3 / 37
第3話
しおりを挟む
杖が破裂して私は疑われているけど、すり替えた杖は粉々になっていた。
ルドノとしては杖を調べられたら困るから、魔力を込めたら破裂する仕掛けにしたと推測できる。
クラスメイトが私を更に怪しむのが狙いのようで、ルドノの思惑通りになっていた。
■◇■◇■◇■◇■
午前の授業が終わって、昼休みになり――私は購買で杖を購入したけど、今までの杖とは全然違う。
授業で破裂した杖は、今まで私が持っていたシレッサ家に伝わる杖ではない。
すり替えられたのは間違いなくて、本物は先生が持っているはずだ。
「今日中に、先生から杖を取り戻す必要があります」
先生からすれば、私の杖を処分するはずだ。
昼休み中に私は動いて――先生にバレないよう魔法を使い調べていたけど、私の杖は持っていなかった。
午前中は授業をして、休み時間は短い。
処分するなら昼休みの時で、私は杖に宿っている特殊な魔力を魔法で探知していく。
私の周辺に杖があれば場所がわかるけど、距離は視認できる範囲だ。
何度も学園中で魔法を使っても見つけることができず、杖が壊されているのなら探知することはできない。
「余程のことをしない限り、あの杖を壊すことはできないはず……」
昼休みが終わりそうだから、放課後に先生に尋ねるしかない。
惚けると思うけど、追及して杖を取り戻す必要がある。
そう考えて教室に戻ると――邪悪な笑みを浮かべて、ザノークが私に杖を見せつける。
その杖は私が探していた、先生にすり替えられた杖で――私は思わず叫んでしまった。
「ザノーク殿下、それは私の杖です!」
「私の杖だと? 貴様の杖は授業中に破裂したではないか」
「これは私が露店で見つけて、ザノーク殿下にプレゼントした物です。変な言いがかりは止めて欲しいですね」
「ルドノ、様……」
嬉々とした表情のルドノを見て、狙いを理解した。
先生がすり替えた私の杖はルドノが所持して、それをザノークに渡している。
私が取り戻そうとすると確信して、それを理由に評判を更に落そうとしていた。
「貴様が潰した杖に似ているだろう? 貴様は欲しくてたまらないはずだ」
「それは――」
「――潰した杖はシノッサ侯爵家に伝わる杖で、この杖があれば誤魔化せるものなぁ!」
そう楽しそうに言ってから、ザノークは両手を使い杖を折る。
半分に割れた杖をルドノに渡すと、魔法を使うことで消し炭に変えていた。
その光景に私が茫然としていると……私を眺めて、ルドノとザノークが笑う。
「シレッサ侯爵家に代々伝わる杖を自分で破裂しておきながら、似た杖を持っていたから奪おうとするなど……カルラ様は浅ましいですね」
「この杖を見ると貴様を思い出すから目の前で潰しただけだ! はははっ! これからも貴様を苦しめてやる!!」
「私の魔法で消した杖が、もし本物だとしても……シレッサ侯爵家の杖など、この程度の物だったのでしょう」
ザノークが杖を折った瞬間、ルドノは驚いた表情をしていた。
予想だと杖は壊せないと考えていたのかもしれないけど――私の目の前で、魔法を使い杖を消してくる。
激昂してこの場で魔法を使いたい衝動にかられるけど、私は堪えていた。
発言的にルドノの狙いは、この場で私に魔法を使わせることだ。
私の席から離れていくザノークとルドノを眺めて、私は小声で呟く。
「――絶対に、許さない」
堪えることはできたけど――私は、反撃することを決意していた。
ルドノとしては杖を調べられたら困るから、魔力を込めたら破裂する仕掛けにしたと推測できる。
クラスメイトが私を更に怪しむのが狙いのようで、ルドノの思惑通りになっていた。
■◇■◇■◇■◇■
午前の授業が終わって、昼休みになり――私は購買で杖を購入したけど、今までの杖とは全然違う。
授業で破裂した杖は、今まで私が持っていたシレッサ家に伝わる杖ではない。
すり替えられたのは間違いなくて、本物は先生が持っているはずだ。
「今日中に、先生から杖を取り戻す必要があります」
先生からすれば、私の杖を処分するはずだ。
昼休み中に私は動いて――先生にバレないよう魔法を使い調べていたけど、私の杖は持っていなかった。
午前中は授業をして、休み時間は短い。
処分するなら昼休みの時で、私は杖に宿っている特殊な魔力を魔法で探知していく。
私の周辺に杖があれば場所がわかるけど、距離は視認できる範囲だ。
何度も学園中で魔法を使っても見つけることができず、杖が壊されているのなら探知することはできない。
「余程のことをしない限り、あの杖を壊すことはできないはず……」
昼休みが終わりそうだから、放課後に先生に尋ねるしかない。
惚けると思うけど、追及して杖を取り戻す必要がある。
そう考えて教室に戻ると――邪悪な笑みを浮かべて、ザノークが私に杖を見せつける。
その杖は私が探していた、先生にすり替えられた杖で――私は思わず叫んでしまった。
「ザノーク殿下、それは私の杖です!」
「私の杖だと? 貴様の杖は授業中に破裂したではないか」
「これは私が露店で見つけて、ザノーク殿下にプレゼントした物です。変な言いがかりは止めて欲しいですね」
「ルドノ、様……」
嬉々とした表情のルドノを見て、狙いを理解した。
先生がすり替えた私の杖はルドノが所持して、それをザノークに渡している。
私が取り戻そうとすると確信して、それを理由に評判を更に落そうとしていた。
「貴様が潰した杖に似ているだろう? 貴様は欲しくてたまらないはずだ」
「それは――」
「――潰した杖はシノッサ侯爵家に伝わる杖で、この杖があれば誤魔化せるものなぁ!」
そう楽しそうに言ってから、ザノークは両手を使い杖を折る。
半分に割れた杖をルドノに渡すと、魔法を使うことで消し炭に変えていた。
その光景に私が茫然としていると……私を眺めて、ルドノとザノークが笑う。
「シレッサ侯爵家に代々伝わる杖を自分で破裂しておきながら、似た杖を持っていたから奪おうとするなど……カルラ様は浅ましいですね」
「この杖を見ると貴様を思い出すから目の前で潰しただけだ! はははっ! これからも貴様を苦しめてやる!!」
「私の魔法で消した杖が、もし本物だとしても……シレッサ侯爵家の杖など、この程度の物だったのでしょう」
ザノークが杖を折った瞬間、ルドノは驚いた表情をしていた。
予想だと杖は壊せないと考えていたのかもしれないけど――私の目の前で、魔法を使い杖を消してくる。
激昂してこの場で魔法を使いたい衝動にかられるけど、私は堪えていた。
発言的にルドノの狙いは、この場で私に魔法を使わせることだ。
私の席から離れていくザノークとルドノを眺めて、私は小声で呟く。
「――絶対に、許さない」
堪えることはできたけど――私は、反撃することを決意していた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,698
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる