大人になっても断れない私

七瀬蓮

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羽衣ちゃんとの決別

希ちゃんの返答

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「別に深い意味はないよ。ただ、最近連絡とか全然してなかったし、元気かなーって思って誘ってみただけだよ。でも、そうか。知らなかったとはいえ、県外行く前に会えて良かった。」



と希ちゃんは笑顔でそう返した。


「そうだね!本当に希ちゃんと会えてよかったぁ!せっかくなら、未来ちゃんもいたら良かったのに。あ、そうそう!私ね!この間料理教室でカヌレ作れるようになったの!希ちゃんはカヌレ作れる?」


とまたマウントリサイタルが始まろうとしていた。



私は口には出していなかったが、この頃からウィッグの締め付け感で、少し頭が痛くなっていた。



ウィッグってこんなに頭締め付けられるんだ……。でも、羽衣ちゃんと会うの最後になるだろうから、話は聞いておきたい。


と思い無言で耐えていた。


何故羽衣ちゃんと会うのが最後になるだろうと確信を持てていたのかと言うと、私と希ちゃんは隣に座っていた為、スマートフォンを触るふりをして、メモでお互いに


「ねぇ、速攻ばれたね。」


「まさかそんなすぐバレると思ってなかった笑まぁ、私は今日はミチルを突き通すけど。ウィッグがとれたとしても。」



「もう帰りたいね。」


「そうだね。」


とお互いに意思確認を内緒でしていたからだ。




「そろそろ出よっか。私明日も仕事でさ~?」


と羽衣ちゃんが言った。



私は財布まで気が回らなかった為、希ちゃんに、


「財布、女性物やし、多分行く店居酒屋だよね?酔ったふりしておくから、後で払うので、払ってもらっていい?」


と前もって行ってあったが、羽衣ちゃんと来た店は、酒類を提供していないお店であった。


しかし希ちゃんはそのまま2人分のお会計をしてくれた。


「え、2人は帰りは?」


と羽衣ちゃんに尋ねられて、


「電車だよー!でも、もう少し2人でいたいから。また会おうね!」



「うん!またあおー!……。ミチルさんも今日はありがとうございました。」

と手を振りながら、羽衣ちゃんは帰っていった。
希ちゃんは、うまいこと羽衣ちゃんを帰してくれた。


「さて、二次会行きましょうか。いろいろ話したいし!」


といつもの顔の希ちゃんが、私の隣にいた。


「うん!私も話したい事いっぱいある!」


「じゃあ、カフェにでも入ろっか!」



と提案してくれた希ちゃんに、



「カフェでも行こー!でも、ごめん。そろそろウィッグで頭痛くなってきたから、トイレ行ってウィッグとってからでもいい?」


と確認を取ると、


「そうだよね!結構締め付け強いとか言うもんね!先にとってから行こう!」


と笑顔で希ちゃんは答えてくれた。






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