5 / 26
第5話
しおりを挟む
私には支援魔法という希少魔法の力があり、無意識にその魔法を使いエドルド領を繁栄させていたらしい。
ニコラスはそう言ってくれるけど、私は信じることができない。
「それは、偶然なのではありませんか?」
「いえ。領地を詳しく調べましたけど、他の領地とは明らかに違います……そこから私は希少魔法を調べ、支援魔法を知ることができました」
――私が婚約破棄を言い渡された時、ニコラスは止めようとしていた。
それは私の本来の力を知っていたからだと思うけど、今まで言わなかった理由がわからない。
「支援魔法の力は無意識に使っていても強力で、多用すると命を落すことを知りました……元兄のラドンがそれを知っても、気にせずルーナ様を酷使するでしょう」
確かに……あの性格だから私を気遣わず、酷使させて私は命を落としていたかもしれない。
「私はルーナ様を守るための準備をして、万全になれば支援魔法のことを伝えるつもりでした……まさか、婚約破棄を言い渡すとは思いませんでした」
貴族でも魔法が使えない人は大半だから、婚約破棄されることはないと考えていたらしい。
悪評を流していた元妹ミレナのせいでもあるけど、ニコラスは婚約破棄が完全に予想外だったようだ。
ニコラスが準備と言って、私はモンスターを倒した魔法を思い返す。
今まで魔法が扱えない無能と呼ばれていたけれど、準備によるものなのかもしれない。
「ニコラス様の魔法が凄くなっていたのも、その準備が関係しているのですか?」
「それは……私はルーナ様を守るため、今まで力を隠していました」
どうやらニコラスは、今まで無能を装うことで私を守る為の準備していたようだ。
家を捨てて、蔑まれても私の為に動いてくれることは嬉しいけど……そこまでしてくれる理由がわからない。
「ニコラス様は、それでいいのですか?」
私が尋ねると、ニコラスが笑顔で返答する。
「はい。私はルーナ様と一緒にいたいと考えています……はじめて会った時から、ずっと傍にいたいと想っておりました」
その発言に、私は驚いて何も言えなくなる。
そしてニコラスが、私に頭を下げた。
「本当ならルーナ様が屋敷を出てすぐに声をかけようと思ったのですが、緊張してしまい声をかけることができず……危険な目に合わせてしまい、申しわけありません」
顔を赤くして、モンスターに襲われるまで飛び出せなかった理由を話してくれた。
そのニコラスの姿は可愛いけれど……年の差のせいか、私は異性として見ることができない。
いいえ――年の差と咄嗟に理由を考えたけど、本心は違う。
婚約者ラドンの弟だから、今はどうしてもラドンのことが頭に浮かんでしまう。
ニコラスは家を捨てて私を助けるために準備をしてくれた素敵な子で、ラドンとは全然違う。
それはわかっているけれど……婚約破棄を言い渡されたばかりの私は、ニコラスを異性として意識することができなかった。
ニコラスはそう言ってくれるけど、私は信じることができない。
「それは、偶然なのではありませんか?」
「いえ。領地を詳しく調べましたけど、他の領地とは明らかに違います……そこから私は希少魔法を調べ、支援魔法を知ることができました」
――私が婚約破棄を言い渡された時、ニコラスは止めようとしていた。
それは私の本来の力を知っていたからだと思うけど、今まで言わなかった理由がわからない。
「支援魔法の力は無意識に使っていても強力で、多用すると命を落すことを知りました……元兄のラドンがそれを知っても、気にせずルーナ様を酷使するでしょう」
確かに……あの性格だから私を気遣わず、酷使させて私は命を落としていたかもしれない。
「私はルーナ様を守るための準備をして、万全になれば支援魔法のことを伝えるつもりでした……まさか、婚約破棄を言い渡すとは思いませんでした」
貴族でも魔法が使えない人は大半だから、婚約破棄されることはないと考えていたらしい。
悪評を流していた元妹ミレナのせいでもあるけど、ニコラスは婚約破棄が完全に予想外だったようだ。
ニコラスが準備と言って、私はモンスターを倒した魔法を思い返す。
今まで魔法が扱えない無能と呼ばれていたけれど、準備によるものなのかもしれない。
「ニコラス様の魔法が凄くなっていたのも、その準備が関係しているのですか?」
「それは……私はルーナ様を守るため、今まで力を隠していました」
どうやらニコラスは、今まで無能を装うことで私を守る為の準備していたようだ。
家を捨てて、蔑まれても私の為に動いてくれることは嬉しいけど……そこまでしてくれる理由がわからない。
「ニコラス様は、それでいいのですか?」
私が尋ねると、ニコラスが笑顔で返答する。
「はい。私はルーナ様と一緒にいたいと考えています……はじめて会った時から、ずっと傍にいたいと想っておりました」
その発言に、私は驚いて何も言えなくなる。
そしてニコラスが、私に頭を下げた。
「本当ならルーナ様が屋敷を出てすぐに声をかけようと思ったのですが、緊張してしまい声をかけることができず……危険な目に合わせてしまい、申しわけありません」
顔を赤くして、モンスターに襲われるまで飛び出せなかった理由を話してくれた。
そのニコラスの姿は可愛いけれど……年の差のせいか、私は異性として見ることができない。
