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第4話
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私がニールド国に来てから、半年が経とうとしている。
今日も治療院で回復魔法を使っていると、院長と仮面を着けた青年と話をしていた。
院長も回復魔法が使えるけど、私よりも魔力がないから治せる人は少ない。
それでも一緒に怪我人を治している人なのに、仮面を着けた青年は負傷しているようには見えなかった。
診察する人がいなくなり、私の元に院長と仮面の青年がやって来る。
長い銀髪と長身なのはわかるけど、顔は仮面で隠れていた。
私も仮面で顔を隠しているから、治療院に来た人は誰も気にしていない。
そして院長は、仮面の青年について話そうとしていた。
「今日はもう人が来ることはなさそうだ。今までは私が治せる人に限りがあったが、ミレナが来てくれたお陰だな」
「ニールド国が平和ということもあります……あの、この方は院長のお知り合いなのでしょうか?」
仮面をつけている人に誰なのか聞くべきではないと、仮面で正体を隠している私は考えている。
院長とどんな関係なのかは気になって尋ねると、仮面の青年が話してくれた。
「院長の話してくれた通り、素晴らしい回復魔法だった……院長と私は知り合いで、今日は頼みたいことがあってここに来ている」
そう言って仮面を外し、私の目の前には若そうな美青年がいて爽やかな雰囲気がある。
どうして仮面で隠しているのか気になると、院長が誰なのか話してくれた。
「この方はマウロ様で、ニールド国の第三王子だ」
「そうなんですか?」
まったく知らなかったけど、正体を隠す理由はこの国の王子だったかららしい。
まさか王子と婚約破棄した後に、隣国の王子と知り合うことになるとは思わない。
この治療院は王都にあり、院長は回復魔法が使える時点で優秀な魔法使いだから王子と知り合いだったようだ。
「公表はされていないけど、ニールド国の第三王女は眠り続けている」
「ミレナなら妹を治せるのではないかと相談して、この目で見たくなった……私と一緒に、城に来て妹を治せるか見て欲しい」
どうやら仕事を頼みに来たようで、私なら問題なく治せる。
それでも何も見ずに治せると断言したら怪しまれそうだから、マウロ王子に尋ねておこう。
「状態を見ないと治せるかわかりませんが、私は城に入ることができるのでしょうか?」
「私がいるから問題ない……頼む、一度妹の状態を見て欲しい」
そう言ってマウロが私に頭を下げるけど、王子の行動とは思えない。
いいえ――妹を想う兄の行動と、私はすぐに察することができた。
マウロ王子の発言を聞き、私は頷いて返答する。
「わかりました。これからマウロ様と一緒に、城へ向かうことにします」
治療院は魔力を残した院長がいるから、誰か来ても大丈夫だ。
マウロとしてはすぐに来て欲しそうにしていたから、私は城へ向かうことにする。
前世が聖女だった私なら、問題なく治せそうだ。
今日も治療院で回復魔法を使っていると、院長と仮面を着けた青年と話をしていた。
院長も回復魔法が使えるけど、私よりも魔力がないから治せる人は少ない。
それでも一緒に怪我人を治している人なのに、仮面を着けた青年は負傷しているようには見えなかった。
診察する人がいなくなり、私の元に院長と仮面の青年がやって来る。
長い銀髪と長身なのはわかるけど、顔は仮面で隠れていた。
私も仮面で顔を隠しているから、治療院に来た人は誰も気にしていない。
そして院長は、仮面の青年について話そうとしていた。
「今日はもう人が来ることはなさそうだ。今までは私が治せる人に限りがあったが、ミレナが来てくれたお陰だな」
「ニールド国が平和ということもあります……あの、この方は院長のお知り合いなのでしょうか?」
仮面をつけている人に誰なのか聞くべきではないと、仮面で正体を隠している私は考えている。
院長とどんな関係なのかは気になって尋ねると、仮面の青年が話してくれた。
「院長の話してくれた通り、素晴らしい回復魔法だった……院長と私は知り合いで、今日は頼みたいことがあってここに来ている」
そう言って仮面を外し、私の目の前には若そうな美青年がいて爽やかな雰囲気がある。
どうして仮面で隠しているのか気になると、院長が誰なのか話してくれた。
「この方はマウロ様で、ニールド国の第三王子だ」
「そうなんですか?」
まったく知らなかったけど、正体を隠す理由はこの国の王子だったかららしい。
まさか王子と婚約破棄した後に、隣国の王子と知り合うことになるとは思わない。
この治療院は王都にあり、院長は回復魔法が使える時点で優秀な魔法使いだから王子と知り合いだったようだ。
「公表はされていないけど、ニールド国の第三王女は眠り続けている」
「ミレナなら妹を治せるのではないかと相談して、この目で見たくなった……私と一緒に、城に来て妹を治せるか見て欲しい」
どうやら仕事を頼みに来たようで、私なら問題なく治せる。
それでも何も見ずに治せると断言したら怪しまれそうだから、マウロ王子に尋ねておこう。
「状態を見ないと治せるかわかりませんが、私は城に入ることができるのでしょうか?」
「私がいるから問題ない……頼む、一度妹の状態を見て欲しい」
そう言ってマウロが私に頭を下げるけど、王子の行動とは思えない。
いいえ――妹を想う兄の行動と、私はすぐに察することができた。
マウロ王子の発言を聞き、私は頷いて返答する。
「わかりました。これからマウロ様と一緒に、城へ向かうことにします」
治療院は魔力を残した院長がいるから、誰か来ても大丈夫だ。
マウロとしてはすぐに来て欲しそうにしていたから、私は城へ向かうことにする。
前世が聖女だった私なら、問題なく治せそうだ。
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