妹に婚約者を奪われた私ですが、王子の婚約者になりました

天宮有

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第4話

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 バハムスに婚約破棄を言い渡されてから、2週間が経っていた。
 
 私はジトアとの婚約が決まるけど、まだ公表はしていない。
 呪いが解けてからの方が迷惑がかからないと考えて、私がジトアに頼んでいた。
 そして学園内では、私の妹メリタがバハムスの婚約者となったことが噂になっているようだ。

 魔法学園の昼休みに、私はジトアに話す。

「手続きが終わり、バハムスとメリタが貴族の人達に広めているようです」

「私も聞きました……ルーミエ様、大丈夫ですか?」

 廊下で私は苦しくなってしまい、傍にいてくれたジトアが支えてくれる。
 授業中は椅子に座っているから平気だけど、立っている時は辛かった。

 廊下を歩いている時のことで、ジトアは休み時間は傍にいてくれる。
 それに安堵していると……私の目の前に、メリタとバハムスの姿があった。

「ジトア殿下がどうしてルーミエを助けるのか、私には理解できません」

「メリタの言うとおりだな、ナーリサ侯爵家にはメリタがいれば十分だろう」

 嘲笑しながら話してくるメリタとバハムスに、隣にいるジトアは苛立っている。
 そしてジトアは、メリタを眺めて話す。

「婚約を破棄したバハムス様はともかく、メリタ様はルーミエ様を助けようと思わないのですか?」

「思いません。ナーリサ侯爵家の恥ですし、排除したいとは思っています」

 最近のメリタは、貴族の人達に私の悪評を広めていた。
 私を排除するための嘘で、評判を悪くしてナーリサ侯爵家から追い出したいようだ。

 どうしてメリタがそこまで憎んでいるのか、私にはわからない。
 バハムスはメリタに賛同して、私に暴言を吐いてくる。

「ルーミエを助けても何の意味もないのに、ジトア殿下の考えることが俺にはわかりません」

 そう言ってバハムスとメリタが、私達の元から去っていく。
 暴言に私は慣れていたけど、ジトアは明らかに怒っていた。

「なんて人達だ……私が婚約者だと公表すれば、ルーミエ様に暴言を吐けなくなります」

 どうやらジトアとしては、婚約者になったことを公表して嫌がらせをなくしたいらしい。
 ジトアの気遣いは嬉しいけど、私は考えていることを話す。

「私はもう慣れました。呪いが解けてから、私はジトア殿下の評判を落とさないよう行動してみせます」

 私がジトアが受けるはずだった呪いの身代わりになったと話しても、信じてくれるとは思えない。
 あと2週間経てば私にかかっている弱体化の呪いが解けるのなら、本来の実力を発揮してから婚約者として知ってもらいたかった。

「ルーミエ様がそう言うのでしたら、わかりました」

 ジトアは少し不満そうだけど、納得してくれて安堵する。
 どれだけ弱体化しているのかわからないけど、今よりよくなるのなら呪いが解けた後で知って欲しい。

 この時の私は、自分のことを過小評価していた。
 呪いの身代わりになれる時点で、とてつもない魔法の素質を持っている。
 どれ程の力なのかは誰も知らないから、呪いが解けてから判明していた。

 そして、2週間が経って――私にかかっていた呪いが、解けようとしていた。
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