全てを諦めた私は、自由になります

第１８話

　魔の森は広大なジャングルで、膨大な魔力によって普通の人は生活できない。

　本来なら私達の住む屋敷まで、魔の森に入ってから数日はかかってしまう。
　それなのに数時間で到着する辺り、ゼノラス達は明らかに強くなっていた。

　私とレオンは、ゼノラス達と対面する。
　移動魔法で逃げなかったのは、逃げる必要がなかったからだ。

　私の知らない人――ガロスが、レオンに話す。

「レオン様、数年以来ですね。ようやく、貴方の肉体を実験に使えそうです」

「ガロスはまだ、諦めていなかったのですか」

「はい。私の魔法により、ゼノラス殿下とサレア様は膨大な魔力を得た――貴方達では敵いません！」

　ガロスが断言するけど、何も問題はない。
　レオンが合図を出して――私は、自らの力を使う。

「ガロスは私の力が、レオンと同じだと思っていたのかもしれませんけど――実際は、少し違います」

「はぁぁぁっ――っ！？」

　ガロスが驚愕としたのは、私の魔力が急激に増加したからだ。
　ゼノラスとサレアも唖然としていて、私に対して叫ぶ。

「なんだその魔力は……どうして、俺達を上回る魔力を宿している！？」

　ゼノラスが叫び、私は自分の力を思い返す。
　私の力は、レオンの力よりも優れていて――他人や大地に、魔力を与えることができるようだ。

　ガロスの話を聞いてから、私はレオンの提案で魔の森に魔力を預けている。
　その力を私の元に戻したことで――ゼノラス達は、私との魔力の差に唖然としていた。