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第3話
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屋敷の執事やメイドは私を侮り、ラウドから命令されていたようだ。
親が決めた結婚で、ラウドとしては前に婚約していたクノレナと結婚したい。
私がなにか問題を起こせば即離婚して、その後クノレナと元の関係に戻れないか親に相談する。
もしラウドの予定通りになれば使用人はクノレナに従うこととなるから、キャシーには冷たく接しろと言われていたようだ。
これは一部の使用人は知っていたけど、義姉ミリカは何も聞かされていなかったようだ。
使用人達の話を聞き、私はミリカに尋ねる。
「どうやらラウド様は、クノレラ様と結婚する準備を進めていたようですね。私はどうなるのでしょうか?」
私の今後は、隣にいるミリカが決めることとなりそうだ
義姉のミリカは味方となってくれそうだけど、立場は長男ラウドの方が上だ。
目論見通り私が問題を起こして離婚することになれば、クノレナとの結婚を止められない気がしている。
それよりも私が問題を起こすとラウドが想定していることが、気になってしまう。
クノレナは屋敷の物を盗んだことが発覚して婚約を破棄されたようだけど、私はそんなことをする気は一切ない。
問題を起こす人間とは思われていないはずだけど……夫ラウドは、なにか企んでいそうだ。
私は思案しながら、まずミリカの意見を聞くことにする。
同じように使用人の話を聞いて思案していたミリカは、私を眺めて言う。
「……キャシーは、ラウドと結婚することに賛同したのよね?」
「はい。親同士が決めたことですが、結婚してから好きになれると思っていました」
お互い嘘が嫌いと明言しているから、私は本心を話す。
親同士が決めた結婚で、ラウドとはあまり関わることなく結婚してしまう。
今思えば、ラウドはクノレナと結婚したかったから私を避けていたと推測できた。
今の私はラウドを好きではないし、離婚したいのなら離婚して構わない。
それでも私のせいにされるのは嫌で、義姉ミリカの発言に驚くこととな。
「それなら、私の弟ザダクと結婚しても、問題ないかしら?」
「ミリカお姉様は、いきなり何を言っているのですか?」
ラウドにザダクという弟がいるのは聞いていたし、結婚式で挨拶している。
それでも……ザダクは今日知り合った人で、私のことをザダクは知らないでしょう。
提案に困惑してしまうけど、ミリカは本気のようだ。
「ラウドのことをよく知らない内に結婚させられたのなら、今日会ったザダクと結婚してもいいんじゃないかしら?」
「私としては、貴族として生まれたから結婚を受け入れましたけど……ザダク様の気持ちが大事でしょう」
「それもそうね。それなら今から会って話せばいいわ」
「……それって、ザダク様に今日の出来事を全て話すことになりますよね」
今日の結婚式が初対面の人と、いきなり結婚しろと姉に言われる。
その理由が兄の浮気で、結婚初日なのに屋敷を出て浮気したからとか……ザダクは信じてくれるのだろうか?
■◇■◇■◇■◇■
「私が新しく家族となる人ができて喜んでいる間に、兄の家庭が崩壊したのですか」
「主にラウド自身のせいでね」
部屋で今日の出来事を説明すると、ザダクは唖然としながら姉ミリカの話を聞いていた。
ザダクは短い黒髪の美青年で、私より2歳年下と聞いている。
2人の会話を聞き、私は尋ねる。
「あの……気になっていたのですが、どうして兄なのにキャシーお姉様はザダク様を呼び捨てなんですか? ザダクお兄様じゃないんですか?」
「次期領主として相応しくなってから呼ぶつもりで、それまでは呼び捨てだったけど……今日の件で、敬うことは一生ないわね」
「屋敷の魔法道具を幾つも盗んだクノレナ様を、兄がまだ愛していたことにも驚きました」
「お父様に許して欲しいと頼み込んだ辺りから、怪しかったわね。盗品が返ってこなかったから許されなかったけど、今日はよくクノレナの屋敷へ行ったものよ」
相手が婚約者だったこともあり、クノレナの窃盗は大事にならなかったらしい。
それでも婚約は破棄されたようで、それを知ってもラウドはクノレナを好きでいたようだ。
「私はキャシーを気に入ったから、ザダクがキャシーと結婚しなさい」
「それは……姉上は、今日結婚したばかりのキャシー様の気持ちを考えた上で言ってますか?」
「ラウドよりは考えているわよ。ラウドなんかと結婚してくれたのに、このままだと私達の屋敷からいなくなるわよ?」
「それは……キャシー様はどうしたいのですか?」
「私ですか?」
「はい。今日が初対面なのに、私なんかと結婚しろと言われて納得できのですか?」
姉弟の会話を聞いていた私に、ザダクが尋ねる。
ザダクは婚約者がいないと聞いていたけど、何か問題があるのだろうか?
