魅了魔法が効かない私は処刑されて、時間が戻ったようです

第９話

　ベネサの魅了魔法を封じる準備に必要な半年間、私は以前と同じ行動をとっていた。

　それが一番安全だからで、その間にレインは別行動をしている。

　レインは森に屋敷を用意して、私が国を捨てた後の準備もしていた。

　そして――ベネサの魅了魔法を封じる他にも、ベネサを追い詰める用意をしていたようだ。

「これから数ヶ月後、ベネサの魅了魔法が使えなくなると……魅了魔法で補完されていた者達の記憶が、元に戻る」

「そうなの？」

　私が悪事を働いたと魅了魔法を受けたと知れば、魅了の力が消えても私の憎しみは消えない。

　それがベネサの話していた魅了魔法による補完の力で――レインの力なら、魅了されていたと完全に気付くようだ。

「記憶が元に戻れば、ベネサ達に問い詰めるだろう。操っている者が多ければ多いほど、ベネサは追い詰められていく」

　そうなればベネサは、更に協力者のダーロスも終わりのような気がする。

　魅了魔法で他者を支配していたベネサが罰を受けそうで、私は安堵していた。