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第5話
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ルジオ国に到着して、竜達は山地で暮らすことになっている。
その山地には豪華な屋敷があり、私はそこで住めるようだ。
ルジオ国で暮らすと決めたのは数ヶ月前なのに、何もない場所に屋敷を建てたらしい。
魔法技術が高い国と聞いていた通りで、私は人の姿になったヨハンと一緒に屋敷の中を歩いていた。
竜が人の姿になるのは努力しないと難しいようで、ヨハンを含めて数人しか人の姿になれないと聞いている。
そのためヨハンが山地で暮らす竜達の紹介をしてくれて、挨拶することができた。
これから人々を襲うモンスターを竜族が倒すことで、モンスターが恐怖して被害が減るようだ。
屋敷に入れない竜達の紹介をヨハンにしてもらうと時間が経ち、屋敷に1人の青年がやって来る。
賢者と呼ばれている人のようで、私の外れない指輪の効力を見ただけで知ることができるようだ。
応接室で私とヨハンがソファに並んで座り、賢者と対面する。
私は初対面だけど、ヨハンは何度か会ったことがあるようだ。
「彼が賢者ハワードで、鑑定魔法を使いシンシアの指輪の効力を把握できるらしい」
「私はシンシアです。よろしくお願いします」
「ハワードです。ヨハン様が話していた指輪がこれですね……推測していた通り、魔力を奪う魔法道具です」
ハワードと呼ばれた人の両眼が一瞬光ると、私の右手に着けていた指輪について話してくれる。
魔力を奪う魔法道具と、ヨハンの推測通りだった。
「指輪を着けた時点で、指輪の主と契約しています。話を聞くに聖女デーリカが指輪の主で間違いありません」
「そうか……私なら壊せるが、壊して大丈夫なのか?」
「この指輪は壊して問題ありません。呪いの指輪には壊すと装着者の命を奪う物もありましたので、見ておく必要がありました」
最悪の事態を想定して、ヨハンは今まで私の外せない指輪を壊せなかった。
私とヨハンが安堵していると、賢者ハワードが更に説明してくれる。
「問題があるとすれば、壊したことを知られるぐらいです」
「知られても問題ない。他にわかったことはないか?」
「そうですね……壊すまで位置を知られているので、今後ラグード国の使者がルジオ国にやって来るかもしれません」
指輪を着けている人の位置がわかるのなら、逃げた場合のことも想定していたのでしょう。
これから別の場所に向かって指輪を壊せば、ラグード国を混乱させることができるかもしれない。
それでもルジオ国の山地に長時間いるから、最初に向かうとしたらここになりそうだ。
「その時は追い払うまでだ。何かするのであれば容赦しない」
「ルジオ国も協力します。なにかあればすぐ私を呼んでください」
「ハワード様、ありがとうございます……ヨハン、指輪を壊してください」
「わかった。元婚約者の指輪など、二度と見たくないから粉々にしてみせよう」
ヨハンはやる気に満ちていて、私が着けている指輪に触れる。
魔力を込めたのが伝わり、指輪が砕けて楽になった。
「着けている間はずっと魔力を奪われ続けていたみたいです。ようやく楽になりました」
「今頃デーリカは指輪が壊されたことを知っていますが、シンシア様が気にすることは何もありません」
これで私は魔力が減ることがなくなり、デーリカは自分の魔力しか使えない。
更に竜族がいないからモンスターが凶暴化するようで、ラグード国は大変な目に合いそうだ。
その山地には豪華な屋敷があり、私はそこで住めるようだ。
ルジオ国で暮らすと決めたのは数ヶ月前なのに、何もない場所に屋敷を建てたらしい。
魔法技術が高い国と聞いていた通りで、私は人の姿になったヨハンと一緒に屋敷の中を歩いていた。
竜が人の姿になるのは努力しないと難しいようで、ヨハンを含めて数人しか人の姿になれないと聞いている。
そのためヨハンが山地で暮らす竜達の紹介をしてくれて、挨拶することができた。
これから人々を襲うモンスターを竜族が倒すことで、モンスターが恐怖して被害が減るようだ。
屋敷に入れない竜達の紹介をヨハンにしてもらうと時間が経ち、屋敷に1人の青年がやって来る。
賢者と呼ばれている人のようで、私の外れない指輪の効力を見ただけで知ることができるようだ。
応接室で私とヨハンがソファに並んで座り、賢者と対面する。
私は初対面だけど、ヨハンは何度か会ったことがあるようだ。
「彼が賢者ハワードで、鑑定魔法を使いシンシアの指輪の効力を把握できるらしい」
「私はシンシアです。よろしくお願いします」
「ハワードです。ヨハン様が話していた指輪がこれですね……推測していた通り、魔力を奪う魔法道具です」
ハワードと呼ばれた人の両眼が一瞬光ると、私の右手に着けていた指輪について話してくれる。
魔力を奪う魔法道具と、ヨハンの推測通りだった。
「指輪を着けた時点で、指輪の主と契約しています。話を聞くに聖女デーリカが指輪の主で間違いありません」
「そうか……私なら壊せるが、壊して大丈夫なのか?」
「この指輪は壊して問題ありません。呪いの指輪には壊すと装着者の命を奪う物もありましたので、見ておく必要がありました」
最悪の事態を想定して、ヨハンは今まで私の外せない指輪を壊せなかった。
私とヨハンが安堵していると、賢者ハワードが更に説明してくれる。
「問題があるとすれば、壊したことを知られるぐらいです」
「知られても問題ない。他にわかったことはないか?」
「そうですね……壊すまで位置を知られているので、今後ラグード国の使者がルジオ国にやって来るかもしれません」
指輪を着けている人の位置がわかるのなら、逃げた場合のことも想定していたのでしょう。
これから別の場所に向かって指輪を壊せば、ラグード国を混乱させることができるかもしれない。
それでもルジオ国の山地に長時間いるから、最初に向かうとしたらここになりそうだ。
「その時は追い払うまでだ。何かするのであれば容赦しない」
「ルジオ国も協力します。なにかあればすぐ私を呼んでください」
「ハワード様、ありがとうございます……ヨハン、指輪を壊してください」
「わかった。元婚約者の指輪など、二度と見たくないから粉々にしてみせよう」
ヨハンはやる気に満ちていて、私が着けている指輪に触れる。
魔力を込めたのが伝わり、指輪が砕けて楽になった。
「着けている間はずっと魔力を奪われ続けていたみたいです。ようやく楽になりました」
「今頃デーリカは指輪が壊されたことを知っていますが、シンシア様が気にすることは何もありません」
これで私は魔力が減ることがなくなり、デーリカは自分の魔力しか使えない。
更に竜族がいないからモンスターが凶暴化するようで、ラグード国は大変な目に合いそうだ。
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