私の魔力を全て奪って婚約破棄するようですが、奪えるのは１週間だけです

第８話

　アインが私のいるサイール国に来ていた理由を話してくれるけど、気になることがある。

　数十年に一度世界のどこかで起こるとされている、魔物の大群にによる襲撃。
　それがこの大陸で確実に起こり、サイール国を狙う可能性が高いようだ。

　ジェイクが私の魔力を全て奪ってきたのは、偶然なのだろうか？

　私は知らなかったけど、ジェイクは知っていたのかもしれない。
　
　それも気になったけど、一番気になるのは魔物の大群による襲撃だ。

「どうしてこの大陸、そしてサイール国に危機が迫ると考えているのですか？」

「冒険者ギルドは、原因を調べることができます」

「原因ですか？」

「はい。魔物の襲撃は様々なケースがあって……今回は、本来この国に生息していない魔物を確認したことで、警戒することになっています」

　そう話してから、アインは様々な魔物の大群が発生する理由を教えてくれる。

　餌である人の感情が手に入り辛くなったから団結して、数十年かけて群を作るケース。

　魔物の指揮ができる突然変異の魔物が発生することがあり、リーダーが誕生するケース。

　今回はその２つとは違うみたいで、アインが推測を話す。

「恐らく、今回の件は魔物の発生源である異界の門が誕生したことで起きています……最悪、サイール国が滅びることになるかもしれません」

　アインがそう言ったのは、この国を守る聖女が私の妹ローナだからだ。

　今まで私の膨大な魔力で補助していたからこそ、ローナは聖女として行動できていた。

　魔力を全て奪ったジェイクが私の代わりをするみたいだけど、数日後には魔力が私に戻る。

　そうなった後、魔物の大群による襲撃が発生すると――大惨事になるのは間違いなかった。