笑みを浮かべたベネサが、私の耳元で囁く。
「ようやく理解したみたいですけど、もう手遅れです」
私にしか聞こえないベネサの発言から……私は、全てを理解する。
「ダーロス王子と私は前から愛し合っています。婚約者のリーゼ様は、私達にとって邪魔でした」
そして――私の手が勝手に動き、禁魔法である死の魔法を宿した杖が黒く光る。
これはベネサの魔法によるもので、杖の魔法で私を消そうとしている。
全てが終わりだと考えた私は、今まで協力してくれたレインを眺めてしまう。
レインは――悔しそうな表情で、私を眺めていた。
もしベネサの仲間なら、ここで現状を悲しむ演技をするとは思えない。
「そう、ですか……」
きっとレインは私の味方で、ベネサは私達の行動を全て把握してこの状況を作っている。
レインは私の味方だとわかって少し楽になり――私は意識を失っていた。
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