それでも結婚初日から浮気したラウドよりは、ザダクの方が好きだと断言できる。
「気遣ってくれた時点でラウド様より好きなので、結婚してもらえるのならその方がいいですね」
「な、なるほど……まだどうなるのかわかりませんし、今は可能性の一つということにしておきましょう」
「そうですね」
ザダクは私より2際年下で、短い黒髪の美青年だ。
そのザダクの髪を長くして目つきが悪くなればラウドに似てそうで、兄弟とよくわかる。
性格は全然違うようで、夫の浮気を知るとザダクと結婚したかったと思うようになっていた。
親が決めた結婚で、ラウドとしては前に婚約していたクノレナと結婚したい。
私がなにか問題を起こせば即離婚して、その後クノレナと元の関係に戻れないか親に相談する。
もしラウドの予定通りになれば使用人はクノレナに従うこととなるから、キャシーには冷たく接しろと言われていたようだ。
これは一部の使用人は知っていたけど、義姉ミリカは何も聞かされていなかったようだ。
使用人達の話を聞き、私はミリカに尋ねる。
「どうやらラウド様は、クノレラ様と結婚する準備を進めていたようですね。私はどうなるのでしょうか?」
私の今後は、隣にいるミリカが決めることとなりそうだ
義姉のミリカは味方となってくれそうだけど、立場は長男ラウドの方が上だ。
目論見通り私が問題を起こして離婚することになれば、クノレナとの結婚を止められない気がしている。
それよりも私が問題を起こすとラウドが想定していることが、気になってしまう。
クノレナは屋敷の物を盗んだことが発覚して婚約を破棄されたようだけど、私はそんなことをする気は一切ない。
問題を起こす人間とは思われていないはずだけど……夫ラウドは、なにか企んでいそうだ。
私は思案しながら、まずミリカの意見を聞くことにする。
同じように使用人の話を聞いて思案していたミリカは、私を眺めて言う。
「……キャシーは、ラウドと結婚することに賛同したのよね?」
「はい。親同士が決めたことですが、結婚してから好きになれると思っていました」
お互い嘘が嫌いと明言しているから、私は本心を話す。
親同士が決めた結婚で、ラウドとはあまり関わることなく結婚してしまう。
今思えば、ラウドはクノレナと結婚したかったから私を避けていたと推測できた。
今の私はラウドを好きではないし、離婚したいのなら離婚して構わない。
それでも私のせいにされるのは嫌で、義姉ミリカの発言に驚くこととな。
「それなら、私の弟ザダクと結婚しても、問題ないかしら?」
「ミリカお姉様は、いきなり何を言っているのですか?」
ラウドにザダクという弟がいるのは聞いていたし、結婚式で挨拶している。
それでも……ザダクは今日知り合った人で、私のことをザダクは知らないでしょう。
提案に困惑してしまうけど、ミリカは本気のようだ。
「ラウドのことをよく知らない内に結婚させられたのなら、今日会ったザダクと結婚してもいいんじゃないかしら?」
「私としては、貴族として生まれたから結婚を受け入れましたけど……ザダク様の気持ちが大事でしょう」
「それもそうね。それなら今から会って話せばいいわ」
「……それって、ザダク様に今日の出来事を全て話すことになりますよね」
今日の結婚式が初対面の人と、いきなり結婚しろと姉に言われる。
その理由が兄の浮気で、結婚初日なのに屋敷を出て浮気したからとか……ザダクは信じてくれるのだろうか?
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「私が新しく家族となる人ができて喜んでいる間に、兄の家庭が崩壊したのですか」
「主にラウド自身のせいでね」
部屋で今日の出来事を説明すると、ザダクは唖然としながら姉ミリカの話を聞いていた。
ザダクは短い黒髪の美青年で、私より2歳年下と聞いている。
2人の会話を聞き、私は尋ねる。
「あの……気になっていたのですが、どうして兄なのにキャシーお姉様はザダク様を呼び捨てなんですか? ザダクお兄様じゃないんですか?」
「次期領主として相応しくなってから呼ぶつもりで、それまでは呼び捨てだったけど……今日の件で、敬うことは一生ないわね」
「屋敷の魔法道具を幾つも盗んだクノレナ様を、兄がまだ愛していたことにも驚きました」
「お父様に許して欲しいと頼み込んだ辺りから、怪しかったわね。盗品が返ってこなかったから許されなかったけど、今日はよくクノレナの屋敷へ行ったものよ」
相手が婚約者だったこともあり、クノレナの窃盗は大事にならなかったらしい。
それでも婚約は破棄されたようで、それを知ってもラウドはクノレナを好きでいたようだ。
「私はキャシーを気に入ったから、ザダクがキャシーと結婚しなさい」
「それは……姉上は、今日結婚したばかりのキャシー様の気持ちを考えた上で言ってますか?」
「ラウドよりは考えているわよ。ラウドなんかと結婚してくれたのに、このままだと私達の屋敷からいなくなるわよ?」
「それは……キャシー様はどうしたいのですか?」
「私ですか?」
「はい。今日が初対面なのに、私なんかと結婚しろと言われて納得できのですか?」
姉弟の会話を聞いていた私に、ザダクが尋ねる。
ザダクは婚約者がいないと聞いていたけど、何か問題があるのだろうか?
それでも結婚初日から浮気したラウドよりは、ザダクの方が好きだと断言できる。
「気遣ってくれた時点でラウド様より好きなので、結婚してもらえるのならその方がいいですね」
「な、なるほど……まだどうなるのかわかりませんし、今は可能性の一つということにしておきましょう」
「そうですね」
ザダクは私より2際年下で、短い黒髪の美青年だ。
そのザダクの髪を長くして目つきが悪くなればラウドに似てそうで、兄弟とよくわかる。
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