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第3話
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私が家族から勘当を言い渡されて、数日が経っていた。
部屋にあった必要になりそうな物を、私は持って来ている。
貯めていたお小遣いもあって、しばらくは生活に困ることはない。
そして――私は、隣国の王都に到着した。
何度か来たことがある場所で、私は呟く。
「できることなら、ここの魔法道具店で雇って欲しいものです」
私の目の前には、魔法道具店があった。
店主のユアンとは知り合いで、私は貴族と説明せず普通に客として何度か話をしたことがある。
「雇いたいと言われたことがあるけど……多分、冗談でしょう」
それでも私は、ユアンの発言を信じたい。
そう考えて――私は、魔法道具店の中に入っていった。
■◇■◇■◇■◇■
その後――私は、隣国の王都にある魔法道具店で働くことができていた。
工房で私は、魔力の宿る鉱石の加工をしている。
それを隣で眺めていた長い黒髪を束ねている美青年、ユアンが話す。
「ルクルの知識と技術は凄いな、雇いたいと言ったのは正解だった」
「はい。私もここで雇えてもらえて、よかったです」
1ヶ月前に雇って欲しいと頼むと、店主のユアンは即断してくれた。
事情を聞こうとしなかったけど、私が客の時に話していた内容が有益だったと話してくれる。
店のため、そしてユアンとしては高性能な魔法道具が作れることが嬉しいようだ。
「魔法道具を作れる職人は少ない、俺としてはルクルが来てくれて本当によかった」
「ありがとうございます……あの、ユアンに、話しておきたいことがあります」
今までと違い、常に魔法道具に関われる生活は幸せだ。
何も言わずに雇ってくれて、話している内に私はユアンのことが好きになっている。
好きだからこそ――ユアンには、私のことを知って欲しい。
関わりたくないと店から追い出されるかもしれないけど、ユアンには全てを話したくなっていた。
決意した私を眺めて、ユアンが尋ねる。
「それは、ここに来た理由だろうか?」
「はい――私はギアノ国の侯爵令嬢でした。嘘の理由で婚約破棄と勘当を言い渡されています」
そう言って、私はパーティ会場で起きた出来事を話す。
魅了魔法の魔法道具を作ったと、嘘の理由で婚約破棄を言い渡されてしまう。
そんな物は作っていないから、証明してもらおうと家族に頼むと家を追い出された。
全て聖女ベネサの目論みどおりだったことを話すと――ユアンが私を眺めて言う。
「ルクルは常識がある。世界的に禁止されている魔法道具を作るわけがないだろう」
「ありがとうございます……ギアノ国の人達は、エドガーとベネサの発言を信じました」
侯爵令嬢の発言より、王子と聖女の発言の方を信じていた。
立場的に仕方ないことで、ユアンが私を信じてくれたことが嬉しい。
話してよかったと思っていると、ユアンが思案して話す。
「ギアノ国の聖女か……ルクルから話を聞いて、気になることがある」
そう言って、ユアンがベネサについて話そうとしていた。
部屋にあった必要になりそうな物を、私は持って来ている。
貯めていたお小遣いもあって、しばらくは生活に困ることはない。
そして――私は、隣国の王都に到着した。
何度か来たことがある場所で、私は呟く。
「できることなら、ここの魔法道具店で雇って欲しいものです」
私の目の前には、魔法道具店があった。
店主のユアンとは知り合いで、私は貴族と説明せず普通に客として何度か話をしたことがある。
「雇いたいと言われたことがあるけど……多分、冗談でしょう」
それでも私は、ユアンの発言を信じたい。
そう考えて――私は、魔法道具店の中に入っていった。
■◇■◇■◇■◇■
その後――私は、隣国の王都にある魔法道具店で働くことができていた。
工房で私は、魔力の宿る鉱石の加工をしている。
それを隣で眺めていた長い黒髪を束ねている美青年、ユアンが話す。
「ルクルの知識と技術は凄いな、雇いたいと言ったのは正解だった」
「はい。私もここで雇えてもらえて、よかったです」
1ヶ月前に雇って欲しいと頼むと、店主のユアンは即断してくれた。
事情を聞こうとしなかったけど、私が客の時に話していた内容が有益だったと話してくれる。
店のため、そしてユアンとしては高性能な魔法道具が作れることが嬉しいようだ。
「魔法道具を作れる職人は少ない、俺としてはルクルが来てくれて本当によかった」
「ありがとうございます……あの、ユアンに、話しておきたいことがあります」
今までと違い、常に魔法道具に関われる生活は幸せだ。
何も言わずに雇ってくれて、話している内に私はユアンのことが好きになっている。
好きだからこそ――ユアンには、私のことを知って欲しい。
関わりたくないと店から追い出されるかもしれないけど、ユアンには全てを話したくなっていた。
決意した私を眺めて、ユアンが尋ねる。
「それは、ここに来た理由だろうか?」
「はい――私はギアノ国の侯爵令嬢でした。嘘の理由で婚約破棄と勘当を言い渡されています」
そう言って、私はパーティ会場で起きた出来事を話す。
魅了魔法の魔法道具を作ったと、嘘の理由で婚約破棄を言い渡されてしまう。
そんな物は作っていないから、証明してもらおうと家族に頼むと家を追い出された。
全て聖女ベネサの目論みどおりだったことを話すと――ユアンが私を眺めて言う。
「ルクルは常識がある。世界的に禁止されている魔法道具を作るわけがないだろう」
「ありがとうございます……ギアノ国の人達は、エドガーとベネサの発言を信じました」
侯爵令嬢の発言より、王子と聖女の発言の方を信じていた。
立場的に仕方ないことで、ユアンが私を信じてくれたことが嬉しい。
話してよかったと思っていると、ユアンが思案して話す。
「ギアノ国の聖女か……ルクルから話を聞いて、気になることがある」
そう言って、ユアンがベネサについて話そうとしていた。
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