婚約破棄を謝っても、許す気はありません

第１０話

　授業が終わって、私は馬車でリック様の屋敷に向かっていた。

　明日のことについて話したいから、今日はリック様の屋敷で泊まることとなっている。

　馬車の中で対面していると、笑顔でリック様が話してくれた。

「明日は私と一緒に城へ向かいましょう。ガラウ様には報告しています」

「はっ、はい……あの、大丈夫ですか？」

　リック様は準備ができたから、明日全て終わらせたいようだ。

　私も反撃の準備をしていて、リック様に協力を頼んでいる。

　それが全て終わったようで――準備は万全だ。

　私は確認したくて尋ねると、リック様が頭を下げる。

「城に呼び出されるのは計画通りです……あの場でザノークを挑発してしまい、申し訳ありません」

「どうして、リック様が謝るのですか？」

「事前に話しておきたかったのですが、ザノークの行動が許せませんでした」

　あの場にリック様がいなければ、私は大怪我を負っていた。

　そして精神的に弱まって成績が落ちれば、不正をしていたからだとザノーク達は言い張っていたはずだ。

「リック様があの場にいて、本当に助かりました。ありがとうございます」

「昨日の件から警戒していまして……先生には無理を言ったのですが、あの場でカルラ様を狙う可能性は高く、傍にいたいと想っていました」

　どうやらリック様は、先生が許可を出さなくても紛れ込んで広場で待機しようと考えていたようだ。

　リック様の話を聞いて、私は嬉しかった。

　そして翌日――私とリック様は、ザノーク達に反撃することとなる。