婚約破棄を受け入れたのは、この日の為に準備していたからです

天宮有

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第5話

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 時間は2週間前――ゼロアが、私の屋敷に来た時まで遡る。

 応接室に行き「2人で話がしたい」とゼロアが言い、私以外には話を聞かれないようにする。
 ゼロアとは昔から仲がよかったけど、レヴォクと婚約者になってからはあまり会うことがなかった。

「ゼロア様、お久しぶりです」

「ああ。今日はシーラに、伝えておきたいことがあるんだ」
 
 そう言って――ゼロアが、これから起こることを話してくれる。

 レヴォクに婚約破棄を言い渡されて、動揺している間に家族が私を売る。

 最近レヴォクの様子がおかしく、気になったゼロアは調査した結果、知ることができたようだ。

「そんなことが……これから、起こるのですか」

「恐らく、2週間後にあるパーティでレヴォクは宣言するはず。その前に、手を打つべきだ」

 そう言ってゼロアは魔法道具の誓約書を用意してくれたようで、私は受け取る。

 私と仲がよくて、事情を知ったゼロアは心配して屋敷まで来てくれた。

 誓約書の内容をゼロアと話し合い、私はゼロアの発言に驚くこととなる。

「もし、シーラがよければ――俺の婚約者になってくれないか?」

「……いいんですか?」

「ああ。家を捨てることになるし、レヴォクはシーラを従わせようと行動するだろう……俺とエシウス侯爵家が、シーラを必ず守ってみせる」

 私が家族からレヴォクに従えと言われた時、家を捨てると話していた。

 ゼロアが心配して婚約者になって守ると言っているけど、平民になった私でいいのだろうか?

 不安になっていると、ゼロアが私を見つめて言う。

「俺は、シーラの傍にいたいと思っている……どうだろうか?」

 私を心から心配してくれるゼロアは、レヴォクとは全然違う。

 私もゼロアと一緒にいたいと想い……不安になりながらも、頷いて返答する。

「はい――私が婚約破棄を言い渡された時は、よろしくお願いします」

 そして2週間後――私はレヴォクに婚約破棄を言い渡されて、ルザード家を捨てる。
 ゼロアがいてくれたから、私はレヴォクとの婚約破棄を受け入れることができていた。
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