私の魔力を全て奪って婚約破棄するようですが、奪えるのは１週間だけです

第９話

　私はアインから話を聞いて、この国に来た理由を知る。
　更にジェイクが私の魔力を全て奪った理由を、推測することができていた。

「魔物の大群に備えて、ジェイクは私の魔力を全て奪おうとしたのでしょうか？」

　私がつい尋ねると、アインは納得した様子で話す。

「確かに、その可能性は高そうです……もし聖女にセリスの魔力があれば、今回の大襲撃も問題なく対処できていたはずですからね」

　今まで通り行動していれば問題なかったのに……ジェイクは、ローナを新しい婚約者にしたかったようだ。

　私の魔力を奪えば婚約破棄の理由になると考えたようで、更に魔力を奪ったジェイクが私の代わりを務める。

　聖女ローナと一緒に大活躍すれば大手柄で、それがジェイク達の狙いなのかもしれない。

「この２日間ローナは聖女として活躍できそうですけど……３日後の朝に、ジェイクの魔力が消えて困惑するはずです」

「はい。もうセリスは自由に生きられるのだから、気にすることは何もありません」

　アインの言う通りで――そう言ってくれることが、私は嬉しかった。