破滅した令嬢は時間が戻ったので、破滅しないよう動きます

第１０話

　私がベネサを焦らせてから１ヶ月が経って、思い通り進んでいる。

　学園内ではベネサがダーロス王子に迫りすぎだと、悪評が立っていた。

　婚約者で公爵令嬢の私がいるのに、侯爵令嬢のベネサがダーロス王子に迫っている。

　時間が戻る前は私の悪評を立たせることで、迫っても問題ない状況を作っていた。

　それが今では私は冷静で、ベネサよりも成績が上になっている。

「リーゼ様……ダーロス王子を狙う敵に対して、警戒しなくてよろしいのですか？」

　ベネサと廊下を歩いている時に尋ねてくるけど、内心はかなり苛立っていそうだ。

　恐らく今まで私を観察して、思い通り動かせると考えている。
　そんな私が別人のようになっているのだから、焦るのは当然だ。

「警戒しています。だからこそダーロス王子を守るため、私は魔法に詳しくなろうとしています」

「っっ……確かにそうですね」

　時間が戻るなんて思考の外だろうから、私を見誤っていたと思わせる。

　ベネサは明らかに焦っていて――私に対して、行動を起こそうとしていた。