いいえ――年の差と咄嗟に理由を考えたけど、本心は違う。
婚約者ラドンの弟だから、今はどうしてもラドンのことが頭に浮かんでしまう。
ニコラスは家を捨てて私を助けるために準備をしてくれた素敵な子で、ラドンとは全然違う。
それはわかっているけれど……婚約破棄を言い渡されたばかりの私は、ニコラスを異性として意識することができなかった。
33
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
『婚約破棄は劇場にて――見世物にされた侯爵令嬢は、舞台ごと奪い返す』
鷹 綾
恋愛
王立劇場で開かれた慈善晩餐会。
その華やかな壇上で、侯爵令嬢サビーネ・ドルレアンは、第二王子セドリックから突然の婚約破棄を告げられる。
隣に立つのは、涙ぐむ男爵令嬢オディール。
大勢の貴族たちが見守る中、サビーネは“冷酷な悪女”として断罪され、黙って恥を引き受ける役を押しつけられる――はずだった。
けれど、サビーネは泣かなかった。
黙って舞台を降りることもなかった。
その夜を境に、侯爵令嬢は見世物にされた婚約破棄の意味を、静かに、そして容赦なく塗り替えていく。
王家の体面、王子の未熟さ、“可哀想な令嬢”の化けの皮。
一つずつ暴かれていく真実の先で、サビーネが取り戻すのは、失われた名誉だけではない。
これは、婚約破棄された令嬢が、誰かの筋書きから降りて、自分の人生を取り戻す物語。
見世物にされた舞台の上で、最後に微笑むのは――黙って泣く役を拒んだ侯爵令嬢。
病弱を演じていた性悪な姉は、仮病が原因で大変なことになってしまうようです
柚木ゆず
ファンタジー
優秀で性格の良い妹と比較されるのが嫌で、比較をされなくなる上に心配をしてもらえるようになるから。大嫌いな妹を、召し使いのように扱き使えるから。一日中ゴロゴロできて、なんでも好きな物を買ってもらえるから。
ファデアリア男爵家の長女ジュリアはそんな理由で仮病を使い、可哀想な令嬢を演じて理想的な毎日を過ごしていました。
ですが、そんな幸せな日常は――。これまで彼女が吐いてきた嘘によって、一変してしまうことになるのでした。
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
せっかく家の借金を返したのに、妹に婚約者を奪われて追放されました。でも、気にしなくていいみたいです。私には頼れる公爵様がいらっしゃいますから
甘海そら
恋愛
ヤルス伯爵家の長女、セリアには商才があった。
であれば、ヤルス家の借金を見事に返済し、いよいよ婚礼を間近にする。
だが、
「セリア。君には悪いと思っているが、私は運命の人を見つけたのだよ」
婚約者であるはずのクワイフからそう告げられる。
そのクワイフの隣には、妹であるヨカが目を細めて笑っていた。
気がつけば、セリアは全てを失っていた。
今までの功績は何故か妹のものになり、婚約者もまた妹のものとなった。
さらには、あらぬ悪名を着せられ、屋敷から追放される憂き目にも会う。
失意のどん底に陥ることになる。
ただ、そんな時だった。
セリアの目の前に、かつての親友が現れた。
大国シュリナの雄。
ユーガルド公爵家が当主、ケネス・トルゴー。
彼が仏頂面で手を差し伸べてくれば、彼女の運命は大きく変化していく。
婚約破棄された伯爵令嬢ですが、辺境で有能すぎて若き領主に求婚されました
おりあ
恋愛
アーデルベルト伯爵家の令嬢セリナは、王太子レオニスの婚約者として静かに、慎ましく、その務めを果たそうとしていた。
だが、感情を上手に伝えられない性格は誤解を生み、社交界で人気の令嬢リーナに心を奪われた王太子は、ある日一方的に婚約を破棄する。
失意のなかでも感情をあらわにすることなく、セリナは婚約を受け入れ、王都を離れ故郷へ戻る。そこで彼女は、自身の分析力や実務能力を買われ、辺境の行政視察に加わる機会を得る。
赴任先の北方の地で、若き領主アレイスターと出会ったセリナ。言葉で丁寧に思いを伝え、誠実に接する彼に少しずつ心を開いていく。
そして静かに、しかし確かに才能を発揮するセリナの姿は、やがて辺境を支える柱となっていく。
一方、王太子レオニスとリーナの婚約生活には次第に綻びが生じ、セリナの名は再び王都でも囁かれるようになる。
静かで無表情だと思われた令嬢は、実は誰よりも他者に寄り添う力を持っていた。
これは、「声なき優しさ」が、真に理解され、尊ばれていく物語。
何もしていない聖女と言われたので、婚約破棄を受け入れます
鍛高譚
恋愛
聖女と呼ばれながらも、目立った奇跡を見せたことのない公爵令嬢ホーリィー・メイデン。
ある日突然、王太子から「何もしていない聖女」と断じられ、さらに身に覚えのない嫌がらせを理由に婚約破棄され、王都を去るよう命じられてしまう。
婚約に未練はなく、静かに追放を受け入れたホーリィー。
けれど、面識すらない相手を本当に傷つけたのかという疑問だけが胸に残る。
そして彼女が王都を離れたあと、王城では少しずつ不穏な出来事が起こり始める。
これは、見えない場所で王都を支えていた聖女が、再び“夜の王城”へ戻るまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる