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0回目〈8〉side Y
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『ときのうみ町』での日々は毎日楽しくてあっという間だった。小学校を卒業して私は『ときのうみ中学校』へ、晃人君は『みらいなか中学校』に入学した。
小さな町なので、中学でも、ほとんどが『ときのうみ小学校』のメンバーである。全校生徒はたったの73人なので気が楽だ。
私は中学から佳穂ちゃんと一緒にダンス部に入って、平日は毎日町立体育館で練習している。学校の体育館はバレー部やバスケ部と取り合いなので部員が交代で予約している。
最近やっと肩を動かさずに首を水平に動かせるようになった。地味に難しいんだよね。
あと、ピルエットも二回転出来るようになり、160度くらいまでは開脚できるようになった。部長に筋がいいって褒められたのでちょっと嬉しい。
家では身体を柔らかくするために教科書も開脚したまま読んでいる。2歳になった翔がたまにふざけて乗っかってくるのでグエってなるけれど。
大会が近くなったらオヤツはきなこ棒とドライマンゴーだけで我慢している。衣装が思いっきりヘソ出しなので、お腹が出ていたら悪い意味で目立ってしまう。
晃人君は中学でも小学校から続けていたサッカー部に入ったらしい。『みらいなか市』は結構大きな都市なので全校生徒が1200人くらいいるそうだ。
その中で一年生からレギュラーに入れたそうなので凄いと思う。
中学生になってからはお互い部活が忙しくてなかなか会えなかったけれど、メールはずっと続けていた。
たまにデジカメで撮った写真も送ってくれるんだけど、筋肉もついてますます晃人君はカッコよくなっていた。
◇◇◇
引っ越して三年が過ぎた頃、パパの転勤が来年に決まった。転勤先は『みらいなか市』である。
ママは、私が5年生の頃にいじめに遭っていたことを知らないので都会に行ける事に喜んでいるが、パパは複雑そうだ。
翔とママが寝静まったあと、こっそりパパに呼ばれた。
「結、『みらいなか市』に戻って本当に大丈夫か。パパはもし結が辛いなら隣の市に引っ越して遠距離通勤したり、多少お金がかかっても寮のある私立高校を受けてもいいと思ってるんだけど。」
「大丈夫だよ。さすがに高校は受験があるから、小学校の時のメンバーはそんなにいないと思うし。それに、大学を受けるなら『ときのうみ高校』よりも都市部の方が勉強するにはいいと思う。友達も漁師になったり、家業を継いだりする子以外は高校からは隣町に行く子が多いし。」
ちなみに、佳穂ちゃんは家業の旅館を継ぐけれど隣町の商業高校を受ける予定だ。即戦力になれるように高校からマーケティングの勉強をするらしい。
私はパパの転勤があるので志望校をまだ決めていなかったけれど、偏差値60前後ならどこでも大丈夫と先生に太鼓判を貰っていた。
偏差値60なら、今年春ちゃんが入学した『みらいなか高校』も狙える。通信教育をずっと頑張っておいて良かった。
『みらいなか市』では辛い思い出も多いけれど、晃人君や春ちゃんにまた気軽に会えるようになるのかと思うとちょっぴり楽しみだ。
2年半。部活と勉強を頑張って佳穂ちゃんという親友が出来てちょっとだけ自信が付いた。
うん。負けない。
晃人君にまた『みらいなか市』に転勤することを伝えたら凄く喜んでくれた。
晃人君も『みらいなか高校』を受験するらしい。やったー。2人とも受かったらまた同じ高校に通える!
◇◇◇
夏の大会で私と佳穂ちゃん含め3年生4名は引退した。県内で準優勝という奇跡を起こして。
「結!私達やったよ!田舎の弱小ダンス部が隣町の中学に勝った、、、。」
「うん。うん。」
なんだか涙と鼻水で上手く喋れない。
「私、結が『ときのうみ町』に引っ越してきてくれて本当に良かった!!結、一緒に頑張ってくれてありがとうっ、、、。」
「うんっ。私も、私もこの町で皆に出会えて本当によかった、、、」
3年前、過呼吸になって公園でうずくまっていたのがもう夢のようだ。
この町に来て、晃人君と春ちゃん以外に本当の友達が出来て、本当に良かった。
◇◇◇
引退後は通信教育の他に隣町の塾にバスで通ってひたすら勉強に打ち込んだ。
ちなみに私が歴史を勉強した場合、最初の方はモチベーション高く勉強出来るけれど、現代に近くなれば近くなるほどやる気がなくなってきてしまう。
だから世界史ならクロマニョン人、ラスコー壁画からせいぜい宗教戦争、日本史なら平安時代あたりまではやたらと詳しいのに、明治あたりからは怪しくなってきている。
しかし『散切り頭』だけはどんな髪型か気になったのでパソコンで画像検索したけれど、思ったより普通の髪型でガッカリだった。
あと、アメリカが人種のるつぼ、サラダボウルってテストに出てたけど、別に色んな人種の人がいるよー、で良くない?それなら人種のちらし寿司でもいいじゃん。
そして、佳穂の家にお泊まりで勉強した時は、2人とも少しおかしくなってきて、夜中の11時くらいに国語辞典と英和辞典の少しエッチな単語に線を引いて、その単語を見せ合ってめちゃくちゃ笑った。あ、未成年だからお酒は飲んでないです。
