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第5話
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数日後――私は休日にレインの屋敷へ向かい、話をしていた。
楽しく話している時、レインが私を心配して尋ねる。
「リーゼ様にはダーロス王子という婚約者がいますけど、休日を私と過ごして大丈夫でしょうか?」
「あの人は今ベネサ様と仲良くしていますもの。それなら、私がレイン様と仲良くしても問題ないはずです」
「その通りですね! リーゼ様は何も悪くありません!」
嬉しそうに話すレインを眺めて、私は思わず聞いてしまう。
「もし……レイン様がダーロス王子に嫉妬されないか不安になっているのでしたら、もう屋敷に来ない方がよろしいでしょうか?」
「そんな!? そもぞもあの王子がリーゼ様という素敵な人がいるのに、ベネサと仲良くしているのが悪いのです!!」
私が尋ねると、レインは勢いよく返答していた。
ダーロス王子を「あの王子」呼ばわりで、ベネサは呼び捨てだ。
やっぱりレインは私を貶めようと考えているわけではなく、協力したかったから時間が戻る前は動いてくれたに違いない。
「私もそう思います……レイン様が大丈夫でしたら、また屋敷に来てもよろしいでしょうか?」
「はい! いつでも歓迎いたしますし、リーゼ様の為なら私は全ての予定を消すことができます!」
「そ、そうですか……」
時間が戻る前にも聞いたことがあるけど、冷静になるとレインは凄いことを言っている。
ここまで盲目的だと、私を理由に利用されないか不安になってしまう。
いいえ――レインは優秀だから、私が指示を出さない限りそんなことにはならなそうだ。
レインが協力してくれると確信した私は、本題に入る。
「これはまだ確信したわけではありませんけど……ダーロス王子は、ベネサ様と協力して私を破滅させようとしているかもしれません」
これからの出来事を知ってるなんて言えるわけがないから、あくまで推測にする。
私を破滅と聞いて、レインは真剣な表情になっていた。
「それは穏やかではありませんね……リーゼ様が少しでもそう感じたのなら、私は全力で守ってみせます」
「あ、ありがとう……ございます」
熱意にお礼を言うけど、真剣な表情のレインが近くて私は顔が赤くなっているのを自覚する。
レインとは昔から仲がよくて――私は今になって、ダーロス王子よりレインが婚約者になって欲しかったと想っていた。
ダーロス王子の婚約者になった以上、家の為にもと私は受け入れていたけど、破滅する未来を知ったのなら別だ。
破滅を防ぎ、できればレインと婚約者になりたいと――この時の私は想っていた。
楽しく話している時、レインが私を心配して尋ねる。
「リーゼ様にはダーロス王子という婚約者がいますけど、休日を私と過ごして大丈夫でしょうか?」
「あの人は今ベネサ様と仲良くしていますもの。それなら、私がレイン様と仲良くしても問題ないはずです」
「その通りですね! リーゼ様は何も悪くありません!」
嬉しそうに話すレインを眺めて、私は思わず聞いてしまう。
「もし……レイン様がダーロス王子に嫉妬されないか不安になっているのでしたら、もう屋敷に来ない方がよろしいでしょうか?」
「そんな!? そもぞもあの王子がリーゼ様という素敵な人がいるのに、ベネサと仲良くしているのが悪いのです!!」
私が尋ねると、レインは勢いよく返答していた。
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やっぱりレインは私を貶めようと考えているわけではなく、協力したかったから時間が戻る前は動いてくれたに違いない。
「私もそう思います……レイン様が大丈夫でしたら、また屋敷に来てもよろしいでしょうか?」
「はい! いつでも歓迎いたしますし、リーゼ様の為なら私は全ての予定を消すことができます!」
「そ、そうですか……」
時間が戻る前にも聞いたことがあるけど、冷静になるとレインは凄いことを言っている。
ここまで盲目的だと、私を理由に利用されないか不安になってしまう。
いいえ――レインは優秀だから、私が指示を出さない限りそんなことにはならなそうだ。
レインが協力してくれると確信した私は、本題に入る。
「これはまだ確信したわけではありませんけど……ダーロス王子は、ベネサ様と協力して私を破滅させようとしているかもしれません」
これからの出来事を知ってるなんて言えるわけがないから、あくまで推測にする。
私を破滅と聞いて、レインは真剣な表情になっていた。
「それは穏やかではありませんね……リーゼ様が少しでもそう感じたのなら、私は全力で守ってみせます」
「あ、ありがとう……ございます」
熱意にお礼を言うけど、真剣な表情のレインが近くて私は顔が赤くなっているのを自覚する。
レインとは昔から仲がよくて――私は今になって、ダーロス王子よりレインが婚約者になって欲しかったと想っていた。
ダーロス王子の婚約者になった以上、家の為にもと私は受け入れていたけど、破滅する未来を知ったのなら別だ。
破滅を防ぎ、できればレインと婚約者になりたいと――この時の私は想っていた。
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