そんな事をしている間にあっという間に受験日になった。ちなみに私は家が遠いので『みらいなか高校』までは行かず、隣町の大きなホールで受験した。学区外の高校を受ける生徒は皆ここに集められた。
どうか受かりますように。
小さな町なので、中学でも、ほとんどが『ときのうみ小学校』のメンバーである。全校生徒はたったの73人なので気が楽だ。
私は中学から佳穂ちゃんと一緒にダンス部に入って、平日は毎日町立体育館で練習している。学校の体育館はバレー部やバスケ部と取り合いなので部員が交代で予約している。
最近やっと肩を動かさずに首を水平に動かせるようになった。地味に難しいんだよね。
あと、ピルエットも二回転出来るようになり、160度くらいまでは開脚できるようになった。部長に筋がいいって褒められたのでちょっと嬉しい。
家では身体を柔らかくするために教科書も開脚したまま読んでいる。2歳になった翔がたまにふざけて乗っかってくるのでグエってなるけれど。
大会が近くなったらオヤツはきなこ棒とドライマンゴーだけで我慢している。衣装が思いっきりヘソ出しなので、お腹が出ていたら悪い意味で目立ってしまう。
晃人君は中学でも小学校から続けていたサッカー部に入ったらしい。『みらいなか市』は結構大きな都市なので全校生徒が1200人くらいいるそうだ。
その中で一年生からレギュラーに入れたそうなので凄いと思う。
中学生になってからはお互い部活が忙しくてなかなか会えなかったけれど、メールはずっと続けていた。
たまにデジカメで撮った写真も送ってくれるんだけど、筋肉もついてますます晃人君はカッコよくなっていた。
◇◇◇
引っ越して三年が過ぎた頃、パパの転勤が来年に決まった。転勤先は『みらいなか市』である。
ママは、私が5年生の頃にいじめに遭っていたことを知らないので都会に行ける事に喜んでいるが、パパは複雑そうだ。
翔とママが寝静まったあと、こっそりパパに呼ばれた。
「結、『みらいなか市』に戻って本当に大丈夫か。パパはもし結が辛いなら隣の市に引っ越して遠距離通勤したり、多少お金がかかっても寮のある私立高校を受けてもいいと思ってるんだけど。」
「大丈夫だよ。さすがに高校は受験があるから、小学校の時のメンバーはそんなにいないと思うし。それに、大学を受けるなら『ときのうみ高校』よりも都市部の方が勉強するにはいいと思う。友達も漁師になったり、家業を継いだりする子以外は高校からは隣町に行く子が多いし。」
ちなみに、佳穂ちゃんは家業の旅館を継ぐけれど隣町の商業高校を受ける予定だ。即戦力になれるように高校からマーケティングの勉強をするらしい。
私はパパの転勤があるので志望校をまだ決めていなかったけれど、偏差値60前後ならどこでも大丈夫と先生に太鼓判を貰っていた。
偏差値60なら、今年春ちゃんが入学した『みらいなか高校』も狙える。通信教育をずっと頑張っておいて良かった。
『みらいなか市』では辛い思い出も多いけれど、晃人君や春ちゃんにまた気軽に会えるようになるのかと思うとちょっぴり楽しみだ。
2年半。部活と勉強を頑張って佳穂ちゃんという親友が出来てちょっとだけ自信が付いた。
うん。負けない。
晃人君にまた『みらいなか市』に転勤することを伝えたら凄く喜んでくれた。
晃人君も『みらいなか高校』を受験するらしい。やったー。2人とも受かったらまた同じ高校に通える!
◇◇◇
夏の大会で私と佳穂ちゃん含め3年生4名は引退した。県内で準優勝という奇跡を起こして。
「結!私達やったよ!田舎の弱小ダンス部が隣町の中学に勝った、、、。」
「うん。うん。」
なんだか涙と鼻水で上手く喋れない。
「私、結が『ときのうみ町』に引っ越してきてくれて本当に良かった!!結、一緒に頑張ってくれてありがとうっ、、、。」
「うんっ。私も、私もこの町で皆に出会えて本当によかった、、、」
3年前、過呼吸になって公園でうずくまっていたのがもう夢のようだ。
この町に来て、晃人君と春ちゃん以外に本当の友達が出来て、本当に良かった。
◇◇◇
引退後は通信教育の他に隣町の塾にバスで通ってひたすら勉強に打ち込んだ。
ちなみに私が歴史を勉強した場合、最初の方はモチベーション高く勉強出来るけれど、現代に近くなれば近くなるほどやる気がなくなってきてしまう。
だから世界史ならクロマニョン人、ラスコー壁画からせいぜい宗教戦争、日本史なら平安時代あたりまではやたらと詳しいのに、明治あたりからは怪しくなってきている。
しかし『散切り頭』だけはどんな髪型か気になったのでパソコンで画像検索したけれど、思ったより普通の髪型でガッカリだった。
あと、アメリカが人種のるつぼ、サラダボウルってテストに出てたけど、別に色んな人種の人がいるよー、で良くない?それなら人種のちらし寿司でもいいじゃん。
そして、佳穂の家にお泊まりで勉強した時は、2人とも少しおかしくなってきて、夜中の11時くらいに国語辞典と英和辞典の少しエッチな単語に線を引いて、その単語を見せ合ってめちゃくちゃ笑った。あ、未成年だからお酒は飲んでないです。
そんな事をしている間にあっという間に受験日になった。ちなみに私は家が遠いので『みらいなか高校』までは行かず、隣町の大きなホールで受験した。学区外の高校を受ける生徒は皆ここに集められた。
どうか受かりますように。
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